認知症高齢者に対して介護職員のタメ口の是非について

介護現場では、介護職がご利用者にタメ口で話しかけている場面をよく見かけます。

何かがおかしい!?介護職員と利用者の関係の記事でもお話したように、お金を払ってサービスを利用する際、従業員がお客様にタメ口で話しかけるというのは介護業界独特の場面なのではないでしょうか?

私自身も介護の仕事を始めた当初は、だれかれ構わず普通にタメ口で話をしていました。
それが悪いことだとは思っていなかったし、常識や非常識などと考えることもなかったです。
今振り返ってみると反省すべき点がたくさんあります。
今日は自分の反省や自分自身が感じた考察も踏まえてお話したいと思います。

 

タメ口は絶対にいけないのでしょうか?
先ほど反省していると書きましたが、私の個人的な考えではタメ口もありだと思っています。

ただ、ご利用者やご家族との信頼関係がある場合にのみです。
極めて限定的です。

初対面なのにも関わらずタメ口で話しかけるのは、まず、ないと思っていますし、信頼関係が築けたとしても「あれして、これして」という指示や命令口調はなしだと思っています。

タメ口を使う人になぜタメ口で話しかけるのかと聞いてみると「タメ口を使った方が早く仲良くなれるから」と言います。
これは私にも心当たりがあります。

信頼関係が築けてからというよりも、信頼関係を築く手段として、相手との距離を縮めるためにタメ口を使っているんですね。

ただ、最近は私自身考え方が変わってきています。
そういった場面を客観的に見ていて、とても違和感を感じるからです。

まだそんなに仲良くないのに、なんでそんなに馴れ馴れしく話しかけるの?

相手は心を開いてる? と思ってしまうのです。

 

相手の気持ちを無視して、ただこちらから一方的に距離を詰めているようにしか見えません。
あ~、私もこんなだったのかなぁと思ったりして見ています。

私たちも初対面の人から突然タメ口で馴れ馴れしく話しかけられたら、ちょっと警戒心をもってしまいますよね?
しかも自分よりもずいぶん年下の人からガツガツこられたら、「えー?・・・」と思ってしまいます。
※若い方はあまり抵抗ないのかもしれませんが・・・。
なんだか相手が近づこうとすればするほど距離をおきたくなってしまうのは私だけでしょうか??

 

人はパーソナルスペースというものを持っています。

パーソナルスペースというのは他人に近づかれると不快に感じる空間(距離)のことで、これは個人差がありますが、初対面の人ほどそのパーソナルスペースは大きい(広い)傾向にあります。

自分が相手と初対面であれば、どれくらい相手に近づいても大丈夫か?自分を受け入れてくれるのかな?と相手との距離感を探る必要があると思うのです。

タメ口でガツガツと相手に近づくことばかりを考えるのではなく、相手が自分を受け入れてくれるかどうかを考えた方がいいのではないかなと思います。
それを考えると、相手に対し丁寧に接することができるのではないでしょうか?

ベテラン職員の真似をして新人職員がタメ口を使うケース

先輩がタメ口を使っているから自分も使っていいと思い、タメ口を使い出すというケースもあります。

認知症介護で大切なのは、信頼関係です。

何を伝えるのかよりももっと大切なのが、誰が伝えるかです。

いざというときに、新人職員がベテラン職員の真似をして同じ言葉で伝えても、聞き入れてもらえないことが多いです。

ベテラン職員と同じことをしたとしても、相手と一緒に過ごしてきた時間や関係性が違えば、相手の反応も変わってきます。
先輩がしているから自分もしていいというのは誤った解釈です。

先輩職員の言葉遣いやふるまいは、相手との関係性があってこそ成り立つものかもしれません。

相手から聞き入れてもらえないことを相手のせいにせず、自分の関わり方や信頼関係の築き方に問題があると思った方がいいです。

自分の立ち位置や相手との関係性を考えてみる必要があるのではないかと思います。

 

立ち位置と言えば・・・

先輩職員には敬語を使い、ご家族にも敬語を使う。
だけどご利用者にはタメ口を使う。

これはいったいなぜでしょうか?
自分が相手をどのように見ているかで、タメ口を使うか敬語を使うかを決めているのではないでしょうか?

先輩職員やご家族は自分よりも立場が上で、ご利用者は自分と同じ位置かもしくは下か・・・というところなのでしょうか?

多くの人はそこまで深く考えず、無意識のうちにそのようになっているのだと思います。
なぜ相手によって自分の言葉遣いに差ができてしまうのか、自分が相手をどのように見ているのかを一度考えてみてもいいかもしれませんね。

ご家族が見ている前と見ていないところで言葉遣いが変わる職員

ベテラン、新人に関わらず、ご家族が見ている前と見ていないところで言葉遣いが変わる人もいます。

これは、普段の自分の言葉遣いがあまり良いものではないと自覚があるからだと思うのですが、ご家族には見せられない接し方をしているのであれば、普段の接し方を改善しなければならないと思います。

 

私が個人的にタメ口がありだと思っている条件として、ご本人やご家族との信頼関係ができていることをあげました。

自他ともに認める絶対的な信頼関係があり、周りから見ていてとても仲良しに見えたり、何の違和感もなく微笑ましく見えればタメ口で話をしてもいいのではないかなと思うのです。

中には敬語を使っていても、表情がきつかったり丁寧さがなかったり、相手に不快感を与えてしまう場合もあります。
一概にタメ口が悪い、敬語がいいとは言えないのではないかと思います。

自分の使っている言葉で誰かが嫌な思いをしていたり、周りから見ていて違和感があるのであれば、少し考える必要がありそうです。

 

大切なのは意識をするということなのではないかと思います。

無意識のうちに言葉遣いが雑になっているのだとしたら、それで開き直らずに、自分と相手の関係性や距離感はどうなのか?
周りの人から自分の行いはどのように見えているのか?
自分のやっていることは正しいことなのかどうか?
自分だけで判断するのではなく周りの人の意見を聞いてみて、自分自身の振り返りや修正ができればいいのではないかなと思います。



  
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