認知症が深まり生活動作に介助が必要になった方でも、今日はなんだかしっかりしているなと思うときがあります。
普段は介助が必要な方でも、声掛けだけで伝わったり、こちらが思っていた以上に物事を理解してくださることがあります。
進行が進めば、それ以上はよくはならないといわれている認知症です。
認知症の症状が強く表れるときと、そうでないときには、何か違いがあるのでしょうか?
認知症状が改善するときってどんな時?
認知症の症状は一日のうちで強く表れるときと、そうでない時があります。
これを日内変動と言います。
また日によって、状態のいい日とそうでない日がある場合もあります。
日内変動は、身体的な不調が原因で起こることもありますし、生活リズムの乱れから起こることもあります。
また、レビー小体型認知症の特有の症状として起こる場合もあります。
レビー小体型認知症であれば、日内変動はあるものとして受け入れ、見守ることも大切ですが、それ以外の原因で起こる場合は、体の調子を整えることで認知症の症状が改善することがあります。
そして、それ以外にも認知症の症状が落ち着き、理解力が高まる場合があります。
それはどんな時かというと、心が穏やかな時です。
心が穏やかな時に、理解力は高まります。
逆に心が不安な時、イライラしたりソワソワしたり混乱状態になっているときは、生活動作もうまくできなくなります。
誰かに動作のやり方を説明されても、何を言われているのかがわからなくなり、さらに混乱は深まってイライラして、感情が爆発してしまうこともあります。
私たちも日常で身に覚えがあると思いますが、不安の大きい時やイライラしているときは、物事を冷静に判断することができなかったり、人の話も落ち着いて聞くことができなかったりしますよね。
『心の穏やかさ』はとても重要なポイントだと思います。
また、認知症の方はぐっすり眠った後にも表情がいいことが多いです。
決して寝ぼけているわけでもなんでもなく、しっかりと会話が成り立ったり、表情良く受け答えをしてくださることがあります。
普段あまり食事をされない方でも、寝起きでスッキリしている時であれば、よく食べられることもあります。
ぐっすり眠った後も、心が穏やかな状態なんですね。
逆に眠りが浅くて、変な夢ばかりみてしまうと、起きたとしても現実なのか夢なのかが区別できなくなって、混乱してしまうこともあります。
良く眠るということも、とても大切なことであるといえます。
どうすれば本人の心が穏やかでいられるのかを考えてみることに、何かケアのヒントが隠されているのかもしれないですね。