責任が重すぎて介護の仕事が怖い

介護の仕事をしている人のなかには、介護をすることに対して恐怖感を感じている人も多いと思います。

特に、ご利用者の急変や事故に遭遇した人は、たとえ自分が引き起こしたことではなかったとしても、大きな恐怖や責任の重さを感じます。

自分の行動一つで、一人の人の命を奪ってしまう危険性があるということ、そして、そういった状況に常にさらされているということを実感します。

ちょっとしたことでその方の生活・人生が変わってしまう。

死に直結することもある。

そういったことを考えていくと、介護の仕事に対して大きなストレスを感じます。

みんなはどうやってこの恐怖感を乗り越えているのでしょうか?

介護の仕事に対する恐怖感はどうすれば乗り越えられる?

介護の仕事に対して特に強く恐怖感を感じるのは、介護を始めたばかりの頃や、転職などで、介護度の重い方のお世話をしたり、看取りの介護を行ったりするようになったときだと思います。

私も介護の仕事を始めたばかりの頃は特養で働いていて、毎日が恐怖感との闘いでした。

ご利用者の体に触れることすら怖くて、拘縮のある方などには、どの程度力を加えて体を動かしていいのかがわからず、恐る恐る体に触れていました。

フロアに一人で夜勤をするのも怖かったですし、何か起こるのではないかといつもビクビクしていました。

実際に事故や急変を何度も経験しました。

「自分のせいで・・・」とか、「もっとどうにかできたんじゃないか・・・」とか、罪悪感や恐怖感で、仕事をするのが本当に嫌になっていました。

でも、そんなとき、心の支えだったのは先輩の存在です。

先輩の経験談を聴かせてくださったり、起こった出来事に対してのフィードバックを行ってくださいました。

出来事によっては、反省すべき点や、私がすべき最善のことはなんだったのかがはっきりとわかることもありましたが、誰にもどうすることもできない、その場にいたのが私であろうと、先輩であろうと、看護師さんやご家族であっても、誰にもどうすることもできなかっただろうということもありました。

そういった時には、「今回のことはしょうがなかった」と切り替えるほかありません。

でも、「経験を次に活かす」とか「失敗を次に活かす」という言葉をよく聞くと思いますが、なかなかそんなふうには気持ちの切り替えはできませんよね。

いつまでも、罪悪感や恐怖感を引きずってしまいます。

 

でも。。。

 

ご利用者は待ってはくれません。

私の気持ちがどうであろうと、急変は起こるし、事故につながるような行動を起こされます。

 

そして、日々ご利用者との関わりを通して、ご利用者が『ただのご利用者』から、少しずつ『大切な存在の〇〇さん』に変わっていきました。

そうすると、この〇〇さんを守るためにはどうすればいいかを考えられるようになってきます。

『ただの恐怖感』から、『事故を防ぐための思考⇒行動』に切り替えなければ、また事故が起こってしまう、という考え方に変わっていきます。

気持ちを切り替えていかなければやっていけないほどに、日々いろいろなことが起こる、切羽詰まった状況で、心が鍛えられていったのかもしれませんし、ご利用者との関係性の変化が、自分の気持ちの変化に影響したのかもしれません。

これは私の体験ですが、他の方のお話を伺ってみると、長年介護を続けられている方はタフな方が多いように感じます。

 

一時的にショックは受けるけれども、「起こってしまったことはしょうがない」と受け入れられる人。

もしかすると自分にできることがあったかもしれないのに、「自分にはどうすることもできなかった」または、「自分はやるべきことはやっていた」と開き直れる人。

起こってしまったことをどうすれば次に起こさずに済むか、すぐに今後に向けて考えを切り替えられる人。

一度の事故で、大きな責任を感じて辞めてしまう職員さんもいる中で、なぜつらいことがあるのに介護の仕事を続けられているのかというと、純粋にお年寄りが好きという気持ちをもっていて、それがつらいことよりも上回っていたり、気持ちの切り替え方を知っていたり、タフな心を持っていたり・・・といった理由が大きいのではないでしょうか。

