認知症によく似た症状が起こる【せん妄】って何?

せん妄とは高齢者によく起こる意識障害です。
夜になると目が冴えて眠れなくなり、幻覚を見たり幻聴を聞いたり、頭が混乱して会話がかみ合わなくなったりします。

認知機能が低下するので、こういった状態を見て、ご家族は「認知症になった!」と思われる方も多く、またもともと認知症を発症しておられる方では「認知症が進んだ!」と思われる方も多いです。

ですが、せん妄は治らない病気ではありません。

原因に対ししっかりとアプローチをすれば、症状は改善します。

では、せん妄になる原因と何でしょうか?

せん妄の原因とは?

①生活環境の変化

高齢者では入院中にせん妄の症状が出る方が多く、これは健康状態も関係するのかもしれませんが、一日中ベッド上で寝たり起きたりの生活だったり、慣れない場所で生活しなければならない緊張感や混乱が大きく影響します。
自分がどこにいて何をしているのか、状況が理解できなくなったり、人がわからなくなったりします。
これは退院してからも少しの間続くことがあります。
入院中はなるべくお見舞いに行き、なじみの顔を見せてあげてたくさん会話をするといいかもしれませんね。

②脱水

若い方でも熱中症などを起こすと意識がもうろうとすることがあると思いますが、これは体の中の水分が不足しているために起こります。
高齢者は喉の渇きを感じにくいので、あまり水分を摂ろうとしない方が多いです。また、おしっこが近くなるからという理由で、自分から水分を控える方もいらっしゃいます。
水分を控えるというのは脱水を引き起こす一番の原因となります。

脱水によるせん妄は夕方から夜にかけて症状が現れやすいのが特徴的です。
昼間はなんともないのに、夜になると会話がかみ合わなくなる、イライラしたり興奮しだすという症状が現れたときには、一日の水分摂取量を測ってみるといいかもしれません。
ちなみにどのくらいの水分を摂ればいいのかというと、食事に含まれる水分以外で1500ccが必要だと言われています。(※病気によっては水分摂取に制限のある場合もあるので主治医と相談しましょう)

③便秘によるせん妄

時々とてもイライラする、ソワソワして落ち着かない、妙にテンションが高いなどという場合には便秘によるせん妄が考えられます。
便秘は食事や水分、運動などで解消することが理想的ですが、どうしても解消できない場合は、お医者さんに頼んで下剤を処方してもらうといいと思います。
ただし、薬は上手に調整をしないと下痢になる場合もあります。
下痢になるときというのは、ひどくおなかが痛くなりますよね。
このおなかの痛みはとても苦痛ですし、それもイライラしたりソワソワしたりする原因にもなるので、少量から始めるといいと思います。

④薬の影響によるせん妄

風邪をひいたときの抗生物質などでせん妄が起こる場合もあります。
これは幻視や幻聴が多く、実際にはない物や人が見えたり、音や声が聞こえたりします。
これも夜間に症状が現れることが多いです。

薬を飲んでこういった症状が現れたときには、勝手に薬を辞めずにお医者さんに相談しましょう。
抗生物質などは期間限定の頓服薬です。
風邪を治すためには飲んだ方がいいという判断をされる先生もいらっしゃれば、薬を変えてみましょうと提案される先生もいます。

薬による幻覚は薬の服用を辞めると症状も収まります。

認知症に似た症状は、実は認知症ではない場合がある

このように、直接認知症が原因で起こる症状ではなくても、認知症に似た症状が現れる場合もあるので、脳の病気を疑う前に、まずは体の調子や環境(生活環境、人間関係)、服用する薬に変化はないかを考えてみるといいかもしれませんね。



  
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