日本で一番多いといわれるアルツハイマー型認知症は、ゆっくりと進行していく認知症だと言われいます。
認知症と診断されてから、1週間後に全ての記憶がなくなってしまうというような急激に進行する病気ではありません。
では、どのような段階を経て病気は進んでいくのでしょうか?
病気の進行度合いを5つの段階にわけてご紹介いたします。
また、それぞれの特徴を書いていますが、全ての特徴が当てはまる(症状が表れる)わけではありません。
アルツハイマー型認知症の5つの段階
超初期(期間:1~2年)
本人は気づいていないけれど、周りの人(身近な家族や友人)がちょっとした変化に気が付く。
物忘れが多くなる。
・やったつもりがやっていなかったなどのうっかりミスが著しく多くなる。
・少し前のことを忘れるようになる。
・物を置き忘れたり、どこにしまったのかがわからなくなる。
・約束や予定をしょっちゅう忘れるようになる。
匂いがわからなくなる。
感情が不安定になる(ささいなことで怒ったり泣いたりする)。
意欲が低下する(外出が減ったり、他者や社会への興味が減る)。
初期(期間:2~4年)
物忘れが多くなったと本人の自覚がある。
何度も同じ話をしたり、同じものを買い物したりする。
匂いがわからなくなり、腐ったものでもそのままにしてしまう。
日付や時間があいまいになる。
不安が強くなる。
感情が不安定になる(ささいなことで怒ったり泣いたりする)。
意欲が低下する(外出が減ったり、他者や社会への興味が減る)。
中期(3~6年)
日付や時間がわからなくなる。
場所がわからなくなる(外出をしたら戻ってこられないなど)。
トイレの失敗が増える。
何もしたくなくなる(意欲低下が著しい)。
イライラすることが多くなる。
後期(5~8年)
物の名前や使い方がわからなくなる。
生活動作の仕方がわからなくなる(洋服の着方がわからない。箸の使い方がわからない。トイレの使い方がわからないなど)
トイレの失敗が増える。
言葉の単語が正しく出てこなくなり、意味の通じないことを話される。
話をすることが億劫になり、言葉数が減る。
身近な人のことが正しく理解できなくなる(孫を子供だと思う。顔を見ればわかるが、名前だけ聞いてもピンとこないなど)。
妄想や興奮が強くなる。
末期(8~10年)
生活動作を自分で行うことが困難になる。(動作の仕方を忘れたり、体が動かしにくくなる。)
体が動きにくくなると、肩や腕、膝などの関節がかたくなり、拘縮が起こってさらに体が動かしにくくなる。
自分で体を起こしたり寝がえりをうったりすることも難しくなるため、他者の援助がなければ寝たきりになってしまう。
椅子に座っていても、ウトウトと眠ることが多くなる。
発語が減り周囲への関心も減る。
食事は食べることや飲み込むことを忘れてしまうこともある。(口から食べられなくなった場合は、胃ろうなどで経管で栄養をとる人もいる)
周辺症状(BPSD)の出やすい時期は??
一番混乱の強い時期は中期~後期で、不安や恐怖、葛藤が強く、このころに周辺症状(BPSD)も多くみられます。
末期になるとウトウトと眠ることが多くなったり、周りへの関心も減るので、他者に対して自分を主張するような行動はあまりみられません。
認知症の初期では、本人のわからないことを教えてあげたり、間違いを優しく教えてあげたりすることもできますが、不安や混乱が強くなると、いかに安心してもらうかを重点においたケアが大切になるので、本人の言動や行動を否定せず、本人の世界に添った関わり方をしていく必要があります。