【入浴拒否】お風呂に入るのを嫌がる認知症の人への接し方

お風呂に誘ってもいつも断られる。
もう何日もお風呂に入っていないのに、理由をつけてはお風呂に入ろうとしない。
いわゆる入浴拒否をされる方に対して、どのように接していけばいいのでしょうか?

お風呂へ入りたがらない人への接し方

接し方①

言葉のかけ方(誘い方)を意識する。
みなさんは、ご本人(ご利用者)をお風呂に誘うときにどのように声をかけますか?

お風呂に入ること前提で、「今からお風呂に入りましょう!」と誘っていませんか?

お風呂に入るかどうかを決めるのは、あくまでご本人です。
ですので、こちらは情報の提供をする形で声を掛けます
例えば、
「今お風呂空いていますけど、どうですか?」
「お風呂を沸かしているんですが、入られませんか?」などと、お風呂を使うことができる状況であるということを伝えます

そして、
「いいや、入らない!」と言われたら、「入られないんですね。」と一旦同調し、「何時なら大丈夫ですか?またその時に声をかけさせていただきますね。」と伝え、ご本人が指定した時間にまた声を掛けます。(ご本人に入る時間、声をかける時間を決めてもらう)
そして、約束の時間に、「約束していた時間になったので、またお声をかけさせていただいたのですが。。。」と伝えます。

また、「今、〇〇さんのために沸かしたんですよ~。どうぞ温かいうちに。」と、『あなたのために特別に!』という特別感を伝えます。
自分のためにわざわざ何かをしてくれたというのは、悪い気持ちにはなりません。
表情や声のトーンなど、伝え方にもよりますが・・・。
あまり恩着せがましく、しつこく伝えるのはタブーです。

断られるにしても、イライラしながら断られるのか、「ありがとう。でもね・・・」と穏やかに断られるのかでは、本人の介護者に対しての印象が全く違ってきます。
それは、今後の関係性にも影響してきます。

これらはあくまで例なのですが、大抵何かをするときには、介護者が決定権をもち、「~しましょう!」と声をかけることが多いと思います。
でも、決定権はご利用者の方にあるので、「~します?」とか、「~してみます?」といった、質問する形で提案をしてみたり、「今~ができますよ」といった情報の提供をする形で声をかけます。

また、今都合が悪いのであれば、いつなら大丈夫なのかを聞いて約束をするという方法もあります。
※ご本人は忘れてしまうかもしれませんが・・・。

ご本人に自分で、いつ入りたいのかとか、どうしたいのかということを決めてもらい、ご本人の口から言っていただきます。

 

お風呂に誘うときには、入ってもらいたいという気持ちが強いので、かなり強引な声のかけ方になってしまいがちです。

しつこく誘えば誘うほど「いいや、入らない。絶対に今日は(も)入らない!」となってしまうことが多いです。
「入りましょうよ!」
「入らない!!」
「お風呂に入ったら気持ちいいですよ~。」
「いいや!入らないってば!」

何としてでもお風呂に入らせようとする人、何としてでも入りたくない人、お互いに後に引けないくらいに頑なになってしまいます。

そして、さんざん粘った挙句お風呂に入っていただけないと、介護者は敗北感さえ感じてしまいます。
こんなことが続くといつしか強引に入浴させることになってしまいます。
それは本人のための入浴ではなく、介護者のための入浴です。
だから、「絶対に入浴させなければ!」と感情的になってしまうのではなく、「いつかは入ってもらえるだろう」と少し気持ちに余裕をもち、気長にお付き合いしてみてはいかがでしょうか。

接し方②

誘ってみて断られたら、それ以上は誘わない。
時間を変えたり人を変えたりして、頃合いを見て再び誘ってみる。

複数で支援している場合は人を変えて誘ってみることも効果的です。
そして、その誘った人が入浴のお手伝いをする。

よく誘った人(介護者)と入浴介助をする人が別ということがありますが、これはご利用者からしたら、誘ってくれた人に手伝いをお願いできると思ったら、全然別の人だった・・・と詐欺にあったくらいの感覚になるので、誘ってOKをもらえた人がそのまま入浴介助をするようにしましょう。

その日の入浴当番が・・・とかは関係ないです。
その方に選ばれた人が入浴のお手伝いをします。

誰が誘ってもダメなら、その日は入浴をせずに次の日にまた誘ってみましょう。

接し方③

親しい関係性を作る。

日ごろどれだけその方に話しかけていますか?
お風呂に誘ったり、何か介助をするときだけその方に話しかけていませんか?

親しい関係性ができると、他の職員の誘いは断っても、自分の誘いには応じてくださるということがあります。

これは日ごろの関わり方が大きく影響します。
一緒に過ごす時間や気持ちの共有の差です。

そういった関係性が作れるまでには時間がかかり、すぐにはできないとは思いますが、
もしも、まだ親しい関係性が作れていなくて、その日にお風呂担当だとしたら、お風呂のお誘いのときだけ話しかけるのではなく、朝からその方のそばにいてお話をしたり、何かお手伝いをしてみましょう。

朝から顔なじみのお姉さん(もしくはお兄さん)と認識してもらい、お誘いやお願い事を承諾してくださることがあります。

接し方④

お風呂に入りたい状況を作る。

みなさんはどんな時にお風呂に入りたいと思いますか?
・一日働いた後に、たまった疲れや汗を流したいとき
・寒くて体を温めたいとき
・一日の終わり(寝る前)
・出かける前 などなど・・・

