認知症を治すお薬は、残念ながらまだ存在しません。
でも、少しでも進行を遅らせようと、認知症の薬を飲んでいる人(飲ませている人)はたくさんいます。
一言に認知症の薬といっても、いろいろな種類があります。
アリセプト・レミニール・メマリー・イクセロンパッチ・・・
これらは進行を遅らせる(認知機能の低下を遅らせる)効能があると言われていますが、いったいどのくらいの効果があるのでしょうか?
多くの方は「薬を飲めば少しでも・・・」と期待をもって服用するのだと思うのですが、私の個人的な見解では、気休め程度にしかならないという印象です。
認知症の薬を服用して、劇的に症状が改善されたというケースは残念ながら私の経験上ではまだありません。
ただ、薬の服用をやめたことで穏やかになられたというケースは何人も経験しています。(このことについては下記でお伝えいたしますね。)
認知症の薬の役割
認知症の薬、特にアリセプトやレミニールは、中核症状に対して働きかける薬で、生活動作をスムーズにさせることを目的としています。
ただ、認知症状が強く表れるときとそうでない時の違いでもお伝えしたように、認知症の方の理解力が高まるときというのは、心が穏やかな時なんですね。
いくら中核症状に働きかける薬を飲んだとしても、心が不安でしょうがなかったら、やっぱり混乱状態になるわけなんです。
混乱していたら冷静に物事をみられないし、理解力や判断力も低下する。
だから生活動作もままならない・・・のです。
また、アリセプトやレミニールは、人によっては興奮作用を起こすことがあります。
生活動作をスムーズにさせることを目的としているので、「元気にする」「活動的にする」という作用があるからなんです。
アリセプトは認知症の初期にしか効能を示さないので、不必要に長く服用を続けていると自分の状態と薬の作用が合わなくなるといったことも起こります。
病院の先生と相談をして、アリセプトやレミニールの服用をやめた結果、興奮の強かった方が穏やかになられ、その結果コミュニケーションがとりやすくなったり、生活動作もスムーズに行えるようになったということがありました。
また、メマリーなどは、興奮を抑えるような作用もあるのですが、認知症の初期の方が服用すると、逆に元気や意欲がなくなってしまったり、表情がなくなってしまうといったことがあり、結果、生活動作がままならなくなってしまったということがありました。
どういう時期にどういった薬を服用するのかは、認知症の専門家の先生と、ご本人の日常をよく見ている方とでよく話し合って決める必要があると思います。
薬の服用は必要??
私は個人的に、認知症の薬は飲んでもあまり意味がないとずっと思っていました。
副作用ばかりが目について、特に効果を感じられなかったからです。
精神系の薬も、落ち着かせるために服用したとしても、ぼーっとさせて機能低下を促すだけだと思っていました。
効き目が薄れると強い薬に変わり、次第に人間らしさを失っていくと感じていたからです。
認知症ケアで大切なのは薬ではなく、人の関わりだと思っていました。
でもここ数年は、薬を上手に使いながら、認知症と付き合っていくことができると考えを改めています。
近年変わってきた認知症の薬の服用方法
認知症の薬も、ここ数年で少量から服用を始めるように変わってきています。
副作用の有無や本人の様子を見ながら、薬の量を調整していく服用の仕方に変わってきています。
上記では、認知症の薬を飲んでも意味がないと書いてしまいましたが、今この時も認知症の研究や薬の開発は進んでいて、いつか認知症を治す薬ができるのでは・・・と期待もしていますし、そうなることを心より願っています。
最近ではサプリメントも有名ですね。
市販の物でいえば、プラズマローゲンという海馬の酸化(衰え)を抑え、修復する物質のサプリメントが注目を浴びています。
精神系の薬も併用して服用することで、心が落ち着き、穏やかに生活している人も実際にいらっしゃいます。
認知症ケアで大切なのは人の関わり方だと思っていたのですが、ご本人の混乱が激しくてどうにもならないこともあります。
関わりたくても近寄らせてもらえない状況もあります。
薬を飲んで気持ちが落ち着いた時にしっかりと関われればいいのかなと思います。
薬のおかげで落ち着いたから「やれやれ…」ではなく、穏やかな時にこそしっかりと関わっていけるといいなと感じています。
お薬と周りの人たちの関わりと、両方からのアプローチが必要ですね。
薬は合う合わないがありますので、慎重にならなければいけませんが、薬が合えば日常生活を穏やかに送ることができるので、病院の先生に相談してみるといいかもしれません。
ただ、先生によっては不必要に薬をたくさん出す先生もいらっしゃるので、まずは信用できる先生を見つけることからなのかもしれないですね。