アロマテラピーはなぜ認知症に有効なのか??【浦上式アロマ・みんなの家庭の医学のまとめ】

2014年にテレビで『アロマが認知症の予防や改善に効果がある』と放送されて以来、アロマに注目している方が年々増えているように感じます。

なぜアロマが認知症の予防や改善に効果的なのかということについて、ご紹介していきたいと思います。

テレビで紹介されたアロマで認知症の予防ができる方法とは?

テレビ番組『みんなの家庭の医学』でアロマの効能についてご紹介くださったのは

鳥取大学医学部教授 医学博士
浦上克哉先生

浦上先生は1980年代より鳥取大学医学部で認知症の研究に取り組んでこられました。

先生は、認知症の方には早い段階から嗅覚の衰えがあることを発見し、脳の神経細胞の中でも再生が可能な嗅神経を効果的に刺激することで、認知症を改善したり予防したりできるのではないかと考えられたそうです。

アロマテラピーとして精油の香りを嗅ぐことで『嗅神経』が心地よく刺激され、記憶力を司る『海馬』にも良い影響を与えることがわかっています。

 

番組ではモニター使用された方の様子が紹介されていましたが、認知機能の低下が見られない正常の脳でも、アロマの香りを1週間毎日嗅いでから行ったテストでは、認知機能が向上している結果となりました。
また、以前は何をすればいいのか忘れたり迷ったりする方が、複数の物事を同時進行で行うことができるようになったり、物忘れが改善されたりといった様子が見受けられました。

日本では、アロマテラピーというとリラクゼーションを目的に使用されることが多く、趣味や遊びの一環のように感じられるのですが、実はフランスやベルギーでは、メディカル目的としてアロマオイル(精油)が使用されており、様々な用途で用いられています。

アロマオイルの使い方

さて、一定時間香りを嗅ぐだけで、認知症の予防や改善に役立つというアロマオイル。
どのように使用するのでしょうか。

使い方は簡単。
ブレンドされたアロマオイルの香りを嗅ぐだけです。
ただ、香りを嗅ぐだけといっても、瓶から直接嗅ぐのではなく、アロマストーンに2~3滴たらしたりディフューザーなどで拡散したりして、心地よくほのかに香る環境を作っていきます。

アロマテラピーに用いられる精油は高濃度なため、効果的に嗅神経を刺激しますが、勢いよく嗅いだり量が多すぎたりすると、刺激が強くなり過ぎて痛みの神経にまで作用してしまい、鼻の奥や頭が痛くなることもあるので注意が必要です。

日中は何かと動き回ることが多いと思うので、座ってじっと香りを嗅ぐというのは難しいと思います。
そんな場合は、首からぶら下げて使えるアロマペンダントなどもおすすめです。

アロマオイル(精油)って何でできているの?

一般的にはアロマオイルという方がなじみが深いかと思いますが、専門家がアロマテラピーに用いるオイルは、天然の植物から採れた純度100%のもので、これをエッセンシャルオイルといいます。
精油は、植物から抽出した香りの成分(芳香分子)です。
植物の花や葉、木部や枝などを蒸したり、果皮を搾ったりして抽出します。
香りの成分がギュッと凝縮しているので、とても高濃度で芳香性も高いです。

昼用アロマと夜用アロマの最も効果的な配合とは?

昼用アロマ(神経細胞を活性化する)
ローズマリー・カンファ― 2滴
レモン 1滴
2:1の割合でブレンドする

夜用アロマ(神経細胞を鎮静化する)
真性ラベンダー 2滴
オレンジ・スィート 1滴
2:1の割合でブレンドする

使用する時間は
昼用アロマ 午前中に2時間以上
夜用アロマ 就寝1時間前から2時間以上

注意点
アロマを鼻に近づけすぎると頭痛を起こしたり不快感を感じることもあるので要注意!
香りの刺激が嗅神経だけでなく、痛みの神経にも作用してしまう。
香りが氾濫しているので、化学合成で似たような香りを作って販売しているところもある。
そういった製品に注意する。
化学合成したものではなく、天然の植物から抽出したものを使用する

