認知症と性格の関係
認知症は脳が委縮したり、脳内にとある物質が蓄積したり、脳の血管が詰まったり破れたりして脳細胞が死ぬことで起こる病気です。
一般的にまじめな人や几帳面な人、ストレスを溜めやすい人や孤独な人、自己中心的でわがままな人が認知症になりやすいと言われています。
でも実際は、残念ながらどんな性格の人でも認知症になっています。
誰でも認知症になる可能性があります。
楽天的な人でも、おおらかな性格の人でも認知症になります。
どんな性格の人でも、もれなく認知症になる可能性があります。
認知症になったらどうしよう・・・
認知症になりたくない・・・
と考えてしまうかもしれませんが、残念ながらいつ誰がなってもおかしくない病気です。
年を取ったら、誰でも多かれ少なかれ物忘れは出てきます。
その物忘れが病的に多いかそうでないかくらいの違いなのではないかと思います。
認知症にならないためにはどうすればいいかを考えることももちろん大切ですが、認知症になっても自分らしく生きていくにはどうすればいいか、認知症の人をどのように支えていくのかを考えることもとても大切です。
認知症が治る薬でも開発されれば話は別ですが、今の段階では絶対に認知症にならないための方法や、認知症を完全に治す方法はないのですから。
「年をとったらほとんどの人が認知症になる」ぐらいの気持ちでいた方がいいのかもしれません。
それでは本題に入ります。
認知症と性格ってどんな関係があるのでしょうか??
認知症になりやすい性格ってあるのでしょうか?
私の経験上、認知症はどんな性格の人でもなり得る病気だと認識しています。
ただ、認知症になった後、症状の進み具合や症状の現れ方に大きく性格が影響しているように思います。
認知症状の現れ方に性格が関係している!?
上記でもお伝えした通り、認知症になるかならないかの段階では、性格の影響はそんなに大きくはありません。
まじめで几帳面な人も、おおらかで適当な人も、誰でも認知症にはなります。
ただ認知症になってからは、性格の影響はあるように感じます。
認知症になっても、穏やかに過ごせる人とそうでない人がいます。
それはなぜでしょう??
認知症の症状は、中核症状と周辺症状(BPSD)に分かれます。
中核となる認知機能の低下は、認知症の方であれば誰にでも共通してみられる症状です。
認知機能が低下したことを心の中でどう捉えるかで、BPSDの現れ方が変わってくるんですね。
楽天的な人は、物忘れがあったり状況の理解ができなくても、「よくわかんないけど・・・ま、いっか。」ですまされるかもしれません。
誰かに間違ったことを注意された場合も、「あ、そうなの?ごめんね。」とケロッとしていられるかもしれません。
一方、不安が強い人は「どうしよう。わからない。私どうしたらいいの?」とドキドキしてストレスを感じてしまうかもしれませんし、孤独感に襲われるかもしれません。
几帳面で真面目な人は、きちんとしていないと気がすまないため、自分が間違ったことをしてしまうのが許せません。
プライドが高い人は、誰かに注意されると怒ってしまうかもしれませんし、自分の非を認めたくはありません。
自分の意見を押し通そうとして他人と口論になりやすいです。
いずれにしても、イライラしたり、悲しい気持ちになったり、寂しい気持ちになったりして強いストレスを感じてしまうでしょう。
その強いストレスで、心が満たされず欲求不満となり、BPSDと言われる徘徊や異食、暴言、暴力などの症状が現れてきてしまうのです。
認知機能はかなり低下していて、状況の判断が全くできず、2分前のことも忘れているのにもかかわらず、いつもニコニコして穏やかに過ごしている人もいれば、イライラそわそわして落ち着かず、歩き回ったり怒ったりして毎日を過ごしている人もいます。
ただ、こんなことを書いてしまうと、全て本人(性格)に責任があるように思ってしまうかもしれませんが、決してそうではありません!
認知症の症状の現れ方には脳のどの部分が損傷を受けているのかや、本人を取り巻く環境(住環境や支える周りの人たち)も大きく関係しています。
環境次第ではBPSDを軽減することが可能です。
特に人との関わりは、良くも悪くも本人の生活を劇的に変えるきっかけとなります。
だからこそ、病気なんだからしょうがないとか、本人の性格がこうだからしょうがないなんて諦めずに、どうすれば本人が不安なく穏やかに暮らしていけるかを、周りにいる私たちが考えていかなければならないのだと思います。