新人介護職員が直面する食事介助の悩み
~新人介護職員 Aさんの悩み~
先輩が食事介助をするとパクパク食べてくださるのに、私が食事介助をしてもあまり口を開けてくださらない。
時間ばかり経ってしまって、あまり食べられていない。
なんだか申し訳ないな。。。
先輩からは「普段はもっと食べられるのに・・・」なんて言われるし。
どうしたらいいんだろう。。。
【解説】
ご利用者はAさんに慣れていないので、少し緊張しているのかもしれません。
Aさんの介助であまり食べられないというのは、それがそのときのご利用者の心身の状態ですので、食べられるまで必要以上にしつこく食事介助を続けるという必要はありません。
まずはそのご利用者と関係性を作ることが必要です。
食事のときだけ頑張ろうと思ってもうまくはいきません。
普段からのコミュニケーションを大切にしましょう。
自分の存在を覚えてもらうこと。
また、先輩の介助を見させてもらい、コツをつかみましょう。
先輩の介助では食事をとられるのであれば、その先輩がどのような介助をされているのか、ご利用者に対する表情や声のかけ方、介助のタイミングなどを見させていただきましょう。
同時にご利用者の表情もよく見てみましょう。
でも先輩のされている食事介助を見ていて、違和感を感じるようでであれば、真似をするべきではありません。
時間内に全量摂取してもらおうと、かなり速いペースで食事の介助をしていたり、まだ口の中に食べ物が残っているのにもかかわらず、次のひとさじを口に入れたり。。。
その方のペースとは到底思えないような介助の仕方をしている場合もあるからです。
食事介助とは??
私が新人の時に受けた指導で、上司から言われたことがあります。
「高齢者は元気なように見えて、いつどうなるかがわかりません。
昨日元気だったのに、今日突然体調が悪くなられることもあります。
それから二度とご飯が食べられなくなることもあります。
私たちが接しているのは、そういった方々です。
これがこの人にとっての最後の食事になるかもしれないと思って、毎回丁寧に介助をしてください。
一食、一食を大切にしてください。
介助をする人も後悔しないような介助をしてください。」
介助者も後悔しないような介助って??と思ったのですが、実際に介護現場に出てみて、介護の仕事は時間との戦いがあるということを知りました。
限られた時間の中で、必要なことを行わなければならないと必死でした。
でも・・・
時間を気にした介助は、作業になってしまいます。
時間内に全てを食べさせる、早く食べさせることが食事介助ではありません。
全量摂取すれば、介助の内容はどうでもいいということではないのです。
丁寧に介助をして、あまり食べられないのであれば、それが本当のその人の食べたい量なのではないでしょうか。
ご飯を食べることは確かに大切です。
栄養を取ることは確かに大切です。
でも、職員が食べさせているだけなのかもしれません。
その人の本当に食べたい量ではないのかもしれません。
食べなければならないものではなく、食べたいものを食べていただく(食べたい気持ちになる)ということが重要です。
とはいうものの、介助をする人が変われば口を開けてくださる、というのは、やはりその方との関係性次第なのだと思います。
「信頼しているからこそ委ねられる」、「この人に食べさせてもらえて嬉しい」という、気持ちの表れなのかもしれません。
介護は関係性
声のかけ方やスプーンを口元へもっていくタイミングなど、技術的なことも確かにあると思いますが、日頃のコミュニケーションを大切にして、自分の顔や声、存在を覚えてもらうことら始めてみましょう。
慣れない方の介助が難しいというのは、誰もが経験する道です。
もちろん先輩も経験されていると思います。
関わる機会を増やせば増やすほど、悩みの解決に近づいていきますので、安心して焦らずゆっくり接していきましょう。