幻覚と妄想のある認知症の人への接し方

認知症の方の中には、現実には見えないものが見えたり、事実ではないことを妄想してしまう方がいらっしゃいます。

事実とは違うことを言われると、介護者は多少なりとも動揺してしまったり、混乱してしまいますよね。

こういったとき、どのように接すればいいのでしょうか。

幻覚・妄想のある認知症の人への接し方

接し方①

話を合わせる

例えば、「床に虫がいて気持ちが悪いから早くどこかにやってくれ。」と言われたとします。
でも、実際には虫などいません。
こういった場合に、ついつい「何もいないじゃないの。何おかしなこと言ってるの!」と相手の言うことを否定してしまいがちです。

「いや、ほら、ここにいるじゃないか!」

「何もいないでしょ。気持ち悪いこと言わないでよ。」

などと言い合いになってしまいます。

でも、これでは逆効果で、ご本人の不安はますます強くなってしまうことがあります。
※正直に事実を伝えてもいい場合もありますので、それは後ほど解説します。

ですので、こういった場合には話を合わせましょう。

事実がどうかが大切なのではなく、「ご本人がどうすれば安心するのかを考える」方に重点をおきましょう。

見えているものがかわいい小動物など、ご本人にとって害のないものであれば不安も小さいのですが、虫だとか、ご本人の苦手なものが見えている場合は、不安や恐怖、嫌悪感を感じています。

そういう場合には、ご本人が指さすところをほうきで掃いたりして、虫退治をしたり、その場から一緒に避難したりします。

架空の虫退治をして、納得されることもあれば、「まだそこにいる。」と言われることもあります。

また、「床から水が沸いている。」などと言われるときには、本人の中での溢れ出る水を止めようがないので、一旦その場を離れてもらい、気分が変わるようにしていきます。

「部屋を出ている間に私がきれいにしておきますから。」と伝え、ご本人が安全だと感じるところへ避難してもらいましょう。

接し方②

正直に伝える。

幻視はレビー小体型認知症の特徴的な症状です。

認知症の進行度合いにもよりますが、初期の段階で、告知を受けられている場合、幻視が認知症の症状としてあるということを知っていて、ご自分で自覚されていることがあります。

他人には見えないものが自分には見えるということを自覚されている場合、正直に「見えない」ことを伝えると、これは幻視なのだと納得されることもあります。

幻視や妄想は、ご本人の状態(認知症の進行度合いや、その世界にどっぷり入っているかどうかなど)で、本当のことを伝えるか、話を合わせるかを判断していきますが、これは難しい判断となります。

見えないものが見えると言われた場合、まずは、「そう?どこ?」などと、あいまいな返事をしながらご本人の様子を見ていく(何が見えているのか、そしてどのような気持ちでいるのかを探っていく)必要があります。

幻覚・妄想のある認知症の人への接し方【タブー編】

幻視のある方は、時に突拍子もないことを言うことがあります。

そして、それを聞いた介護者は「そんなわけないじゃん。」とバカにしたように笑ってしまうことがあります。

介護の場面で笑ってしまうような、おもしろいことや微笑ましいことは正直たくさんあるのですが、本人が不安がっていたり深刻な状況にあるのにもかかわらず、目の前で介護者同士がニタニタしながら面白がって話を聞くというのは、ご本人の心情を思うと、とてもいたたまれない気持ちになります。

介護者は面白がっているかもしれませんが、周りで客観的に見ていると、ご本人をバカにしているように見えますし、見ている方も嫌な気持ちになります。

そして、それはご本人にも伝わってしまいます。
なぜニヤニヤと笑われているのか、自分がおかしくなってしまったのか・・・と余計に不安になったり、嫌な気持ちになってしまいます。

介護の場面では、ご本人と介護者(職員)の他、に他ご利用者や他職員、時にご家族もいらっしゃる場合もあるかもしれません。

誰の目から見ても、「真剣に誠実に接している」と思えるような接し方をしていきたいですね。

時には、相手の世界に合わせて役割を演じなければならないこともあるかもしれません。

そんなときでも、面白半分で中途半端に茶化しながら演じるのではなく、ご本人の気持ちが安心することを目的に、誠実に演じることで誠意が伝わります。
その結果、ご本人の気持ちが穏やかになられるのだと思います。

なぜ幻覚や妄想があるのか?

原因①認知症の症状として幻覚が見える

幻覚(幻視)があるのは、レビー小体型認知症の代表的な症状です。

レビー小体型認知症の方の見える幻覚は本物のように、色や形、動きがリアルにはっきりと見えるといわれています。

そのため、混乱したり戸惑ったりされることも多いと思います。

原因②認知症の症状として作り話をする

認知症の方の中には、事実とは異なる作り話をされることがあります。

自分のなかで何かのつじつまを合わせるために作り話をしているといわれています。

例えば、実際には財布を盗られていないのにもかかわらず、「財布を盗られた」という場合などです。

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原因③認知症の症状として昔の自分に戻る

認知症の方の中には、すでに退職しているのにもかかわらず、朝になると「会社へ行く」と出て行こうとする方がいるという話はよく聞いたことがあると思います。

これはある種の現実逃避です。
現実が受け入れられなくて、今の現実の中では生きていたくないという思いから、自分にとって一番輝かしい時代、古き良き時代へ帰るといわれています。

男性であればバリバリ仕事をしていた時代かもしれませんし、女性であれば子育てをしていた時代かもしれません。
また、両親に愛されていた子供時代かもしれません。

ご本人はその時代へ戻っているので、私たちはその時代のご本人に接するように関わっていく必要があります。

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原因④身体の不調によるせん妄

脱水や便秘、発熱などの体調不良時にも幻覚が見えることがあります。

脱水の場合は夜間にせん妄が起こることが多いといわれています。

この場合は、脱水状態を改善したり、体の状態を整えることで改善します。

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原因⑤薬の副作用によるせん妄

薬の副作用でもせん妄が起こることがあります。

薬で幻覚が現れるかどうかは、個人差があります。
個人によって、薬が合う合わないがあり、頓服で出た抗生物質等でせん妄が起こることもあるのですが、同じ抗生物質でも薬の種類によっては全く問題ない場合もありますし、特定の薬でのみ、いつもせん妄が起こってしまうといったこともあります。

これも服薬を辞めることでせん妄はおさまりますが、薬の服用については、勝手に辞めずに医師の判断を仰ぎましょう。

せん妄が起こったことを伝えて、服用が中止になったり、薬の種類が変わることもありますし、風邪症状を治すことを優先して、24時間体制で介護ができる場合などは、あと2日だけだから飲んでおきましょうと言われることもあります。

 

原因によっては、幻覚や妄想を軽減できる場合があるので、ご本人の心身の様子をよく観察し、適切な対応を行いましょう。



  
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