浦上先生にQ&A
Q.夜用だけ使用してもいいのか?
A.夜用だけでも使わないよりはいいが、昼用アロマは神経細胞を活性化する働きがある。
また昼だけだと、神経細胞を活性化させるので「がんばれ!がんばれ」と神経を疲れさせてしまうことになる。
がんばった細胞を鎮静化させることが必要になる。

昼用と夜用を併用した方が神経細胞の活性化と鎮静化ができるため、効果的である。

Q.40代から使用しても効果があるのか?
A.効果は期待できる。
認知症は65歳以上になると発症しやすくなるが、実は、10年も20年も前から脳の中では変化が始まっている。
だから、早ければ40代、遅くても50代から始めると効果が期待できる。

以上が番組で紹介された内容です。
※一部説明の補足等を行っています。

 

昼用アロマを使用するときの注意点

昼用アロマにはローズマリー・カンファーが使用されています。
精油に含まれるケトン類という成分には神経毒性や堕胎作用があります。

もちろん心身にいい影響をもたらす作用もいろいろとあるのですが、アロマテラピーの分野では使用を慎重にしています。
浦上先生は著書の中で、『医療の分野では神経毒性があるからこそ、神経刺激に効果がある』また『用量を間違えなければ薬になる』と言われていますが、正しく使うことが重要です。

アロマテラピーの分野では、神経系統の弱い方やてんかんを持っている方、妊娠中、授乳中の方、乳幼児への使用は禁忌となっています。
また、血圧上昇作用がありますので、高血圧の方も使用を避けた方がいいのですが、浦上先生の著書には、『高血圧の方は使用前にかかりつけ医の先生に相談することと、毎日血圧測定を行い、変化を見ながら使用するように』と記してありますので、これはもう、ドクターが行う治療の域ですよね。

話題になっているから使ってみようかなと、興味本位で使われる方も多いのではないかと思いますが、精油に関して正しい知識をもつことが大切です。
そして、それぞれの精油のもつ禁忌事項や注意事項を守り、自己責任のもとで安全に使用できるようになることが必要です。

禁忌事項に該当しない方にとっては、使用することで、テレビでも紹介されていたように明らかな変化が期待できるかもしれません。
自分(または家族)は使ってもいいものかどうか、不安な方はかかりつけ医の先生に必ず相談するようにしましょう。

ちなみに夜用のブレンドオイルには、特別な禁忌事項はないのですが、どんな精油でも正しい使い方をしなければ体に負担になることもありますので、使用上の注意点をしっかりと守ってください。

浦上先生の著書には、アロマオイルの使い方や注意点などが記されているとともに、認知症の研究からアロマテラピーにたどり着くまでの道のりや、認知症という病気について、また精油の効能や医療分野で役立つアロマテラピーなどについて記されています。

 

著書の中でも紹介されている鳥取大学医学部開発ブレンドアロマです。

衣服の襟の裏などに貼れるパッチも販売されています。

嗅覚と香りと記憶

嗅覚の特異性

五感の中でも嗅覚は特別な性質があります。
通常味覚や聴覚などは脳の中の大脳新皮質(知覚や思考、判断などを司る部分)というところに情報が行き、そこでどんな味なのか、またどんな音なのかなどが認識されます。
でも嗅覚だけは、大脳辺縁系(本能や自律神経、記憶などを司る部分)に先に情報が行き、その後で大脳新皮質に情報が伝わって、どのような香りなのかが認識されるのです。

どういうことかというと、大脳辺縁系にある扁桃体という部分は、快・不快、安全か危険か、安心か恐怖かなどを感じる部分なのですが、嗅覚から感じた情報は、ダイレクトにその部分に届くのです。
香りを嗅ぐと、たったの0.2秒で到達すると言われています。
これはつまり、頭で考える間もなく(知的な部分で情報を判断するよりも先に)体が反応するということなのです。

