認知症の人を試す行為

認知症の方と接するときに、相手がどれだけ覚えているのかということを無意識のうちに試してしまう場合があります。

毎日認知症の方と接している人はそうでもないのですが、久しぶりに会うと、覚えているかどうか確認したくなるのでしょう。

よく介護施設にご家族や友人が面会に来られると、ご本人に対して、「私は誰でしょう~?」とクイズが始まります。
自分のことを覚えていてくれるかどうか、確認したい気持ちはわかりますが、

「おばあちゃん、わかる?私は誰?誰かわかる??」

と笑いながらされる質問に、見ていて少し悲しくなることがあります。

 

ご家族ならまだしも、周りにいる介護職員がそれをしてしまうこともあります。
「この人誰?わかる~?」とはやし立ててしまうのです。

ご本人も本当はわかっていなくても、「わかるわよ~。」とうまく笑ってやり過ごして下さる場合もありますが、半分苦笑いをしながら困った表情の方を見ると、なんだか酷な質問をしているように感じるのです。

 

記憶力テストみたいなことは、本当に必要なのでしょうか?

 

試される本人のプレッシャーと戸惑い。。。
残念がる目の前の人(家族や介護職員)を見るのはつらいものがあるのではないでしょうか。
周りの人が勝手に騒いで、笑われたり残念がられたり・・・もう本人からすると、何が何やらわからないですし、戸惑いや悲しさを隠して苦笑いするしかないですよね。。。

 

久しぶりに会うときには、自分から名を名乗り、自己紹介をすればいいのではないかなと思ってしまいます。
誰だかわからないそぶりをされたら察すればいいし、笑いかけてくれたら覚えていてくれていると思えばいい。
話をしていくうちに思い出されることもあります。

 

大切な存在の相手が自分のことを忘れていってしまう悲しさもよくわかります。
いつまでも覚えていてほしい、その気持ちもよくわかります。
だからつい確認したくなるのでしょう。

でも、その確認方法は、相手を傷つけない方法でやってほしいと思います。
直接「覚えてる?」と質問して確認するのではなく、本人の表情や言葉から察してほしいと思います。

たとえ覚えていなくても、家族は家族。友人は友人。
その関係性は変わらない。
それを自分がしっかりと心にとめていればいいのではないかなと思うのです。

 

本人には目の前にいる人が誰なのか、わからないかもしれません。
でも、「会いにきたよ」というのは伝わります。
そして、「自分に会いに来てくれたこの人は、きっと大切な人だ」と心のどこかで感じていると思います。
なんとなく、心地よい時間は流れます。
記憶は薄れていっても、感情は残ります。

面会者が帰られた後すぐ、面会があったことを忘れてしまうということは多々あります。
忘れてしまうかもしれないけれど、なんとなくの心地よさは残っています。

記憶がすべてではない。
記憶にこだわらず、心地よい気持ちになるようなひと時を過ごしてほしいなと思います。



  
介護の資格取得制度


介護転職サービスメリット・デメリット

プラズマローゲン




<スポンサーリンク>