新人の時には多かれ少なかれ、誰しもいろんなミスをしてしまいます。
介護の仕事におけるミスというのは、ご利用者の健康や命に係わる場合もあるので、ミスに対してピリピリしてしまうこともあると思います。
ミスの多い新人職員さんに対して、あなたはどのような感情を抱き、どのように接しているでしょうか?
「なんでこんな失敗するの?」
「なんで言ったことが守れないの?」
「なんでこんなにいい加減なの?」
ミスをした新人さんを頭ごなしに怒っていませんか?
100%新人さんが悪いと思っていませんか?
今度の新人は失敗が多い。。。などとイライラしたりしていませんか?
防げるミスと防げないミス
介護の仕事をしている方はよくご存知だと思いますが、事故には防げる事故と防げない事故があります。
『事故が起きる危険性がある』と予測ができることに対しては、あらかじめ対策を練って対応しておけば、事故を回避することができるのです。
これは、ご利用者へのケアだけでなく、その他の業務に関してもいえることです。
あらかじめ対策を練っておけば、ミスを防ぐことができるのです。
新人さんの失敗は先輩の責任!?ミスを防ぐ体制作り
新人さんがミスをしたのは、新人さんだけのせいではありません。
先輩が配慮していれば、防げていたかもしれないミスもたくさんあるのです。
新人さんはまだ仕事に慣れていません。
だから、ミスをすることは不思議でもなんでもなく、当然大いに起こる可能性のあることだと思ってほしいのです。
「ミスなんてしないだろう」という基準から「ミスをする可能性(危険性)がある」と考えの基準を変えてみてください。
そうすると、新人さんが当日勤務のメンバーにいるのに、先輩である自分がいつもと変わらない働き方(動き方)をしていては、ミスが出るのは当然だという考え方に変わってきます。
自分がミスをさせない!という意気込みが生まれます。
要は先輩がチェック機能となって、失敗(事故など)をヒヤリハットに留めるということです。
新人さんが育つかどうかは、その方の能力だけに問題があるのではなく、先輩の力や指導体制の作り方次第でもあるのではないでしょうか。
同じ職場で働いている仲間として、指導する立場の先輩として、もしも新人さんが失敗したことで第三者に謝る必要のあるときには、一緒に謝るくらいの味方でいてほしいと思っています。
失敗したのは自分ではないから、自分は関係ない。
失敗したのが自分じゃなくて良かった。。。ではないのです。
介護の仕事は個人プレーではなく、チームでやるものです。
だから、人の失敗は決して他人事ではありません。
「自分は悪くない。」「あの人がミスをした。」「自分は迷惑をかけられている。」そんなふうに考えていたら、一向に人は育ちません。
誰がミスをしてもおかしくないようなミスもあります。
今回はたまたま新人さんが失敗をしたけれど、もしかすると自分もミスをするかもしれない。
自分がミスをしないなんて補償はどこにもありません。
でも、もしも今までミスをせずにやってこられたのだとしたら、どのようなことに気を付けていたのか、それをみんなで共有する必要があります。
どのような視点をもち、どのような行動をしていたのか。
そこに、解決策があります。
個人的な仕事の仕方ではなく、チームとして、どうすれば全体がミスをしないようになるかを考えてみましょう。
服薬事故など、何か事故が起こった時には事故報告書を書き、解決策を考えますよね?
