【収集癖・執着】物を集めて回る認知症の人への接し方

認知症の方の中には、ティッシュやトイレットペーパーを集めてため込む、気が付いたら部屋にいろいろなものを持ち入っている、という方がいらっしゃいます。
介護者から見ると不要なものだったり、逆に新しいものを必要以上に無駄に使われているような気がして、注意をしてしまいたくなる場合があります。
物を自室に持ち帰ろうと手にしているとき、どのように声をかけてあげたらいいのでしょうか?

物を集めてため込む人への接し方

内心持って行ってほしくないないな・・・と思っていても、物を集めて持ち帰ることをとりあえず受け入れる。
よくしてしまうのは、「持って行っちゃダメ!」と怒って止めてしまうということ。

認知症の人が一番してほしくないのは、行動を否定されたり怒られたりすることなんです。
だから、物を集めているのを見ても、見て見ぬふりをする。

誰かに怒られたり指摘された経験のある人は、その経験は忘れているのにもかかわらず、物を集めることに対して後ろめたさを感じています。
だから、隠すようにしてこっそり持ち帰ろうとします。

そんな姿を見たら、止めるよりもむしろたくさん渡してあげたり、持ち帰りやすいように袋に入れてあげたり、ティッシュやトイレットペーパーを丸ごと渡してあげたりすると、目をきらきらとさせてとても喜ばれます。
自分の行動を受け入れられると、まるで自分自身が受け入れられているかのように安心されます。

物を集めることで何か困ったことが起こったら?

時には不衛生なものを集めたり、部屋で食べ物が腐ってしまったり・・・ということもあるかもしれません。
その場合はどうすればいいのでしょう??

本人と一緒に掃除をして、本人が納得した上で汚れ物を処分するのが一番いいと思うのですが、この場合、大抵「まだ使える。」とか、「まだ食べられるから置いておいて。」と言われてしまいますよね。。。
この時に「食べ物が腐ってるじゃないの!」とか「こんなもの食べられないよ!」などと言ってしまうと、相手も絶対に手放しません。

そこで大切なのは話し合い。

認知症の人に納得してもらえる話の仕方

2017年11月10日

認知症の人に話を聞き入れてもらえないときにすること

2017年11月9日
一方的にこちらの考えや決定事項を伝えるのではなく、相手の気持ちを聞きながらこちらの言い分も聞いてもらう。
「これはそんなに大事なものなんですね。それじゃあ、これは置いておくけど、さすがにこのカビが生えた饅頭はもらっていってもいいですか?おなか壊すんじゃないかって心配だし、新しいお饅頭買ってきたから、こっちを食べてほしいな。」という感じで、お互いに譲れるところは譲り合って妥協点を見つけることが大切。

それでも難しい場合は・・・
本当はいけないことなんですが、ご本人が気づかないうちにこっそりと処分させていただきましょう。

部屋に汚れたものがある場合・・・
本人がトイレに入っていたりお風呂に入っているときに、部屋に入らせてもらい、こっそりと処分させてもらう。

ただ、これには注意点があって、こっそり処分しているということを絶対に本人に知られてはいけません。
自分の留守中に人が部屋に入って、自分のものを勝手に捨てたという不信感を抱かれるからです。
一旦不信感を抱かれてしまうと、他のどんなときにも信用してもらうことができなくなります。
介護をする上で一番大切にしなければいけないのは、相手との信頼関係を築くことです。
信頼関係を壊さないように、最新の注意を払いましょう。

ですので、汚れ物がたくさんたまる前に、こまめにきれいにしておく必要があります。
汚れたものを一気に片づけると、変化に気づかれてしまうからです。
また、汚れたものを処分したら、例えばそれがティッシュなら代わりに新しいティッシュを置いておきましょう。
食べ物であれば、腐りにくいお菓子などを置いておきましょう。

こっそり処分していることに気づいていても、代わりの物が置いてあれば相手も納得してくれ、処分していることに気づかないふりをしてくれるかもしれません。

大切なのは、相手を気遣う心だと思います。

これをこまめに繰り返せば、きれいな状態を保つことができます。

衣類の中に汚れたティッシュなどの紙をためている場合は・・・
入浴中に脱いだ衣類の中から汚れたものを処分させてもらいます。
この場合も、新しいティッシュなどを置いておきましょう。

また、普段「紙持ってます?持ってたら、もらえませんか?手が汚れちゃった。」と言うと、私の出番がきました!とばかりに快く紙を差し出してくれる場合もあります。
汚れた紙を渡されても、きちんと「ありがとう。」とお礼を言いましょう。
持っている紙(汚れた紙)をもらうことができたら、その空いたスペースに入るのは新しい紙ですから、うまい具合に循環できるというわけなんです。

知らず知らずのうちにきれいな紙と交換ができるので、相手を傷つけずにすみます。
人の役に立てて、きれいな紙と交換できるので、本人からしたら一石二鳥(?)ではないでしょうか。

本人に気づかれないように処分するという方法は認知症の人の症状の「忘れる」という特性を利用した方法です。
部屋に持ち帰ることに対してはこだわりがあっても、案外持ち帰ったものに対しては執着心がない場合があります。
処分するかどうかと聞けば「とっておく。」と言われますが、それが知らないうちにきれいなものに代わっていても気づかれないことが多いです。

でも、どうせ忘れるからとこちらの都合に合わせたやり方をするのではなく、その方がこだわっている物集めという行為を尊重できるように、大切なものは大切なものとして取っておいてもらえるように、必ず処分したものと同じだけのものを置いておきます。
ただ少しずつ量を減らしていって、代わりのものを置いておかなくても全く問題ないようであれば、処分するだけでいいと思います。

なぜ物を集めたがるのか?

「少しくらい汚れていたって、まだ使える」というのは、物を大切にするという昔の人の古き良き考え方です。
物がなかった時代、何度でも同じものを再利用をしていたり、物があるときに貯めておいていざというときに使おうという考えで生きてこられたのかもしれません。
相手にしてみたら、まだ使えるのに捨てて新しいものを使うという現代の私たちの考え方の方が受け入れがたいものなのかもしれませんね。

また、ティッシュを集める方で、「女はいつも紙をもっておきなさいとお母さんに言われてきた。」と語る方もいらっしゃいます。
小さい頃に受けた親のしつけや、家庭環境が影響している場合もあります。

もうひとつ考えられるのは、物を集めることで満たされない気持ちを補うという代償行為
生活の中で、何か満たされないものがあると心がスカスカして、それを物を集めることで埋めようとする行為です。
物を集めることで満足感を得ようとしているんですね。

ということはこの場合、現実の生活が満たされていくと、物を集める必要もなくなるということなんですね。
気持ちが満たされているかどうか
チェックしてみましょう!
①人間関係は良好か?孤独でないか?
②役割があって充実感を味わえているか?周りの人から必要とされ、感謝されているか?
③その人の人生で解決すべき課題がないかどうか?

どんな症状にも共通している!?認知症の周辺症状(BPSD)へのケア

2017年11月2日



  
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