今回は、認知症の人と接するときに気を付けるポイントや注意事項などをお話いたします。
こちら↓の記事も合わせてどうぞ。
認知症という病気を少し意識して、接し方を考えてみたいと思います。
認知症の人に言ってはいけない言葉
認知症の人にはなるべくやらないほうがいいことがあります。
それは・・・
否定すること
指摘すること
現実を突きつけること
認知症という病気は、物忘れとともに物事を理解したり判断したりすることが難しくなっていきます。
そうすると、今まで当たり前にできていたことができなくなったり、簡単なことでも間違えることが増えてきます。
そのたびに自分でも自信がなくなっていきます。
それに加えて、周りの人から責められるように自分の行動を否定されたり間違いを指摘されると、とても悲しくなってきます。
となると、言ってはいけない言葉はだいたい想像がつきますよね?
「それは違うでしょ!」
「ダメ!やめて!」
「なんでそんなことするの?」
などなど、相手が思っていることや行動を否定してしまう言葉です。
では、どんな場合でも否定も指摘もしてはいけないのかというと、そうではありません。
例えば上着をズボンのようにはいているのを見たら、見て見ぬふりをする方が不親切ですよね?
そのままでは人に笑われてしまうかもしれません。
そんなときは、
「これ(上着)よりもこっち(ズボン)の方がステキですよ。こっち(ズボン)はきませんか?」
と提案するように伝えてみます。
「これは上着だからはくものじゃないよ。」と正論(事実)をぶつけても、相手は嫌な思いしかしません。
たとえ、「そうよね~、なんか変だと思った(笑)」と相手が笑いながら返事が返ってきたとしても、その笑顔の奥には悲しさが秘められていることも少なくありません。
認知症の人はわかっている
認知症の方は、実は何かがおかしいということに気づいています。
上着をズボンだと思い込んで履いてみる。
だけど、履き心地が悪い。
何かがおかしい。
本当にこれで合っているのかどうか自信がない。
間違っているような気もするけれど、何が間違っているのかはわからない。
このように、自分が何か不自然なことをしているのでは?ということを、漠然と感じています。
そんなときに指摘すると、「やっぱり間違えていた・・・」と自分の失敗を思い知らされたり、内容によっては、「上着を足に履こうとしていたなんて、なんて変なことをしてしまったんだろう。。。頭がおかしくなったんじゃないか。。。」と自己嫌悪に陥ることもあります。
誰でもするような失敗をうっかりしてしまったのか、誰もがしないような失敗をしてしまったのかでも、ショック度は変わってくるんですね。
相手にショックを与えないように、自尊心を傷つけないように伝えるのがポイントです。
伝える言葉と伝える人
大切のなのは言葉の変換。
そして、伝えるときのこちらの表情や声のトーン。
また、誰が言うのかでも受け取る側の気持ちは大きく変わります。
何を伝えるかよりももっと大切なのは、誰が伝えるのかです。
例えば、「ズボンのチャック開いてますよ。」というのを見ず知らずの人に言われるとドキッとするし恥ずかしい思いをしますが、親しい友人や家族に言われると、「あはは、ホントだ(笑)」と笑い話ですまされたりしますよね。
親しい間柄の人に言われたら、真正面から指摘されてもすんなり受け入れられることがあるのです。
だから信頼関係を築いていくということが重要になるんですね。
介護の仕事をしていて、ご利用者がご家族の言うことはよくきかれるのに、介護職員の言うことには全く応じてくれないという場合があります。
それは、介護職員がまだその方から信頼をもらっていないということが原因なのではないかと思います。
他人でも、信頼関係が築けたら、耳を貸してくださるようになります。
そして、こちらの提案を受け入れてくださったり、応じてくださるようになります。
まとめ
認知症の方と接するときのポイントは
否定しない
指摘しない
失敗しても大きな心で受け止める
認知症の人に言ってはいけない言葉は、その時の状況や自分と相手との関係性によっても変わってくると思うので、自分が『相手を傷つけていないかどうか』という基準で判断すればよいのではないかと思います。