テレビで紹介された誤嚥性肺炎を防ぐ『のど運動』とは?

高齢者に多い肺炎ですが、その約7割が誤嚥性肺炎だといわれています。

肺炎は風邪をこじらせることで起こる肺の炎症です。

若い方や健康な方は「肺炎」と聞いてもあまりピンとこないかもしれませんが、高齢者は風邪が長引くと肺炎になってしまうケースが少なくありません。

そして、今回のテーマである「誤嚥性肺炎」ですが、これは食べ物が食道ではなく誤って気道に入る誤嚥が原因で起こる炎症です。

 

今回は、テレビ番組「世界一受けたい授業」で紹介された、誤嚥性肺炎を防ぐ『のどの運動』についてのお話です。

「のどを鍛えれば寿命が延びる」と提言しているのは
発行部数30万突破のベストセラー

「肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい」の著者
東海大学客員教授 西山耳鼻咽喉科医院
西山 耕一郎 先生です。

高齢者に多い誤嚥性肺炎ってどんな病気?

肺炎は日本人の死因第3位で、全体の10%近くを占めています。
多くの方が、肺炎によって亡くなっているということなんですね。

風邪をこじらせることで起こる肺炎ですが、高齢者の肺炎の約7割が誤嚥性肺炎であるといわれています。

誤嚥性肺炎とは、食べ物が食道ではなく、誤って気道に入る誤嚥が原因で起こります。
食べ物が気道に入ると肺で炎症が起き、肺炎を引き起こしてしまうのです。

誤嚥は肺炎だけでなく、窒息を引き起こす危険性もあります。

誤嚥や窒息は高齢者だけでなく、子供や若い人の間でも起こり、不慮の事故の死亡者数は、実は交通事故を抜いて、なんと窒息が5年連続第一位なんだそうです(H29時点)。
飴玉やピーナッツなどでも窒息することもあるので、小さなものでも油断せず、注意が必要ですね。

誤嚥の原因は「飲み込む力の低下である」と先生は言います。

誤嚥で苦しんでいる人の正しい応急処置の方法は?

①呼吸をしているかどうか確認をする
②上半身を前方にたおす
③背中をたたいて咳をして出してもらう

上半身を十分に前方に倒して、気道を水平にする姿勢で背中をたたいて咳をしてもらう
口の中を見て、異物がないかどうかを確認をする
異物が残っている場合は、口の中に手を入れてそれをかき出す

よく間違えるのが、上半身を倒さずにそのままの姿勢で背中をたたく場合がありますが、これではのどに詰まったものは出てきません。
逆に肺の奥に入ってしまいます。

また、水を飲ませるのもよくありません。
水はむせやすく、逆に誤嚥をしてしまいます。

誤嚥を防ぐ簡単なコツとは?

特に重要なのは食べるときの姿勢です。

食べ物が食道ではなく、気道に入ってしまうのが誤嚥ですが、それが最も起こりやすい姿勢は、物を飲み込む瞬間に上を向いている姿勢です。

普段食道は閉じていて、肺に空気を入れる気道が開いています。
でも、食べ物を飲み込むときは、わずか0.5~0.8秒気道が閉じて食道が開き、食べ物が通るしくみになっています。

このときに上を向いて飲み込むと、気道が閉じにくくなり、食べ物が気道に入りやすくなるというわけなんです。

ですから、食事をする際には、少し前かがみになるような姿勢をとることが大切です。
高齢者は、椅子に浅く座って背もたれにもたれかかり、後方に体重をかけるような姿勢が楽だったりしますが、食事をするときには椅子に深く座り、少し前傾姿勢になるようにして、食事のときの姿勢を整えるように心がけましょう。

 

若い人は、誤嚥しかけても咳などで食べ物を出すことができます。
しかし高齢者など、飲み込む力やせき込む力が弱い人は出すことが難しく、そのまま肺の中に残ってしまい、自然に出てくることはほとんどありません。
すると、肺の中で炎症を起こし、肺炎になってしまいます。

