話を聴く際、傾聴することはとても大切ですが、終始うなずきや相槌だけだと、話し手は「本当に自分の話は伝わっているのだろうか」と心配になることがあります。
聴きっぱなしにならないように、聴き手は相手の話の内容を確認するようにすると、『しっかりとあなたの話を聴いていますよ』というメッセージになります。
相手の話の内容を確認する方法
前回の記事で伝えたオウム返しも、あいづちの一つとして、相手に『話を聴いていますよ』というメッセージになります。
例)「~で困ってるんです。」「困っているんですね。」
また、同じ言葉をそのまま繰り返すのではなく、あえて別の言葉に置き換えて伝える方法もあります。
例)「頑張りたいとは思っているんですが、何もする気になれなくて・・・」⇒「やる気が起きないんですね?」
思いをうまく表現できない方に対しては、聴き手が代わりに言葉で表現して具体的にすることもあります。
例)「なんだかこの辺(胸のあたりを指して)がモヤモヤした感じがあるんです」⇒「何か心配事や気になることがあって、気持ちが落ち着かないという感じでしょうか?」
確認して聞き返すことで、相手は
「そうです。そうです。そういう感じです!」
「そうそう、そういうことが伝えたかったんです!」
「いや、そういうわけではないんです。」など、
より自分自身に関心を向け、自分のことを深く考えられるようになります。
また、話し手は、自分が伝えたことを別の人の言葉として再度聴くことで、自分の今の考えや感情を再確認することもできます。
これは客観的に自分を見ることにもつながり、自分で気持ちの整理をつけることができるようにもなります。
話し手が言いたいことについて、聴き手が感じたこと、考えたことなどの解釈が間違っていないかどうか確認すると、話がかみ合わなくなったり、お互いの思い違いを防ぐことができます。
「~という感じでしょうか?」
「~と考えてよろしいでしょうか?」
「~と解釈させていただいてよろしいですか?」といった質問の形をとると効果的です。
要約することで相手の話を確認する
話がまとまらなくて、長くなってしまう人に対しては、話の節目節目で、相手の話の要約をすることで話をスムーズに進めることができます。
例)「(ここまでのお話をまとめると)~ということですね」 「(要するに)~なのですね」
話の中で、相手が一番伝えたかったことを確認する
例)「(つまり)~なのですね」
話し手は、自分の伝えたいことを相手に理解してもらえているのかどうか、自信のない時には、何度も伝え方を変えて同じ内容の話をしてしまうことがあります。
そんなときには、相手の話を要約して確認したり、聴き手としてどのように理解したのかを伝えることで、話したいことがきちんと伝わっているという安心感を与えることができます。
話を要約するためのポイント
要約をするためには相手の話をしっかりと聴いているという前提があります。
話の中で、相手が何を一番言いたいのかを理解しながら聴きます。
そして、重要なことと重要ではないことをわけ、重要なことのみをできるだけ短く、簡潔にまとめて伝えます。
【重要なこと】
・相手の要望や希望
「~したい」「~してほしい」「~を望んでいる」「~したくない」
・相手の感情に直接関連した話(相手の感情が大きく動くキーワードや話)
「~が嫌だ」「~が悲しい」「~が怖い」「~が嬉しい」「~が楽しい」
・話の中でよく出てくる言葉やキーワード
【重要ではないこと】
・前置き
・話の背景の説明
・たとえ話
・論点とずれている話 など
また、話の内容にもよりますが、当事者ではなく、第三者のことを相談されている場合には、5W1Hを意識するとうまくまとめられます。
いつ(when)
誰が(who)
どこで(where)
何を(what)
なぜ(どういう目的で)(why)
どうしたのか(how)
要約したことを伝えて、相手が納得しているかどうか、相手の返答や表情に注意を向けて確認をすることが大切です。
重要なことのみを短い言葉で伝え合い、情報の共有ができると、仕事がスムーズに行えます。