認知症の人が怒る原因
認知症の方はちょっとしたことで感情が不安定になり、イライラしてしまうことがあります。
鏡に映った自分の顔を見ただけで、怒りだしてしまうこともあるのです。
鏡現象のことはこちら↓の記事に書いていますので、ご確認ください。
つまり、目の前にいる人の表情にとても敏感ということなんですね。
悪気はなくても、ちょっとした表情の変化や声のトーンなどで怒らせてしまうこともあります。
本人を否定してるつもりはなくても抑圧的にとられ、それに抵抗する形で怒りをぶつけられることもあります。
このようなときは、どのように対応すればいいのでしょうか?
怒りに対しての対応
もしもこちらに非がある場合は謝りますが、それでも怒りが収まらない場合は少し距離をおいて様子をみます。
怒りをおさめようと近づくとさらに興奮が強くなることもあるので、この場合は距離を置く方がいいと思います。
できれば本人から見えないところに移動し、見て見ぬふりをしながら様子を伺います。
一人になると、何かのきっかけで気分がコロッと変わる時がきます。
怒っていたことを忘れられることもありますし、怒り疲れて眠られることもあります。
眠った後はすっかりいい気分になられていたりします。
相手の気分が変わったら、こちらも先ほどのことは根に持たずに明るく話をすると、何事もなかったかのようにまたいつも通りに話しかけてくださいます。
相手の気分に振り回されているという気持ちになってしまうかもしれませんが、気分がコロコロ変わるというのは認知症の特性でもあるということを理解して、あまり深く受け止めすぎず、そういうものだと思うようにしましょう。
相手の気分がいい方向へ変わっていたらそれで良しとし、こちらも明るく優しく話しかけてあげましょう。
距離を置くことができず、詰め寄られたときの対応
こちらには全く非がなくても、何かの拍子にイライラされることもあります。
それは思い込みによるものだったり、ふと偶然見たテレビの情報が影響していたり、原因は様々なのですが、気になることがあって詰め寄られることもあります。
距離を置くことができなくて、相手から質問攻めで詰め寄られた場合はしっかりとお話を聴きます。
この時に必要なのは、相手の味方になること。
話を聴くときに気を付けなければいけないのは、相手の言っていることに対して否定したり説得したりすると、自分が相手から敵対視されてしまうということです。
自分には全く身に覚えのないことでも、「あんたがやったんだろう!」とか「あんたは知っているのに私をだましている!」と言われるような状況になることもあります。
そうなるとますます興奮して攻撃的になる場合もあるので、その時には自分が敵対視されないように、話の中で第三者を立てて、「自分はその人からこのように聞いています。私にも実際のところはよくわからないので確認してみますね。」というような伝え方をして、直接自分が責められないようにすることです。
あくまで「自分はあなたの力になります」というスタンスで話をすると、怒りから愚痴に変わったり次第に頼ってもらえるようになることもあります。
第三者は話の内容によってはいろいろな人を立てていいと思いますが、認知症の方が一番信頼している方を立てた方が、納得してもらいやすいと思います。
またよくある『財布がなくなったという訴えに対して一緒に探す』ということも、相手にとって味方の立場で行動するということですね。
「あんたが盗ったんだろう!」と言われた時に、「自分でどこかにやったんでしょ!」と相手の責めるようなことを言ってしまうと、ますます怒りは募っていきます。
まとめ
怒りに対しての対応のポイントは
・少し距離を置いて相手の気分が変わる(怒りがおさまる)のを待つ
・怒りがおさまったら明るく優しく接する
・詰め寄られたときは、話の中で第三者を立てて自分が敵対視されないようにする
・味方になって、話を聴いたり行動したりする