【聴く力を身につける】話を聴く技術とは?【相談援助技術】

『聞く』と『聴く』の違いとは??

普段、『聞く』という漢字を使う機会が多いと思いますが、面談の場面では、『聞く』よりも『聴く』を意識します。

使う漢字によって『きく』の意味が異なるのですが、この二つの漢字にはどのような違いがあるのでしょうか。

『聞く』は「物音が聞こえる」といったように、人の声や音が、意識をしていなくても自然に耳に入ってくるという状態です。
一方、『聴く』は、「音楽を聴く」や「話を聴く」など、注意を向けて熱心に耳を傾けるということです。
熱心に耳を傾けて聴くということには、相手が伝えたいことを理解しようとか、感じ取ろうという姿勢が含まれています。

つまり、人と大切な話をするときには、相手の話に注意を向けて、話の内容を理解したり、その背景にある相手の感情を理解しようと心がける必要があります。

話を聴くときの目標とは??

話を聴く一番の目的は、何か相手(相談者)に適切なアドバイスをするとか、相手の考えが変わるように指導するとかではなく、まずは相手が「しっかりと話を聴いてもらえて良かった!」と思えること、満足できることにあります。

「話を聴いてもらえていない」と感じると、人は心を閉ざしてしまいます。
せっかく話をしても、自分は相手(聴き手)から受け入れられていないと感じ、自分自身も相手を受け入れることができなくなり、なかなか信頼関係を築くことができません。

「この人に話して良かった!」と思ってもらえることで、信頼関係を築いていくことができます。

また、必要であれば助言をしたり指導をしたりすることもありますが、相手との距離感や関係性、信頼関係の有無などを考慮しながら行います。

しかし、人は誰かに自分の心の内を話すだけでもスッキリとして気持ちが落ち着いてきます。自分の言葉で誰かに伝えることで、心や頭の中が整理され、自分自身でどうすればいいのか解決策を見つけることができたり、良い方向へ方向転換することができるのです。

大抵は相談者が自分で気づいたり、選択したり決めたりできるように、振り返るきっかけを作ったり、情報提供をしたりすることが主となります。

それでは、どうすれば気持ちよく、思う存分話してもらえるのかを考えていきましょう。

相手に満足してもらえるような話の聴き方のポイント

相手の話を途中で遮らない
自分が話し手にならない
すぐに反対意見を言わずに、ひと通り話を聴く
うなずき、あいづち、質問を効果的に使う

聴き役の自分がついつい話したくなってしまう時の心得

話をしている最中に急に話を遮られたり、他人から意見を言われたりして、しっかりと聴いてもらえなかったという印象を抱くと、心の中に何とも言えないモヤモヤ感が残ることがあります。

人が話をしている時に、途中で遮っていないかどうか、まずは自分の癖を知るようにしましょう。

自分が話し手にならないようにする

相手の話に共感してくると、「わかる、わかる、私もね~」とか、「私の場合は~」などと、自分の話をしてしまうことがあります。
時には自分の経験談を伝えることで、相手の役に立つこともありますが、それは相手が求めている場合にのみ伝えましょう。
相手が話をしたがっているのにも関わらず、それに気づかずに自分の話ばかりしてしまうのは、相手の話す機会を奪ってしまうことにもなります。

中には口下手な方もいらっしゃいますので、『待つ』ということが必要になったり、相手から話を聴きだすための、効果的な質問などが必要になる場合もあります。

反対意見を言いたくなったときほど、相手の話を聴く

相手が話をしている最中に、「いや、それは・・・」と反論してしまいたくなるときがあると思いますが、相手の話は最後まで聴きましょう。

まずは相手に話をさせてあげるということが大切です。

相手の言いたいことを一旦受け止めて(※自分とは意見が違った場合、無理に肯定したり賛同する必要はありません。)、「そうですか、そのように思われたんですね。」と相手の感情や思い、考えを確認し、『あなたの気持ちや意見は受け取りましたよ』という意思表示をします。
その上で、「私はこう思うんです。」と自分の意見を伝えます。

