介護職員の抱く罪悪感とは?

介護の仕事をしていると、時々ご利用者に対して申し訳なさを感じることがあります。

介護の仕事には、これでいいという上限がありません。
究極を言えば、介護が必要な方にマンツーマンで付き添い、あらゆる要望に応え、生活作りをし、人生の応援をすることができれば、ご利用者も支援者も、お互いに高い満足度が得られるかもしれません。

 

でも、実際の介護現場は、妥協の連続です。

 

一人ひとりのご利用者と関われる時間は限られているという現状があります。
ご利用者の想いをゆっくりと聞く時間ももてないこともあり、ご利用者からお願い事をされても、「ちょっと待っててくださいね。」とすぐには対応できないこともあります。

また時間だけの問題ではなく、スキルも大きく関係しています。

本当は浴槽に浸かれるのにもかかわらず、シャワー浴となってしまったり、本当はトイレに座れるのにおむつ交換になってしまったり。。。

 

介護現場は万年人手不足。
限られた人数で、できる限りの介護を行います。

介護職員の中で一人だけスキルが高くても、チーム全体のスキルがなければ、日によって介護の質に差ができてしまいます。

介護の仕事を始めたばかりの頃は、まだ知識も技術もなく、本当はあまり役に立てていなかったのにも関わらず、「私は人の役に立てている!」と思っていました。

介護の仕事が楽しく、少しでも誰かの役に立てているということが、喜びややりがいとなっていました。

でも、介護の経験が長くなればなるほど、だんだん申し訳なさを感じるようになります。

介護の仕事を始めた頃と比べ、圧倒的に今の方が知識も技術も上回っていて、以前に比べてご利用者のお役に立てていることは多いはずなのに、なぜかご利用者やご家族に申し訳ないと感じる。

応えられなくてごめん。
何もできなくてごめん。
力不足でごめん。。。と思う。

自分自身の力だけでなく、チームとしての介護力を考えてしまうからなのかもしれません。
もしくは、本当はこんなもんじゃない、と、自分の力を過信しているからなのかもしれません。

どれだけ支えられているのだろうか?
どれだけ応えられているのだろうか?

そんなことを思いながら、日々介護をやっていました。

そして、こんなにも罪悪感を感じているのにもかかわらず、ご家族からはとても感謝されていたりする。

「いやいや、何もできていないんです。。。」

心の中ではずっとそう思っていました。
申し訳ない気持ちを持っていました。
感謝の気持ちを、素直に受け取ることができなくなっていました。

 

でも、介護の仕事から離れた少しの期間に、気が付いたことがあります。

あぁ。よくやっていた。
私もみんなも、本当によくやっていた。
そう思えました。

「よくやってくれたね。ありがとう。」
「あなたのおかげで母は幸せだった。」
ご家族のその言葉を、ようやく素直に受け取ることができました。

ご家族は本心で心の底から感謝してくださっていました。

信頼している人が自分の親を見てくれているという安心感。

何か特別なことをしてほしいということはなく、存在だけで安心する。
ただの職員ではなく、友人のような、家族の一員のような、とても近い存在。
ご利用者にとっても、ご家族にとっても、そんなふうに関係性が変化していたのだと、改めて感じました。

自分が介護現場から離れてみて、客観的に介護施設を見ることで、ようやくそのことに気が付きました。

再び介護の現場に戻った今は、また初心のように、介護が楽しいと感じています。

 

今、実際介護現場は(業界全体)とても苦しい状況にあると思います。
人手不足や、力不足を感じて悩んでいる介護職員さんも多いと思います。
でも、葛藤しながらも真摯に向き合う姿は、きっとご利用者にもご家族にも伝わっています。

今の自分の力でできること、今のチームの力でできることを、無理せずコツコツとやっていきましょう。

そして何よりも、自分自身が楽しむということが大切ですね。

義務感に押しつぶされず、共に過ごす時間をただただ楽しみましょう。

あなたは十分役に立っているし、あなたの存在そのものがご利用者を幸せにしています。



  
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