そこで、もう一つ誤嚥を防ぐ方法は、飲み込む瞬間に軽くうなずく。さらに、飲み込んだ直後に息を吐くと誤嚥しにくいといわれています。

ビールなどを飲んだ後にプハ~と息を吐くように、食べた後にもハ~と軽く息を吐くことで、たとえ誤嚥しかけたとしても、息と一緒に食べ物が出せるので、誤嚥を防ぐことができるとのことです。
先生は普段から飲み込んだ後はハ~と息を吐くことを習慣づけておくことが大切だといわれています。
でも個人的な感想としては、これを毎回の食事で行う、習慣づけるというのは、高齢者にとっては特に難しいのでは・・・と思ったりします。

ただ自分で「誤嚥を防ぎたい」と意識して行える方は、食事の時に意識してやってみるのもいいかもしれませんね。
初めは意識しなければできなかったことが、意識しなくても自然にできるようになるくらい習慣づいてくると、年をとっても誤嚥しにくい食事の仕方ができると思います。

のどの筋肉が衰えていないかどうか、飲み込み力のチェック

次の5つの項目のうち、あてはまるものにチェックをしてみてください。

①ペットボトル飲料を上を向いて飲むとよくムセルる
②声をかけたのに無視されることが多い
③この頃歩くスピードが遅くなった
④大きめの錠剤を飲みにくく感じる
⑤食事を終えた直後にガラガラ越えになることがある

2つ以上当てはまっていたら飲み込み力が弱っている危険信号です。

 

さらに、喉の筋力が衰えていないかどうか、簡単にチェックできる方法があります。

体のある部分を見れば人目でわかるといわれています。

 

そのある部分とは・・・

 

のどぼとけです。

 

飲み込むのに欠かせないのがのどぼとけを支える筋肉
誤嚥を起こしやすくなった人は、健康的な同年代の方と比べると、のどぼとけの位置がかなり低い位置にあります。
年齢にともない、のどぼとけの位置は下がっていきますが、理想的な位置は首の中央より上
下がったのどぼとけは、のどの筋力が衰えたことを示す重要なサインです。

さらに、飲み込んだ時に、のどぼとけが2センチ以上、上下に動くかどうか定期的にチェックすると、喉の筋肉の衰えがわかります。

女性はわかりにくいですが、女性にものどぼとけはあります。
調べる方法として、のどに手を当てて、「いー」と言いながら音程を上下(高くしたり低くしたり)させると、突起が動くのがわかります。

誤嚥を起こしやすい人はどんな人?

・年齢に関係なく、ドカ食いや早食いをする人
・口の中にため込んだまま次の食べ物を口に入れるような食べ方をする人

逆によくしゃべる人は、のどが鍛えられているので、誤嚥をしにくいのだそうです。

一度下に下がってしまったのどぼとけを再び上にあげることは可能か?
テレビで紹介された『のど運動』とは?

先生の患者さんで、誤嚥に苦しんでいた80歳の男性が、3つの運動を4か月間続けた結果、のどぼとけの位置が元に戻ったという事例がありました。
先生はこの運動で、寿命を延ばすことも夢ではないといわれています。

寿命を延ばす3つの『のど運動』とは?

その1 あご持ち上げ体操

①下あごに両方の親指を当てる
②あごを引きながら指で押し返す
③口を横に広げ「いー」と言いながら、のどぼとけ周辺に5秒間力を入れる

朝・昼・晩の食前 5秒×10回

この運動で、のどぼとけを上げる筋肉が鍛えられます

 

その2 吹き矢トレーニング

<吹き矢の作り方>
①大きさの違う2枚の紙(折り紙サイズとA4サイズ)とセロハンテープを用意
②大きい紙で直径2センチ程度に丸めて筒を作る
③小さい紙を丸めてセロハンテープで固めて玉を作る

吹き矢トレーニング
玉を筒に詰め、吹きかけて50センチ先に置いたペットボトルを倒す

一日5分程度、楽しみながら行う

拭く力を鍛えると、飲み込む力も鍛えられます

 

その3 ハイトーンカラオケ

高いキーの曲を歌えば、のどぼとけを動かす筋肉が鍛えられるので、だんだんのどぼとけが上にあがってきます。

低い音程から歌い始めて徐々に上がっていくような楽曲を選ぶといいのだそうです。

 

簡単なので、家やデイサービスなどでやってみるといいかもしれませんね。



  
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