個人が気を付ければいいというものではなく、体制として、ミスをしない体制を作っていなかければいけません。
同じように、新人さんと一緒に仕事をするときには、先輩はどのような配慮をしていかなければならないかを考える必要があります。
でも、ただ陰でフォローをすればいいというものではなく、新人さんにもどういった場面でミスをしやすいのか、先輩がどのような配慮を行っているのかについて知ってもらう必要があります。
学んでもらうことで、今度は自分で気を付けることができますし、またその方(新人さん)が先輩の立場になった時にも、後輩に対して同じように配慮ができるようになります。
失敗を人ごとのように考え、「新人が使えない。」なんて言っていたら、新人さんも自分も成長しませんし、チームとしての成長もありません。
ケアに関することだけでなく、間接業務でのミスも目立ったら、ルール作りをしていけばいいのではないでしょうか。
ただ、ルールが多くなりすぎると、その分やらなければならないことが増えて大変になります。
ですので、期間限定で行うようにして、その間に覚えてもらい、習慣づいたらそのルールはもう必要なくすといった方法をとってもいいかもしれませんね。
人を育てるためには相手のことを知ることが大切
新人さんが入ってきたら、先輩である自分の役割や仕事が増えると考えた方がいいです。残念ながら、仕事が増えます。
新しく入ってこられた方が経験豊富な方であれば、勝手にどんどん育ってくれるので、その分とても楽だと感じるかもしれません。
経験によって、伝えることの量も配慮もずいぶん変わってきます。
ですから、「あの人はできるのに、あの人はできない」などと、人によってどうしても比べてしまうこともあるかもしれません。
でも、その方(新人さん)の経験や性格によって、フォローの体制が変わってくるのは当然のことだと思います。
それは、ご利用者に対してのケアと同じだと思うのです。
職員に対しても個別に、特別に配慮しなければならないことがあります。
伝え方や叱り方、言葉の選び方も相手に合わせて変えていく必要があります。
他のスタッフから「人によって対応が違う」と言わることもあるかもしれませんが、違って当然なのです。
ゴールは『その人に仕事ができるようになってもらうこと』。
そのための道のりは、『その人に最適な道を選んであげる必要があり、その道は個々で違う』というのは当然です。
同じ失敗でも、ものすごく反省している人に対して伝える言葉と、あまり危機感を感じていない人に対して伝える言葉とでは、使う言葉や伝え方も変わります。
10分話せばわかってくれる人もいれば、30分話をしてようやく理解してくれる人もいます。
まさにご利用者へ行うアセスメントと同じで、新人さんがどのような性格で、どのような思い癖があるのか、またどのような配慮が必要なのか(危険性や注意点)、その方の強み(趣味や特技、いいところ)などを知ることから始めてみましょう。
ごはんに誘ってみよう!
相手に対して嫌な感情をもっていると、それは相手にも伝わってしまいます。
仕事上で叱ることは大切ですが、相手の人格を否定してしまったり、気分に左右されて感情論で伝えてしまったりすると、どんどん関係性が悪化してしまいます。
新人さんはただでさえ、先輩に対して緊張感をもっているので、職場から一歩離れたところで、人対人としてお互いに知り合う機会を作ってみてはいかがでしょうか。
じっくり話をしてみると、意外と熱い思いをもっていたり、悩んでいることがわかったり、今まで知らなかったその方の想いを知ることができます。
同時に、自分の気持ちも知ってもらうことができます。
また、今自分がその方について知っているのは、仕事上での新人職員としての一部分だけです。
その方の人間性や、人生観、これまで経験してきたことや趣味、特技などを知ることによって、新人職員としてではなく、人としてその方のことを見ることができるようになるかもしれません。
仕事とは関係のないところでその方のことを改めて知ると、いいところがたくさん発見できます。
相手を変えようとしても大抵うまくいかない
職場では自分が先輩で、新人さんは「まだまだ仕事ができない人」という見方をしてしまうかもしれませんが、その方が自分よりも優れているところは必ずあります。
相手を受け入れたり認めたり、尊敬の念を持ったりすると、言葉や態度など接し方が変わってきます。
そうやって関係性が変わってくると、次第に新人さんも応えてくれるようになるはずです。
ミスをする相手を責めるよりも、自分自身が人を育てられるだけの力をつけていけるように努力してみると、他人に対しての気持ちが変わっていき、それが周りにも広がって、職場の雰囲気も変わってきます。
人を育てるというのは、とても大変でパワーのいることですが、自分を一回り大きくさせてもらえる貴重な経験だと思います。
でも自分一人で頑張るのは大変だと思うので、一緒に新人指導をしてくれるような協力者(先輩仲間)を増やしていけるといいですね。