レビー小体型認知症の原因や症状の特徴・パーキンソン病との違いは?

レビー小体型認知症は、1976年に小阪憲司氏によって報告された認知症で、1990年代後半から一般的にも徐々に知られるようになりました。

認知症のなかでも、現在アルツハイマー型認知症に次いで多いとされる認知症で、全体の約20%を占めます。

レビー小体型認知症になる原因は?

レビー小体型認知症は、αシヌクレインという異常なたんぱく質で構成されたがレビー小体が脳に蓄積することで発症する認知症です。
レビー小体が溜まる場所は、主に脳幹や大脳皮質で、レビー小体が溜まった場所は神経細胞が壊れてしまうため、脳が正常に働かなくなり認知症状が現れます。

脳幹の働きとして、呼吸や血液循環、体温調整、運動機能調整などがあり、人が生きるうえで、生命の維持に欠かせない重要な役割を担っています。

大脳皮質は思考、推理、記憶など、情報をもとに判断して適切な指令を出す役割があります。

こういった重要な働きをしている部分が障害を受けるので、認知症の症状が現れたり、体や運動機能にも変化が現れるようになります。
自律神経に障害が出るため、脳だけでなく全身に症状が出現するといった特徴があります。

レビー小体は、パーキンソン病患者の脳にも確認されるたんぱく質ですが、なぜこの異常なたんぱく質が蓄積するのか、その根本的な原因はわかってはいません。

レビー小体型認知症とパーキンソン病との違いは?

レビー小体は、パーキンソン病の方の脳にも確認されるたんぱく質です。

では、レビー小体型認知症とパーキンソン病では何が違うのかというと、レビー小体が蓄積する場所が違うのです。

パーキンソン病の場合は、脳幹の中にある中脳の黒質(ドーパミン神経細胞が変性脱落したところ)に集中してレビー小体が認められます。

レビー小体が脳幹だけでなく、大脳皮質にも蓄積が認められるとレビー小体型認知症となります。

ですので、場合によっては初めにパーキンソン病と診断され、後にレビー小体型認知症になることもあります。

レビー小体型認知症の症状は?

レビー小体型認知症の症状として、3大症状という特徴的な症状があります。

それは、1.幻視 2.パーキンソン症状 3.認知機能の変動 です。

1.幻視

幻視とは、実際には存在しないものが見えるという症状です。

レビー小体型認知症の方の幻視は、本物のようにリアルにはっきりと、色や形、動きが明確に見えるといわれています。

見えるものとして、虫や小さな動物、人などが多く、また見えるだけでなく、音(幻聴)も聞こえることもあります。

本物と同じように見えるので、話しかけたり、虫や動物の動きに怖がったりすることもありますが、軽度の方は「これは幻視である」と自覚し、冷静に見ている方もいます。

幻視は夜間に見られることが多いといわれています。

2.パーキンソン症状

パーキンソン病の症状として、無表情・筋固縮・動作緩慢・前屈姿勢・小幅歩行などがありますが、レビー小体型認知症の方にも、こういった運動機能の低下がみられます。

体や表情が硬くなり、体の動きが減ったり、ぎこちない動きになる
手がぶるぶると震える
姿勢が前傾になり、前へつんのめるような歩き方になる

さらに、小股でちょこちょこと歩くため、バランスを崩しやすくなったり、歩き出すと突進して止まれなくなるなどの特徴があります。

また運動機能の障害だけでなく、便秘やめまいなどの自律神経症状、不眠などの睡眠障害、無関心やうつなどの精神症状も現れることがあります。

認知症の初期段階では記憶障害が軽い場合もあるので、パーキンソン病と区別することが難しい場合もあります。

3.認知機能の変動

記憶力や判断力の低下も見られますが、そういった認知機能は一日のうちで変化しやすく、日内変動があるというのが特徴的です。

物事がはっきりと理解できる時と、ボーっとしていて判断力が低下しているときがあり、時間や、場所、状況などによって変動していきます。

 

レビー小体型認知症の発症年齢は?

レビー小体型認知症の発症は、65歳以上の高齢者に多くみられますが、早い方では40代から発症するケースもあります。

また、アルツハイマー型認知症は女性に多くみられるのに対し、レビー小体型認知症は男性に多い傾向があります。



  
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