周辺症状(BPSD)が起こる原因とは?
認知症の症状の中でも、BPSDは軽減することができます。
BPSDにも徘徊や異食、興奮や幻覚などいろいろな症状があります。
でも、それらの症状を改善するためのケアは、実は全て共通しているものがあります。
そのケアのキーポイントとなるのが『認知症の人が自分の存在価値を自分で認められるかどうか』にあるのではないかと思っています。
こちら↓の記事でもお話しましたが
また、親しい人との死別や、今まで頼りにしてくれていた子供たちや周りの人たちから距離をおかれるようになると、寂しさを感じます。
老いていく自分自身にも不安や恐怖を感じたり寂しさを感じたりします。
なんでこんなことになったのかな?
頭も体もよく動かない。
誰からも必要とされない。
自分は生きている意味があるのかな・・・
高齢者の中にはそんなことを考えてしまう人も多いのではないでしょうか?
BPSDのどんな症状でも共通していえるのは、原因が不安やさみしさ、恐怖感にあるということ。
老いていく自分に対して。
人の役に立てないことに対して。
人から頼られないことに対して。
誰も自分に話しかけて来ないことに対して。
自分のことが自分でできなくなっていくことに対して。
周りで起こっていることが理解できなくなっていくことに対して。
自分一人だけ別世界にきたような、取り残されたような感覚に対して。
自分自身や自分の身の回りで起こっている変化に戸惑い、疎外感や孤独感を感じてしまうのではないでしょうか。
BPSDに共通するケアのポイント
心の不安やさみしさが原因で起こるBPSD。
だとすれば、さみしくないようにサポートすればよいのではないかと考えます。
残念ながら老いを止めることはできません。
認知機能を劇的に改善することも、今の医学では困難です。
でも、関わりを通してできることはあるはずです。
ご本人が、『生きているのも悪くないな』と思えるような状況や環境を、周りにいる人たちが整えていくことはできるはずです。
ケアのキーポイントは『認知症の人が自分の存在価値を自分で認められるかどうか』にあるとお伝えしましたが、何もない状態から本人が自分で自分の心を変えていくのは難しいです。
若い方であっても、自己肯定感の低い方は大勢いて、自分でなんとか状況をポジティブに捉えようとか、自分を自分で認めようと思っても、なかなかうまくいかないことが多いと思います。
認知症の方はさらに難しく、自分が焦燥感や孤独感を抱いていることに、気づいてすらいない場合がほとんどです。
無意識の内に感じて、それが行動として表れています。
でも、周りの人の接し方で、無意識のうちに抱いていた焦燥感や孤独感が満たされることがあります。
優しく接してもらえば嬉しいし、自分が誰かから必要とされていると思うと、もっと嬉しい。
それらも、場合によっては無意識のうちに感じることなのかもしれません。
たとえご本人の反応が薄かったとしても、必ず伝わっています。
確認する点は以下の3つ
①人間関係は良好か?孤独でないか?
②役割があって充実感を味わえているか?周りの人から必要とされ、感謝されているか?
③その人の人生で解決すべき課題がないかどうか?
これらを考えて状況を改善していけば、ご本人の症状が軽くなる、もしくは症状が全く現れなくなる場合もあります。
その方が何を求めているのか、何に対してストレスを感じているのか、まずはご本人の想いを知ることから始めていきましょう。
ご本人の言葉や行動、また人生史(生活歴)から推察すること、そして現状と照らし合わせて改善点を見つけていくことが必要です。
その症状、本当にBPSD!?
BPSDのように見える症状でも、BPSDでない場合もあります。
身体の不調(便秘や脱水など)や一時的に服用する風邪薬などの影響から、イライラして感情が抑えられなかったりソワソワ落ち着かなかったり、幻覚が見えたりつじつまの合わないことを言ったりする場合もあります。
これらの症状は、その原因となる身体不調を改善することや、医師と相談して服用している薬の見直しをすることで、症状が消失します。
今現れている症状が本当にBPSDなのかどうかを見極めるためには、しっかりとしたアセスメント(情報収集と課題分析)が必要です。
正しい情報や分析のもと、適切なケアを行っていきましょう。