「でも・・・」とか「だけどね・・・」とか、すぐに反対意見を伝えることを少し我慢して、「なるほど。」とか「そうなんですね。」「そうですね。」「そうですか。」などといった相槌を打ちながら、ひと通り話を聴くようにします。

話し手は、話を途中で遮られると不快な気持ちになるばかりでなく、自分の意見をしっかりと聴いてもらえなかった(傾聴してもらえなかった)という不満や不信感、さらに自分の意見をろくに聴かずに反対意見を言われることで、受容してもらえなかったという気持ちになります。

そういったことが続くと、話し手は聴き手に心を閉ざしてしまう傾向にあるのです。

 

「しっかり聴いてもらえて良かった」

「話せてスッキリした」

「自分の話(または自分自身)を受け止めてもらえた」

と、満足感を感じられることが重要です。

 

 

傾聴の基本はうなずきとあいづち

傾聴とは、相手の話に注意深く耳を傾けることですが、その基本はうなずきとあいづちだといわれています。

うなずきやあいづちには、相手の話す意欲を高める効果もあります。

あいづちの種類

肯定的な意思表示をするあいづち
「そうですよね~」
「私もそう思います」
「おっしゃる通りです」
「その通りですね」

肯定も否定もしない、中立的な意思表示をするあいづち
「なるほど」
「そうですか」
「そうなんですね」
「はい」

相手の話す意欲を低下させてしまうあいづち
「はぁ・・・」(興味がない)
「ふーん」(興味がない)
「はいはいはいはい」(わかったつもり・適当にあしらっている)
「フンフンフン」(聴いているような聴いていないような)

うなずきやあいづちを行いながら、さらに質問を加えると、より深く相手の話を聴くことができます。

相手に親近感をもってもらえるようなテクニック

ペースや波長を合わせる
話すスピードや話し方、声のトーンなどを相手に近づけていきます。
波長が合う人には親近感や居心地の良さを感じることができます。

気持ちのテンションや感情を合わせる
例えば、とても悲しんでいる時に、冷めた対応をされたり、逆に明るすぎる対応をされると、違和感を感じると思います。
「おつらいですね」という共感を示す言葉をかけたり、その場にあった表情をすることが大切です。

相手の動きをミラーリングする(真似る)
相手の姿勢やしぐさ、動作、言葉をさりげなく真似します。
例え)相手が身を乗り出した時に自分も身を乗り出す、相手が飲み物を飲むタイミングで自分も飲み物を飲む
言葉を真似るという方法もあり、相手の言った言葉をそのまま繰り返して伝えることをオウム返しともいいます。
例え)相手「こんなことで困っているんですよ~」自分「困っているんですね」

これらのテクニックは、さりげなく行うことで親近感をもらたすことができますが、わざとらしくなると逆に相手に不愉快な思いをさせてしまうことになりかねないので、注意が必要です。
特にオウム返しなどは、相手の言った言葉を繰り返すばかりでは、場合によっては会話が成り立たなくなることもあるので、使う頻度を調整したり、質問を付け加えたりしながら効果的に使用しましょう。

うまく自然な形でできるようになるためには、ある程度の練習が必要だと思います。

相手の感情を受け止める

話を聴くときに大切なことは、相手の話の内容を理解することと、もう一つ、相手の感情に目を向けるということです。

言葉では「大丈夫です」と言っていても、目がうつろで覇気がなく、暗い表情をしていれば、本当に「大丈夫」とは受け取れませんよね。

言葉と表情が合っていないということがあります。
強がって心とは裏腹のことを言ってしまうこともあるのです。

しかし、相談者はどうにか自分の気持ち(本心)に気づいてほしい、わかってほしいという期待をもっている場合が多々あります。

それならば正直に言えばいいのに・・・と思うかもしれませんが、言えないからこそ、困難な現状に陥ってしまっているのです。

相手の言葉や話だけを信じるのではなく、感情に目を向けるようにしましょう。

どうすれば相手の感情に目を向けられるかというと、相手の表情や声のトーン、強さ、目つき、しぐさなどを観察することです。

その方の抱える本心を引き出せるように、言葉の裏にある感情を受け取り、関わりを深めていくと、信頼関係を築くことができ、適切な支援を行うことに役立ちます。

 

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