周辺症状(BPSD)のケアを考えるポイントとして、人生の課題は解決しているかどうかという点を挙げましたが↓
どのようにそれを見つけて掘り起こしていけばいいのでしょうか?
人生の課題
人生の課題は人それぞれ異なります。
周辺症状(BPSD)が出ている人は、自分の置かれている現実を受け止めきれず、葛藤のさなかにあります。
認知症が深まりつつあるときではありますが、お話を聴くことが可能な状況である人も多いです。
ですから、ご本人のお話をじっくりと聴いてみましょう。
または、行動を共にして相手が訴えようとしていることを感じ取りましょう。
お話をされる中で、事実ではないこと(思い込み)を話される方もいらっしゃいますが、それでもご本人のお話に耳を傾けてみてください。
事実ではないことでも、なぜそのような発想になったのかという原因を考えることで、その方の気持ちに近づくことができます。
気になっていることや後悔、やりたいことややり残したこと、心配事や会いたい人など、それぞれ何かしら消化できない気持ちを抱えていらっしゃることがあります。
家族関係について、すでに亡くなった人のことについて、経済的なことについて、人に認められたいという欲求や愛情についてなど、それぞれ抱える想いは様々です。
誰かに話をすることで気持ちがスッキリし解決することもありますし、何か行動を起こすことで解決することもあります。
行動することで変化していく気持ち
実際には実現することができないことだとしても(すでに亡くなった方に会いたいなど)
実現に向けて行動することで何かが変わります。
この場合、亡くなった方の親族に会いに行ったり、お墓参りをしたり・・・
希望を叶えたり共に行動したりすることで、ご本人は『自分のためにここまでやってくれる人がいる』と思ってくださいます。
たとえ認知症の方でも、自分のことを真剣に考えてくれる人に対しては信頼を置いてくださいます。
そうすると今の状況に納得ができるようになります。
ずっと不安で気になって、心にぽっかり穴が開いたような状態だったのが、別の人の存在でその穴が埋まることがあります。
実際にお墓参りに行ったことで自分なりのけじめをつけられることもあります。
問題自体は解決していなくても、何か行動を起こすことで、気持ちに折り合いがつくこともあります。
忘れてもいいから行動する
認知症は忘れていく病気です。
お墓参りをしたこともすぐに忘れてしまうかもしれません。
でもなぜか、行動を共にしてくれた人のことは心に残っています。
不思議なんですが、何かが残るんです。
本人の中では何かを納得されます。
BPSDの症状を改善するために行動を共にするのではなく、ご本人の希望を叶えるため、気になっている問題を解決するために、人として真摯に向き合っていけるといいなと思います。
どうせ忘れるからと何もしないでいては、いつまで経ってもご本人の気持ちは満たされず、葛藤を抱えたままです。
なにかしら本人の力になれることがきっとあると思います。