よりよい支援をするためにも、その方がどのような人なのか、そして何に困っていて、何を望んでいるのかなど、たくさんの情報を集めることが必要です。
介護現場では、相談員やケアマネジャー、介護職員がご利用者やご家族とお話をする機会が多くあります。
そんなときに、場面や状況、相手の気質などによって使い分けられる、効果的な質問の方法を知っておくと、話をスムーズに進めることができます。
初回面接(インテーク)
ケアプランのアセスメント
担当者会議
その他、ご家族への近況報告や日常会話など、全ての会話の場面で使うことができます。
質問の仕方
質問には、閉じた質問(クローズド・クエスチョン)と開いた質問(オープン・クエスチョン)があり、閉じた質問は、相手が「はい。」「いいえ。」などで答えられるものや、単語や短い文章などで簡単に答えられる質問の仕方です。
一方、開いた質問は、相手の考えや思いなどを自由に話していいただくような質問の仕方で、主に「いつ」「どこで」「だれが「なにを」「何が」「どのように」を質問の中に入れていきます。
例)
<閉じた質問>
相談員「今日は『最近お母様の物忘れがすすんでいる』という相談でお見えになったんですね?」
相談者「はい。そうです。」
<開いた質問>
相談員「具体的にどのような場面でそれを感じますか?」
相談者「同じことを何度も聞いてきたり、同じものを何個も買ったりするんです。家にまだ在庫があるのに、それを忘れてまた買ってきて・・・困っているんです。」
閉じた質問や開いた質問は、場面や状況によって使い分けていくことが必要ですが、それぞれに一長一短がありますので、特徴をみていきましょう。
閉じた質問(クローズド・クエスチョン)の特徴
<いい点>
質問に対しての答えが比較的簡単に出せるので、聞かれた相手は答えやすい
質問に対して、答えを深く考えなくても、簡単に答えることができる
自分の考えをまとめたり、話をするのが苦手な人でも答えやすい
「はい」「いいえ」など、相手の意思を明確に聞く事ができる
会話で行き詰まったときなどに流れをスムーズに変えることができる
相手が話につまったり、うまく考えをまとめられないときなどは、簡単に答えられる質問を交えることで、会話に勢いをつけることができる
<悪い点>
聞ける情報が限られてしまい、断片的になってしまう
相手の考えを深く聴くことができない
質問を受ける側は、話したいことを自由に話すことができないため、心の整理をしたり、感情を表現したりすることができない
会話のやりとりができにくく、一方的になりやすい
一方的な質問により、調査のような印象を与えてしまう
感情表現がしにくい
簡潔に答えられる質問は事務的になりやすいため、感情が表現しにくく、質問者も相手の感情を読み取ることが難しくなる
閉じた質問はこんなときに使うと効果的
自分の考えをうまく言葉にして伝えるのが苦手な人と話をするとき
初対面などで緊張している雰囲気のときは、簡単に答えられる質問をすると意思疎通がスムーズにでき、リラックスできる
閉じた質問の注意点とは?
面談の場面で閉じた質問ばかりすると、聞き取り調査のような印象を与えてしまうので、ほどよく開いた質問を織り交ぜながら使う
開いた質問(オープン・クエスチョン)の特徴
<いい点>
答える相手が、自分の意思や考えなど、自由に言葉を選んで話をすることができる
多くの情報を集めることができる
自由に話をしてもらうことで、予想外の情報を得られることがある
会話が広がりやすい
自分で考えをまとめたり、自己表現を相手に促すことができる
気持ちや感情が発見しやすい
自分の考えや気持ちなどを話すことで、感情が表現されやすく、援助者は相手の感情を確認しやすい
真相を深く知ることができる
表面的な質問で得られる情報よりも、内容の濃い情報を得ることができる
<悪い点>
話をすることが苦手な人には答えにくい
質問の内容が「どうですか?」など、具体的でなかったり、漠然としていたりすると、答えを出すのに時間がかかる場合がある
聞きたい情報が得られない
長く話を聴いたわりに、重要が情報が少ない場合がある
開いた質問はこんなときに使うと効果的
起こった出来事やエピソードを説明してもらいたいとき
真相を深く知りたいとき
相手の考えや気持ちを深く知りたいとき
開いた質問の注意点とは?
自分を表現したり、話をすることが苦手な人には答えにくい質問となる
時間が限られている場合など、相手に自由に話をしてもらうことで、話が予想外の方向へ進み、本当に聞きたかった情報が聞き出せなくなってしまうことがある
「なぜですか?」「どうしてですか?」という質問を多用すると、相手は責められている気分になり、話す気が失せてしまうことがある
まとめ
質問の仕方を変えることで、得られる情報の量に差が出たり、相手の性格や状況によっては、会話の雰囲気が大きく変わることもあります。
相手がどのような方なのか、また自分が相手からどのようなことを知り得たいのかを考えながら、上手に両方の質問方法を織り交ぜて使っていけるといいですね。