少し散歩した後などは気分が良かったり、一緒に散歩をした職員との関係性も親密になるので、その職員が入浴に誘うとOKしてくださることが多いです。多少の疲れもあるので、「お風呂沸かしてあるから、ゆっくり浸かって疲れをおとしませんか?」と誘うと気分よく入浴してくださることがあります。
逆に散歩で疲れすぎて、「お風呂になんか入らない。」と言われるという失敗談もありますが。。。

また、湯上りにビールを飲むのが習慣だった方に一杯お出しすると、それからは喜んでお風呂に入られるようになることもあります。
(健康状態によってはノンアルコールに変えたりします)
ビールでなくても、炭酸飲料というだけで、スッキリいい気分になられる方もいらっしゃいます。

介護施設のお風呂は入らないけれど、大衆風呂(銭湯や温泉)だったら入るという方もいます。

こういった関わり方は毎日は難しいと思います。
でも、お風呂の嫌いな方は、何日も断られることが多いので、まずは週1~2回を目標に特別な関わりを考えて実践してみてはいかがでしょうか。

その方にとっての入浴が、どのような意味があるのかを考えてみると、何かヒントが見つかるかもしれません。

また、どのようなお風呂だったら喜んでいただけるのかも考えてみましょう。

・香りの良い入浴剤を使う
・柚子を浮かべてみる
・シャンプーするときにゆっくり頭皮マッサージをしてさしあげる
・好みの温度の湯に浸かっていただく

手浴や足浴から始めて、ハンドマッサージやフットマッサージを続けるうちに、「あ~気持ちがいいね。」と気分が変わったところで「あったかいお風呂沸かしてるから浸かりませんか?」というと、「それじゃあ、入ろうか。」と入ってくださることもあります。

単なる清潔保持をを目的とした入浴ではなく「あ~気持ちよかったぁ~」を目標にすると、何かできることが見つかりそうな気がしませんか?

なぜお風呂に入ろうとしないのか??

そもそもなぜ入浴を嫌がるのかを考えてみましょう。
考えられる理由としては・・・
・お風呂が嫌い
・面倒くさい
・お風呂に入る必要性を感じていない
・人に裸を見られるのが嫌だ
・人に手伝ってもらうのが嫌だ
・入浴を手伝ってくれる人に対して抵抗がある(人間関係が作れていない)
・自分がお風呂に入りたい時間帯ではない(介護施設の昼間の入浴)
・お風呂に入ったら風邪をひくと思っている
・もともと1週間に1回しかお風呂に入る習慣がなかった
・水(お湯)が怖い     などなど・・・

お風呂に入りたくない理由は人それぞれです。

その人のお風呂に入りたくない理由はなんなのかを知らずに、ただ『入浴拒否』という言葉一つで片づけてしまっていることもあります。

確かに、認知症の症状の一つとして、お風呂が好きだった方が入られなくなったり、きれい好きだった方が着替えなくなったりということはあります。
でも、『認知症だから』ということで片付けてしまっては、解決にはいたりません。

その方を理解することもできません。
もしかすると、その方なりの理由があり、こちらの考える入浴とその方の考える入浴に差があるのかもしれません。

なぜお風呂に入りたがらないのか?その理由がわかった時に、「あ~、なるほどね~、それでお風呂に入るのが嫌だったんだ。」と、こちらも納得できるかもしれません。

理由が少しでも見当つけば、「それじゃあ、こういうふうにしてみればどうだろう??」と何か閃きがあるかもしれません。
相手の気持ちを知ったり考えたりすることで、解決に一歩近づくことができます。

お風呂が嫌いになってしまうような介助

もともとはお風呂が好きだった方が、認知症になられてお風呂に入ることを嫌がられるようになるケースは少なくありません。
介護施設であれば、「わざわざこんなところで入らなくても、家のお風呂に入るからいい」と断られることもあります。

言い分はごもっともです。
ご本人は家できちんと生活できていると思っているので、人のお世話にもならないし、人様の家のお風呂になんか入らないのです。

また、認知症になってからお風呂が怖くなってしまうこともあります。
それは、介護者の強引で一方的な介助に原因があります。

洋服を脱ぐときに本人のペースを無視して、テキパキと脱がせてしまう。
本人の手で温度の確認をしてもらわずに、いきなり背中にシャワーをかけてしまう。
背中ならまだしも、いきなり頭からザブザブとシャワーをかける。
目に湯が入ろうが、耳に湯が入ろうが気にせずに流し続ける。
まるで物を洗うみたいに体を洗う。
ようやくゆっくりと湯船に浸かれると思ったら、すぐに「そろそろあがりましょう。」と言われる。

人扱いされていないと感じれば、もうこの人の世話にはなりたくないと思うし、ここのお風呂には入りたくないと思うのは当然のことです。
自分の介助の仕方が、本人の希望に沿ったものなのかどうか見直してみることも必要かもしれません。

介護者を変えて誘ってみると効果的だということを先ほどお伝えしましたが、入浴介助においても人間関係は大きく影響します。
この人となら一緒にお風呂に入りたい、この人になら任せても安心と思ってもらえる人は、相手から選ばれている証拠です。

ご指名されるということは、勲章をいただいているのと同じことです。

入浴を拒否する人に問題があるのか、それとも入浴介助を行う人に問題があるのか、本当の問題はどこにあるのかを考えてみると、解決の糸口が見つかるかもしれませんね。

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