相談援助の場面では、話が途切れて沈黙になることがあります。
自分が聴き手の場合、沈黙になると、自分の聴く技術が未熟なのではないかと焦ってしまうこともあります。
沈黙を居心地悪く感じてしまうと、ついつい焦ってしまい、適当なその場しのぎのことを言ってしまったり、別の話題に変えてしまったり、自分が話し手になってしまうことがありますが、これでは相手(話し手)のペースではなく、聴き手のペースで話を進めることになってしまいます。
話の途中で沈黙が訪れた場合、どのようにすればいいのでしょうか。
沈黙には、そのまま待ってもいい沈黙と、打開策が必要な沈黙とがあります。
まずは、そこを見極めていくことが大切です。
そのまま待ってもいい沈黙とは?
相手が言葉を探している状態
自分の気持ちや状況を、自分の言葉で伝えようとして、考えているときです。
相手は話す意欲がありますし、待ってあげることが必要です。
この時に、聴き手が先を急いでしゃべり出してしまうと、相手(話し手)は気持ちの整理ができなかったり、言葉を探すためにゆっくりと考える時間を持てなかったりします。
待ってあげることで、ゆっくり考えながら話をしてもいいのだと、安心感を抱くことができますし、考えや感情を整理しながら話を進めることができます。
相手が自分で考えや感情を整理できるということは、『自己解決をすることができる』ということにもつながります。
沈黙はあって当然のこと、嫌なものではなく、大切なものとして捉えるようにしましょう。
そして、相手が再び話し始めるのをゆっくりと待ちましょう。
打開策が必要な沈黙
同じ沈黙でも、相手がどう話を進めていいのかがわからなくて困っている場合もあります。
この時相手としては、助け船を出してほしいと感じていることもあるので、そういった場合は、相手の言葉を待つよりも、質問をするなどして、話の糸口を見つけられるようにするといいでしょう。
沈黙の見極め方
どうすれば沈黙の種類を見極められるようになるのかというと、相手(話し手)の表情やしぐさを観察することです。
何かを考えている、言葉を探しているようなしぐさの時は少し待ってみる。
それでも、「なんて言ったらいいのか・・・」や「どう伝えたらいいのか・・・」など、困っている様子の時には、相手が答えやすいように質問をしてみます。
何かを考えていたり、言葉を探している時は、目線が左上や右上に(人によって空間のどの位置に情報を配置しているのかが異なる)動いたりします。
記憶を辿ろうとしたり、イメージを膨らませたりするために、目線が動くのです。
逆に話をする意思がないときなどは、椅子の背もたれにすがって、目線を合わせようとしなかったり、無表情でうつむき加減で黙っている場合が多い。
この場合、相手が話をすることに対しての重要性を感じていなかったり、この場や聴き手であるあなたに興味をもっていない可能性もあります。
質問を投げかけて、話の糸口を提供することも大切ですが、話をする意思がないとも読み取れるので、話題を変えて世間話を組み込んでみたり、先に相手の話しやすい話題の提供をすることも必要かもしれません。
まずは、打ち解ける、お互いに心を開くというところを目標に、話しやすい雰囲気作りをしていきましょう。
沈黙は決して悪いものではなく、相手にとっては必要な場合もありますので、援助者が焦らないことが大切です。
ゆとりのある心で、相手を受け止めていけば、相手の表情やしぐさなどから気持ちを察することもできるようになりますし、より相手の気持ちに寄り添った援助ができるようになると思います。