認知症状の改善を考えると失敗する!?
認知症の人に接するときに戸惑うのは、やはりその症状によって混乱している言動や行動を目の当たりにした時だと思います。
周りにいる人たちは、目の前で起こっていることに戸惑い、どうすればこの症状がなくなるのかを考えます。
ですが、症状だけを見ていては、根本的な問題は解決しないことがほとんどです。
なぜなら、内臓などの体の病気と違い、認知症には症状を劇的に改善するような特効薬はまだ存在しないからです。
体の病気、例えばガンなどの治療をする場合は、治療に必要な情報というとガン細胞の大きさや他に転移していないかどうかという事だと思います。
検査の結果や数値が必要な情報として重要視されています。
変な言い方をしてしまうと、その人がこれまでどんな人生を歩んできたのか、その人がどんな人なのか、その人となりを知らなくても、体の状態(ガンの状態)さえわかれば治療できてしまうんですよね。
でも認知症の症状を軽減するうえで重要なのは、その人の人となりを知ることなんです。
その人がどんな人なのか、これまでどんな人生を歩んできたのか、大切に想っている人のことや、生きがいを感じるときはどんなときなのか、そういったことを知ることによって、その人に適した個別のアプローチができます。
認知症の人を支えるということは、その人の人生そのものを支えるということです。
認知症状の軽減を第一の目的に考えてしまうと、抑圧的な発想になりかねません。
そして、そういったやり方では大抵が失敗に終わります。
私たちは認知症状の軽減を目的に接するのではなく、その人がどのように生きていきたいのか、その想いを遂げるために私たちがするべきことは何なのかを考えながら関わっていく必要があります。
その人が生きたいと願う人生を、周りの人たちが支えていくことで、結果として認知症の症状が軽減していくのです。
『認知症の症状ではなく人を見る』ということの本当の意味とは??
認知症の症状をどうにかしようという考え方よりも、目の前にいる人に対して人として誠実に向き合い、大切にしていくことです。
仕事として介護や医療に携わり、その経験が長くなるほど、専門家としての見方が強くなっていきます。
専門家としての見方というのは、人を人として見るよりも、症状や解決策に先に着目してしまうということです。
症状の考察や解決策を導き出すことは、もちろんとても大切なことではありますが、認知症の方が求めているのは、自分のことを理解して応援してくれる友人のような存在です。
目の前にいる人の何を見るのか?が重要なのではないかと思います。
あなたは普段接している人のことが本当に見えていますか??