【物盗られ妄想】「財布がなくなった」と訴える認知症の人への接し方

実際には誰にも何も盗られていないのにもかかわらず、「財布がなくなった!」と探し回る認知症の方がいらっしゃいます。
ただご自身でひたすら探されている場合は、自己解決される場合もあるので見守っていてもいいと思いますが、もしも自分に盗人の疑いの目を向けられたとしたら、どのように対応すればいいのでしょうか?

「財布がなくなった」と言われた場合の接し方

「あんたが盗ったんだろう!」とか、「あの人が盗った!」などど、自分が疑われたり、自分と親しい人が疑われたりすると、「盗るわけないじゃない!」とむきになって強い口調で否定してしまいがちです。
でもこれは逆効果で、「盗っていない。」と言っても納得してはもらえません。

だからといって、「はい。私が盗りました。。。」というのも変な話ですよね。。。

ではどのように言えばいいのでしょうか?
「財布がなくなった」ということに対して、肯定も否定もせず、「なくなったんですか?」「いつごろからないんですか?」「どのへんに置いていたんですか?」などと質問を繰り返しながら一緒に探します。
初めは「しらばっくれて!」と怒られるかもしれませんが、本気で心配していることが相手に伝わると、少しずつ心を開いてくださることがあります。
相手にとって、自分は絶対的な味方でいることが大切です。

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2017.10.19
「困ったときは助けますよ!」という姿勢。
一緒に探すことで、共同体のような親近感が生まれます。
『この人は自分にとって敵ではなくて、力になってくれる存在』そう思ってくださるようになります。

大切なものがなくなって、どれだけ悲しくて不安な気持ちなのかを相手に吐き出させてあげること。
そしてその思いを受け止めてあげることが大切です。

なぜ財布を盗られたと訴えるのか?

記憶力の低下により、財布の置き場所を忘れてしまうので、どこに置いたかわからなくなって「なくなった」「盗られた」と言ってしまう場合もありますが、不安の表れとしてこのような言動に至る場合もあります。

誰かに大切なものを盗られたと思い込むことを一般的には物盗られ妄想と言われています。
いったいなぜそのような妄想を抱いてしまうのでしょうか?

因果関係ははっきりとはわかりませんが、物盗られ妄想のある人の生活歴をうかがってみると、過去に何か大切なもの(人)を失った経験がある人に、このような症状が多く見受けられるように思います。

子供を事故や病気で失った・・・
災害にあって家が壊された・・・
若い時に大切な人を失った・・・
財産を失った・・・

過去にとても怖くて悲しい経験をされたことがうかがえます。
それが今も不安の要素になっているのかもしれません。

また、認知症という病気で記憶を失う怖さや、自分が自分でなくなるような不安、そういったものが「誰かに大切なものを奪われた」という妄想として表れていることも考えられます。

なぜ親しい人が疑われるのか?

こういった物盗られの妄想では、たいてい身内などの親しい人が疑われます。

特に、お嫁さんや息子さん、娘さんが疑われることが多いです。

一番近くで面倒を見ている人。

一生懸命見ているのに、あらぬ疑いをかけられるとなると、とても悲しくなったり腹立たしくなったりしますよね。

でも、そもそもなぜ親しい人が疑われてしまうのでしょうか?

それは、その人がご本人(認知症をもつ方)にとって一番頼りたい存在だからです。

自分に目を向けて欲しい。
わがままを受け入れて欲しい。
甘えさせて欲しい。

そんな想いの表れとして、一番近い存在の人にあたってしまうのです。

前述でもお伝えしましたが、ご本人は認知症という病気で記憶を失う怖さや、自分が自分でなくなるような不安を漠然と抱えています。

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その中で、誰かに頼りたいし、優しくされたい、守られたいと感じているのではないかと思います。

ご家族は、そういったご本人の気持ちを察して、ご本人に対して怒らない、攻めないということがポイントです。

物盗られ妄想は治る?

介護者に聴く態勢ができると、ぽつりぽつりと大切な話をしてくださいます。

もしも、話を聴く余裕がない場合はその場を穏やかにやり過ごし、介護を仕事としている人にしっかりとした関わりをお願いしてみましょう。

介護職員でも、ご本人との信頼関係が築ければ、本人にとっては頼れる存在が増え、気持ちが安定することがあります。

以前に体験したことや、今現在の不安な気持ちをしっかりとお聴きして、受け止めること。
どれだけ怖くて悲しい思いをしたのかという、本人が抱えている思いを吐き出させてあげること。
そして、「悲しかったね。」「怖かったね。」「不安だね。」と共感することが大切です。

過去に失った悲しみを今の生活の中でどう癒していくか、そして、今現在の生活の中で生じる不安や恐怖にどのように寄り添っていくのか、周りの人たちがどのように向き合っていくかが大きなカギとなります。

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