介護観って何?
介護観とは、「こんな介護をしたいな」「こんなことをしてご利用者を喜ばせたいな」「こんな介護職員になりたいな」という、介護に対してのイメージや想いです。
何か決まったものや正解があるわけではなく、自分が思い描く理想の介護像です。
介護をする上で、何を大切にしていきたいのか、ご利用者とどのような関わりをしていきたいのか、そういった自分なりの思いです。
就職での面接や小論文(作文)で介護観を聞かれる?
介護職の面接で介護観を聞かれるかどうかというのは、それぞれの介護事業所により、また面接官により様々です。
介護職員の求人の中途採用の場合は、あまり介護観を聞かれることは少ないように思います。
特に未経験の方に対しての面接では、介護観を聞かれることはほぼないです。
ただ、なぜ介護の仕事をしようと思ったのかという動機は聞かれるとは思いますが。
就職試験で介護観を聞かれるケースが多いのは、新卒の採用や、学校で介護や福祉について学んだ方に対してです。
学校で2年もしくは4年の間に、勉強や実習を通して、介護や福祉について考える時間がたくさんあったと思います。
ですから、その学生生活で経験したことを通して、どんなことを思ったのか、その方の考えを知りたいということで、聞かれたり作文を書かされたりすることがあります。
また、相談員や管理者候補で、事業所を引っ張っていく立場の職種に応募される方には、「こんな介護現場を作っていきたい」という思いを聞かれることも多いです。
自分の介護観を見つける方法
介護の経験が長い人でも、突然「あなたの介護観って何?」と聞かれても、うまく答えられない方もいます。
大切にしているものがあるはずだけれど、それをうまく言葉にできないという人もいます。
どうすれば自分の介護観が見つかるのでしょうか。
介護未経験の方は、働きながら、ゆっくり自分の介護観を見つけていけばいいと思います。
介護の仕事を始めたばかりの頃は、まだ先輩から言われたことを一生懸命やるだけで精一杯で、自分の介護観を見つけるということまではなかなか難しいかもしれません。
先輩の指示で動くことが多いと思います。
でも、誰かの指示や命令に従って介護をすることも大事ですが、自分が「こうしてあげたいな」、「こうしたらもっと喜んでもらえるんじゃないかな?」と考えてみることも大切です。
まずは、自分が何を大切にしているのかを考えることから始めてみませんか?
介護は人と人との関わりです。
ですから、その『人(ご利用者)』と接するときに、何を大切にしているのか、何を心がけているのかを振り返ってみましょう。
自分がどんなことをしていきたいのかわからないという人は、本を読んでみるというもの一つの方法です。
第一線で活躍されている先輩方の本を読んでみると、ご利用者への関わり方や関係性、時間の過ごし方や生活の作り方など、とても参考になります。
いろんな方の本を読んでみると、自分もこんなことがしてみたい!と思えるような介護に出会えるかもしれません。
また、『介護』というものがうまく掴めない人、または介護観をうまく言葉にできない人は、何かに例えて考えてみてもいいかもしれません。
例えば色に例えてみる。
「あなたが思う介護の色は何色のイメージですか?」
介護をイメージする色を思い浮かべてください。
「なぜその色をイメージしたのですか?」
その色をイメージした理由を考えてみてください。
いくつか言葉が浮かんできたり、介護の場面が浮かんできたりすると思います。
どんな言葉が浮かんできたのか、介護のどんな場面を合わせて想像したのか、書き出してみましょう。
そうすると、自分が介護に対してどのようなイメージを持っているのか、何を大切にしていきたいのか、どのような関わり方をしたいのか、少しずつ見えてくるようになります。
介護観は人と違っていいもの
介護に対する色をイメージしたとき、全員が全員、全く同じ色をイメージすることはありません。
数人同じということはあるかもしれません。
それでも、人それぞれ、いろんな色をイメージするはずです。
思い描く色が違うように、介護観は人それぞれ違います。
何が正解ということはありません。
それぞれが自分の介護観をもっていていいのです。
一緒の職場に勤めているのだから、全く同じにならないといけないということでもありません。
全体の大きな目標である、例えば『ご利用者を大切にする』という目標があったとしたら、それに向けて、自分は何ができるのかということをそれぞれの価値観で持ち寄り、歩み寄っていけばいいのではないでしょうか。
どういうことがご利用者を大切にすることになるのか、話し合うことが重要です。
全体の大きな目標も決めずに、お互いの価値観も話し合わずに働いていると、それぞれがバラバラな介護をしてしまい、まとまりがなくなってしまいます。
そうすると、自分と違う価値観をもっている人に対して、苛立ちが生まれたり苦手意識が生まれたりしてしまい、チームワークも崩れてしまいます。
チームワークを良くしていくためには、自分が大切にしているものを、お互いに伝え合い、歩み寄るという作業をしてみましょう。
介護観は変わってもいいもの
介護の経験年数や、出会う人(ご利用者さんや職員さん)によって、介護観は変化していくこともあります。
もちろん、初めから変わらず抱き続けているものがあってもいいです。
変わる部分があっても、変わらない部分があっても、どちらでもいいです。
ただ、『自分なりの介護観を見つける』『常に芯となる部分をもっている』ということが大切なような気がします。
何も考えずにご利用者に接するよりも、なにか自分なりのこだわりをもって接すると、介護の仕事が面白くなったり、関わり方に深みが出たりします。
ときどき自分の介護観を振り返ろう
実際に介護の現場に入ると、大変なことも多く、人や状況に流されてしまうこともあると思います。
やりたいことがあってもなかなかできないこともあったり、あまりにも毎日が忙しいと、自分が何を大切にしていたのかを忘れてしまうこともあります。
ときどきは、一息つく時間を設けて、自分がどんな介護がしたかったのか、振り返ってみてはいかがでしょうか。