高齢者の耳の特徴と介護での接し方のポイント

加齢に伴い、高齢者の耳は聞こえにくくなっていきます。

今回は加齢性難聴(老人性難聴)についてのお話です。

高齢者の耳が聞こえにくくなる原因

年をとるとなぜ耳が聞こえにくくなっていくのでしょうか?

耳は、外耳ー中耳ー内耳という構造で成り立っているのですが、耳の奥に位置する内耳という部分には、音を感じ取る役割のある有毛細胞というものがあります(毛のようなものが並んでいるとイメージしてください)。

有毛細胞は、位置によって感知する周波数が異なっていて、内耳の入口付近は高い周波数、奥に行くほど低い周波数を感知します。

そして、有毛細胞は比較的障害を受けやすい細胞で、加齢に伴い、細胞の数がどんどん減っていきます。

長年、音を感知し続けた入口付近の細胞から徐々に障害を受けていくので、高齢者は初めに高い音が聞こえづらくなっていきます。

加齢に伴い、耳が聞こえにくくなっていくことを、加齢性難聴もしくは老人性難聴といいます。

高齢者の耳はどんなふうに聞こえる?

・高い音が聞こえなくなる
体温計を挟んでもらう時に、高音の「ピピピ…」という音が聞こえない人がとても多いです。
「鳴りましたよ~」と伝えなければ、ずっと脇にはさんだ状態でおられることもあります。

・音が小さく聞こえる
・小さい音を聞き取ることができなくなる
自分の声も聞こえにくくなるので、話をするときに大きな声になってしまうことがあります。

若い方でも、携帯電話で相手の声が聞こえにくい時など、「もしもし!?もしも~し?」と大きな声を出すことがありますよね?
相手は普通に自分の声が聞こえているのに、一人で大きな声を出してしまう・・・そんな状態とよく似ています。

・音がゆがんで聞こえる(本来の音とは違ったように聞こえる)
本来音は、内耳から聴神経を通って脳に伝わります。
でも有毛細胞の数が減ると、音を正しく感知できなかったり、感知すること自体ができなかったりして、脳に伝わるはずだった音の情報が伝わらなくなります。そして、少ない情報で言葉を理解しなければならなくなり、聞き間違いが多くなったり、言葉の意味を認識したりするのが難しくなったりします。

老人性難聴の特徴

・老人性難聴は全員がなるわけではない
年をとっても全く耳がとおくならない人もいます。

・どちらか一方の耳が悪くなるということは少なく、両耳が同じように聞こえにくくなる

・内耳の細胞が障害されると、自然に治ることはない

 

高齢者の聞き間違い

高齢者との会話では、聞き間違えによる微笑ましい場面がよく見られます。

昨夜、体の調子が悪いと訴えていたAさんに、朝声をかけました。

 

私「体調はどう?」

Aさん「え!?誕生日おめでとう?・・今日ワシは誕生日か??」

私「・・・(笑)」

 

介護現場では、ほっこりするような会話がたくさん聞かれます。

耳の聞こえにくい方とのコミュニケーション

耳の聞こえにくい方でも、こちらの少しの配慮で、しっかりとコミュニケーションをとることができます。

コミュニケーションのポイント

話をする声の大きさやスピードを意識する
・落ち着いた少し低めの声でお話する
・ゆっくりお話する
・少し大きめの声でお話する(大きくなり過ぎないように注意)
・周りに人がいるときなどは、相手の耳元に口を寄せてお話する
・耳が聞こえにくい方で、話し手の口元を読まれる方には、口元が良く見えるように正面からお話し、大きく口を開いてお話する
・ジェスチャーを交えて話をする
・筆談する

コミュニケーションについてもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。

高齢者とのコミュニケーションで重要な3つのポイント

2017年10月22日

補聴器の使用

高齢者の中には、補聴器をつけるのを嫌がる方も多いのですが、実際耳が聞こえにくいと、他者との会話を諦めてしまう方も少なくありません。

耳が聞こえにくい方は、相手の言ったことが聞こえなくても聞き返すことが恥ずかしかったり、申し訳ないと感じて、会話の途中で、「聞こえないから・・・」とジェスチャーで伝えて、話すことを止めてしまったり、はなから他者との会話を諦めてしまっていることもあります。

それでご本人が問題を感じていないのであればいいのですが、他者との触れ合いが減ったことで、孤独感を感じていたり、不安を感じている場合は、補聴器を使用することで問題が解決できる場合があります。

生活の音が聞こえたり、人の話し声が聞こえたり、人とのコミュニケーションができたりすることで、気持ちが安心することも多く、表情が変わったり行動が変わったりして、意欲的になられることもあります。

 

もし補聴器の検討をされている場合は、まずは耳鼻科の受診をしてみましょう。

聞こえにくさの原因が老人性難聴ではなく、治療で治るものの場合もあるので、まずは原因をつきとめることが先決です。

診断の結果、治療では改善は難しいとなった場合には、補聴器を使用をすることで、聞こえにくさを改善することが見込める場合があります。

補聴器を選ぶ場合には、メーカーの取り扱いの多い、補聴器の専門店がおすすめです。

10日~2週間程度、無料で補聴器のお試しができるところもあるので、一度試してみられてはいかがでしょうか。

 



  
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