認知症などの病気のことを知るために脳の機能について学ぶと、ここが傷害されたからこういう症状がでるのか・・・それじゃあ、しょうがないか・・・などと思ってしまうことがあります。
でも、認知症は脳の病気であるということだけで片付けてしまうと、私たち介護者の役割がなくなってしまいます。
認知症を治すための特効薬が開発されるのを待つしかなくなってしまいます。
この症状は、脳のどこそこが損傷を受けた結果だからか、もう回復しないとか、脳の病気だから、しょうがないと諦めてしまうと、そこから何も進みません。
認知症を治すことはできない。
でも、認知症と付き合っていくことはできる。
環境次第では、認知症の症状が改善することがあります。
環境次第というところの、その環境のなかに、私たち介護者が含まれています。
認知症介護の実践者として言えるのは、
認知症の方と接していると、説明がつかないような不思議なことがたくさん起こるということです。
覚えているはずがないと思っていたことを覚えていたり、理解していたりする。
できないと思っていたことがあっさりできたり、食べられないと思っていたもの(嚥下機能的に)をペロッと安全に食べたりする。
何かの機能が低下していても、人それぞれ、特別なときに、特別な力を発揮することがあります。
それが、その人の生きる力だと思います。
そういった力を見せつけられたとき、奇跡が起こったかのような感動を覚えることがあります。
一見重度の物忘れがあり、言葉も発することができない、こちらが言ったことも理解しているかどうかわからないと思うような方でも、深く接すれば接するほど、この人は認知症ではない、と思えてくる。
本当は何もかもわかっているのではないかと思える。
ただ、他の人よりも感性が敏感になっていて、それが別の形で表に現れているだけなのではないかと。。。
物忘れは確かにあるし、認知症と診断されてはいるけれども、『全てを知っている人』とも思えるのです。
言葉ではうまく説明することができませんが、病気を患っている人と患っていない人と、何も変わらないと感じます。
『認知症』ということの特別さを何も感じなくなるのです。
【心の反応】認知症ではないのに、認知症状が現れる理由とは?という記事でもお伝えしていますが、人が心穏やかに生活できるかどうかは、生活環境にかかっています。
その生活環境を整えていくことが介護者の役割なのだと思います。
介護としてできることは、、、
丁寧に生活すること
便秘は薬に頼らなくても食べものや運動で改善できる
感染症も普段の生活の中で予防できる
栄養をとる
運動をする
ストレスの軽減
自律神経を整える
免疫力を高める
孤独感や焦燥感の解消
仕事や役割
人の存在価値
人間関係をつなぐ
自己実現
今ある力で、生活していく工夫
医療は病気を治すことを目的としています。
介護は病気と付き合いながら生活していくためのサポートです。
患者として接するのではなく、生活者として接する。
病気がないに越したことはないかもしれません。
でも病気を治すためのお薬や治療法の発見、開発は医療の専門家にお任せして、私たちは私たちにできることをやっていきましょう。
私たち介護者は、介護の力で認知症の方の生活環境を整え、その人らしく生活できるためのサポートを行っていきましょう。