【介護の仕事】離職を防ぐ新人職員の迎え方

介護の仕事についても、すぐに辞めてしまう人は少なくありません。
その理由は、「自分にはやはり介護の仕事は向かないと思った」とか、「職場の雰囲気や人間関係が合わないと思った」など、いろいろな理由があります。

退職の理由がその方の家庭の事情や体調面など、職場の努力ではどうにもならないことであれば仕方がないのですが、職場サイドの努力次第では続けてもらえるようなことが理由なのであれば、改善をすることで離職率を減らすことができます。

特に初めて介護の仕事をされる方は、入職してからは悩みの連続です。
介護の仕事に慣れるまでにどれくらい周りの人の支えがあるかによって、仕事を続けられる期間も変わってくると思います。

今回は、介護施設における新人職員さんの受け入れ方についてお話したいと思います。

新人職員さんの受け入れ方

介護施設で働いているみなさんの職場では、新しく利用されることになった利用者さんをどのように迎え入れますか?
施設として、どのような受け入れ方をしますか?

利用初日は、丁寧にごあいさつをして、他の利用者さんを紹介して、職員もみな自己紹介をしますよね?
そして、初めて来た場所で居心地の悪さを感じているだろうから、緊張をほぐすために職員が当分付き添きそう。
他の利用者さんと触れ合えるように仲介してお話する場を設けたり、施設内を案内したり設備の説明をしたり、生活や過ごし方などの説明を丁寧に行いますよね?

不安な時に頼れる人が必要なので、一人の職員が中心となって一日関わる。
場に慣れるまで、利用されてから当分の間特別な配慮をする。

こんなふうにして、始めて利用されるご利用者の緊張や不安を和らげるのではないでしょうか?

では、職員として、新人さんが来たときはどうしますか?
案外放ったらかしという現場も多いのではないでしょうか。
少し離れたところから見て、新人さんの積極性を試したりしていませんか?

利用者には優しいのに、職員には優しくないという現場は多いように感じます。

新しく来た場所で、これからやっていけるかな・・・という不安は、利用者も職員も同じなんです。
そして、初日が一番大事。
初日に経験したこと、初日に感じたことが次の日への活力になります。

初日に嫌な思いをしたら、「もうここには居たくない」と思います。
デイサービスの利用者であれば、利用を辞めるかもしれませんし、入居施設の利用者であれば、家に帰りたいと思うでしょうし、職員であれば、働くのを辞めたいと思うでしょう。

利用者を大事にするように、ぜひ職員も大事にしていただきたいと思います。

新人職員の初日

今日から働くという職員さんが来られたら、まずはオリエンテーションをします。
お互い自己紹介をして、雑談を交えながら緊張をほぐします。

<オリエンテーションで話すこと>
・仕事をする上での庶務や注意事項など
・今日やることや、独り立ちまでの流れなど
・初めてあいさつをするときに配慮や注意が必要なご利用者についてなど
あまり緊張感や先入観をもたれないように、軽い雰囲気で大まかに伝えます。

質問などを受けた後オリエンテーションを終えて、他職員やご利用者に紹介します。

ご利用者と話をするときには、指導担当の職員もその場に一緒にいて、話をふったりしながら話しやすい雰囲気を作り、一人にしても大丈夫そうだと思ったらその場を離れ、新人さんに任せるといいです。

話がひと通り終わって、何をしたらいいかわからない様子であれば声をかけ、質問を聞いたりご利用者のことを説明したり、これからどのように時間が流れていくかなどを説明します。

まだお話をしていない方と話をしてもらったり、軽作業を手伝ってもらったりして、初日は実務には入らずに、ご利用者のことを知ってもらったり、職場の雰囲気を感じてもらいましょう。

ある程度自由に過ごしてもらい、先輩職員はつかず離れずの距離にいて、困ったことがあれば相談にのれるように見守りましょう。

一日が終わるころ、終業時間前にも少し時間をとって一日の振り返りを行います。
この振り返りでは、一日過ごしてみた感想や気になったこと、介護観についてなど話し合うといいです。

指導担当職員の役割

指導担当の職員は、新人さんが場になじめるように、ご利用者や他職員と話しやすいように質問したり話をふったりしながら配慮します。

一日も早く仕事を覚えてもらいたいという気持ちはわかりますが、指導担当としての初日の目標は、新人さんに仕事を覚えてもらうことではなく、新人さんの居場所作りです。
「楽しい職場だな。なんとか働けそうだな。困ったことがあっても職員さんが協力してくれそうだな。」と思ってもらうこと。

いいチーム作りがいい介護をすることにつながります。

だから新人教育には力を入れる必要があります。
それは新人職員さんのためでもあるし、先輩職員さんのためでもあるし、ご利用者のためでもあります。

新人の時にしてもらったことは、自分が先輩の立場になったときに、後輩にしてあげることができます。
指導担当の職員だけでなく、全職員が新人教育に何らかの形で携わり、人を育てることの大切さを実感できるようにします。
後輩思いの面倒見のいい職員を育てることで、チームの絆は広がっていきます。
ご利用者のことばかりでなく、他職員を気遣うということを体感してもらうことで協力体制ができ、結果ご利用者へのケアの質の向上につながります。

新人職員さんに配慮をしたり、仕事を教えたりするのは正直時間をとられます。
丁寧に関われば関わるほど時間をとられ、その分介護現場が手薄になり、他職員に負担がかかるかもしれません。
でも、それでも丁寧に関わる必要があると思っています。

おそらく一ヶ月で独り立ちという介護現場が多いと思いますが、OJTとして職員が付けるこの一ヶ月を大切にしてほしいのです。(もちろん独り立ちをした後のサポートも必要ですが)
介護の人手が手薄になる目先の大変さよりも、長い目で見ていい人材を育てるために、新人さんには多くの時間を割いてほしいと思います。

何度も言うようですが、それが結果として他職員のためにもご利用者のためにもなるからです。

 

利用者には優しいのに、職員には厳しい。
こういった職員さんもいらっしゃるかもしれませんが、仕事の厳しさはご利用者が教えてくれます。
介護の仕事は不安や恐怖感を感じやすい仕事です。

何か失敗すれば責任や罪悪感を強く感じますし、新人の頃は知識不足や技術不足を痛感します。
誰かに何か言われなくても、ご利用者と接したり介助をすることを通して反省する経験はたくさんします。

介護の仕事の厳しさも難しさも、楽しさも感動も、全てはご利用者が教えてくださいます。

だから、先輩職員は新人さんをフォローすることに徹しましょう。
新人さんの性格によっては、同じ状況でも慰める場合と注意をする場合と変えていかなければならないこともありますが、こまめに面談を行い、新人さんの性格を知ったり、思いや悩みを聞くことで適切な指導ができるようになると思います。

ご利用者へのケアをするのと同じように、新人さんにも気を配ってあげましょう。

今度の新人は役に立つかどうかなんて、判定するようなことをしたり期待したりするよりも、自分たちが育てていくという意識をもつことが大切なのではないでしょうか。
新人さんに求めるよりも、まずは、先輩自身が人を育てられるような人間に成長することが先なのではないかと思います。



  
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