そして、一つ一つのつらい経験があるからこそ、それを無駄にせずに、他のご利用者やこれから出会うご利用者を守るための力としている人もいます。

他職員の支えがあれば乗り超えられる

一人で悶々と考えていても解決しないことも多く、ネガティブな考えばかりが浮かんできてしまうこともあると思います。

そんな中で、他職員の支えは本当に大切です。

きっとみんな同じように恐怖感を経験してきています。

職場で、『怖い』ということについて相談できる人がいるといいですね。

いくら「怖い」と言っても、「大丈夫、大丈夫!」と軽くあしらわれ、解決しない場合もありますが・・・。

でも気持ちを正直に話すことによって、先輩や同僚から気遣ってもらうことができます。

ある出来事に対しての捉え方などを修正してもらえる場合もあります。

罪悪感というのは、ある出来事に対しての自分の捉え方が影響しており、恐怖感は未だ経験していないことに対しての不安や、自分の勝手な想像力が大きく影響しています。

同じ出来事を経験したとしても、他の人は自分とは違う感じ方をしている場合もあるのです。

反省したり、恐怖感を感じたりすることも必要ですが、あまりにもそういった感情が強すぎると、前に進めなくなってしまいます。

どのように考えればいいのかを、リーダーさんや相談員さんに相談して、フィードバックを受けることで、恐怖感しかなかった心の中に、別の感情や考え方が生まれてラクになることがあります。

一人で抱え込まずに、職場の先輩に相談してみましょう。

介護歴10年を超えた職員の覚悟

責任感や恐怖感を強く感じる仕事ですが、長く続けている方はどうして介護の仕事をし続けられるのでしょうか?

経験の長いベテラン職員も、決して恐怖感がゼロではありません。

何もないに越したことはないと思っています。
みんな元気で何事もなく、楽しく安心して毎日を過ごしたいと思っています。

でも、実際には介護現場では様々なことが起こる。

それでもなぜ仕事をし続けられるのでしょうか?

 

一つは、経験を積むと、失敗が少なくなってきたり、何か起こった時も、自分がどう行動すればいいのかがわかってくるため、その分、どしっと構えていられるのかもしれません。

また自分の行動を通して、後輩に伝えていかなければならないと感じています。

何か起こった時に緊張は走るけれども、対応の仕方を知っている、そして、それを後輩に伝えていかなけれなならないと思っている。

 

もう一つは、ある種の覚悟のようなものをもっている。

何が起こってもおかしくない、そういう人たちを相手に仕事をしている。

私たちはそういう人たちを支える仕事をしている。

終末期の看取りのときなどは、新人の頃は「自分の夜勤のときに当たってほしくない。怖い。」と思っていたのが、経験を積み、またご利用者との関係も深くなると、自分がこの人を看取らせてほしいと感じるようになります。

「怖い。」と避けていたことを、むしろ自分に経験させてほしいと願うようになります。

ご利用者への気持ちが強くなると、一層安全に安心して生活してもらえるような知恵がわいてきたり、たとえ何が起こったとしても、『この人を支えていく』という強気な気持ちに変わってきます。

 

介護の仕事は自分たちの行動次第で、相手を危険な目にさらしてしまうことがある一方、自分たちの行動次第で、相手の生活を良くしていくことができるということも事実です。

何に着目していくのかで、仕事の意味だったり、やりがいなども変わってくるのではないかと思います。

働く場によっての違い

介護の仕事をしている以上、どんな職場でも、事故や急変は起こり得ます。

でも、起こる頻度などには、若干違いがあるかもしれません。

比較的お元気な方が通われる、介護予防を目的としたデイサービスなどよりは、介護度の重たい特養や看取り介護をしている施設などの方が、急変や事故を体験することも多いと思います。

働き方の選び方

介護の仕事をしてはみたけれど、自分には向いていないなと思えば辞めてもいいですし、つらい中でも少し面白さも感じているのであれば、働き方(職場)を変えてみてもいいと思います。

お年寄りと接することが好き、でも認知症の深い方や、重度の身体介助を要する人と接するのは、まだ今の自分には自信がない、という方は、介護予防を目的としたリハビリやレクリエーションなどを行うデイサービスに転職してみるのも一つの手です。

介護の施設は、地域性もあるかもしれませんが、多様な施設が存在します。

介護度の軽い比較的お元気な方々が集まられる施設や、介護度の重たい方が集まられる施設、雰囲気も過ごし方も施設によってずいぶん異なります。

ご利用者自身も、それぞれご自分の趣味・嗜好に合った施設を見つけて利用されます。

介護職員も、自分の希望に合った職場、働き方を選んでもいいのではないかと思います。

介護の仕事をするとなると、ボランティア精神が求められたり、どんな人でも受け入れるとか、何でも受け入れるとか、自分がいい人でいなければならないという錯覚に陥りますが、苦手なことがあってもいいし、苦手な人がいてもいいし、自分がやりたいことや雰囲気や場所を選んでもいいと思います。

自分の心が元気で楽しくなければ、他の人を幸せにすることもできないので、まずは、自分の心のメンテナンスをしていきましょう。

自分の心の声をよく聞き、今が頑張り時なのか、それとも方向転換する必要があるのか、自分の心の声に従って、決断したり行動したりしてみましょう。



  
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