香りを嗅いで、頭で「あぁ~いい匂い。落ち着くな~。」と考えるよりも先に、体はすでにリラックスし始めているということなんですね。

香りと記憶の関係

ある香りを嗅ぐと、昔の記憶やその時に感じた感情がよみがえることがあります。

この現象は「プルースト効果」と呼ばれていて、フランスの作家のマルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』の中で、主人公がマドレーヌの香りをきっかけに幼少期の思い出の記憶がよみがえるというシーンが名前の由来になっているといわれています。

ある特定の香りを嗅ぐと、昔の記憶とリンクし、その記憶がよみがえったりその時に感じた感情も呼び起こされ、心地よい気分になったり切なくなったりします。

懐かしい香り、特別な香りは記憶を呼び起こすことができます。

人にはそれぞれ思いで深い香りがあると思います。
無意識のうちに嗅いでいた実家の匂い
海のそばで育った人は潮の香りを嗅ぐと懐かしいと感じるかもしれません。
子供のころ、兄弟や近所の友達と海で泳いだ記憶がよみがえるかもしれません。
山の匂い、農家の匂い、都会の匂い、畳の匂い、さまざまな匂いがあります。

香りと記憶は密接に関係しているのです。

認知症の人は嗅覚が衰える

認知症の症状の一つとして、嗅覚の衰えがありますが、実は物忘れが症状として表れる前から嗅覚の衰えが見られることがわかっています。

認知症は発症する何年も前から脳に変化が起こっていると言われていますが、脳神経の一つである嗅神経もまた、早い段階から変化が起こっているということなんですね。

でも実は、嗅覚は鍛えることができるのです。
そして、嗅神経は再生することができます。

以前は脳の神経は一度障害を受けると再生はされないと言われていましたが、嗅神経や記憶を司る海馬は再生することが明らかになっています。

嗅覚の鍛え方

嗅覚を鍛える方法は、香りに意識を向けるということです。

現代は情報過多の時代なので、視覚や聴覚から入ってくる情報の方が多く、嗅覚よりも視覚や聴覚の方が優位に働いています。
香りに意識を向けることで、匂いに敏感になってきます。
香りの良いエッセンシャルオイルを使用したアロマテラピーは、嗅覚を鍛えるのに適した療法といえます。

精油の作用は様々で、心が落ち着いたり集中力を高めたり、やる気が出たり、スッキリした気分になったりと、精油自体の作用で体が変化していくことも期待できますし、香りを嗅ぐという行為自体にも嗅神経を刺激する効果があるといえます。

精油の香りを嗅ぐことで『嗅神経』が刺激され、記憶力を司る『海馬』にも良い影響を与えることができます。

認知症のケアとして、上記のブレンドオイルが紹介され話題になっていますが、実は好きな香りの精油を用いてアロマテラピーを行うということだけでも、心身にとってとてもいい影響をもたらすのです。

おさらい

エッセンシャルオイル(精油)を購入するときの注意点

化学合成で作られたものではなく、天然の植物から抽出されたものを選ぶ
※化学合成で作られた合成香料により、体調を崩すという被害(香害)が発生しています。

エッセンシャルオイル(精油)を使用するときの注意点

勢いよく嗅がない
精油のなかには種類にもよりますが、神経を刺激する作用のあるものもあり、勢いよく嗅ぐと痛み神経にまで作用が及び、鼻の奥や頭が痛くなることがあります。(昼用アロマで使用されているローズマリーカンファ―には神経を刺激する作用があります。)
香りを嗅ぐときには瓶を鼻に近づけすぎず、少しずつゆっくりと嗅いでください。
また、アロマストーンやアロマペンダント、アロマディフューザーなどを使用し、精油の用量を守って使用してください。

精油を直接手で触らない
精油にはアロマトリートメントとしての使用方法もありますが、トリートメントオイルはホホバオイルなどの植物油で精油を1%~2%に希釈して作ったものを使用します。
精油原液はとても高濃度のため、皮膚に付着すると赤みやかゆみが出たりシミになったりと、皮膚トラブルを招く危険性があります。
直接手で触れないように注意しましょう。
直接触れてしまった場合は、拭き取ったり洗い流したりして精油を除去しましょう。

※アロマテラピーは医療行為ではありません。また、全ての方に効果を補償するものではありません。自己責任のもとで安全に行ってください。



  
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