食べ物でないものを食べることを異食といいます。
認知症の方は食べ物と食べ物でないものが判断できなくなり、異食をしてしまうことがあります。
食べ物でないものを食べようとしている場面に遭遇したときに、どのように対応すればいいのでしょうか?
食べ物でないものを食べようとしている人への接し方
接し方その①
食べ物でないものを口に入れているところを見ると、つい「それは食べ物じゃないよ!」と注意してしまいがちです。
「あ~食べちゃダメダメ!」と大騒ぎすると、本人は傷ついてしまいます。
間違ったことをしてしまった恥ずかしい気持ちと、「ダメよ!」と怒られる悲しさで、不安な気持ちは大きくなり、症状はもっと深刻になってしまう場合があります。
ついびっくりして、声を荒げたり大騒ぎしてしまうこともあるかもしれませんが、介護者がまず気持ちを落ち着けて冷静になり、食べ物でないものをご本人から受け取りましょう。
そして代わりの食べ物(おいしいお菓子など)を差しあげるとよいです。
何か食べたいのであれば食べさせてあげましょう。
怒らず優しく接するというのがポイントです。
接し方その②
あらかじめ口に入れそうなものを目の前に置かない。
間違えて口に入れてしまうことが多いものとしてティッシュがあります。
綿菓子みたいに見えてしまうのでしょうか。
ティッシュを口に入れようとされる方はとても多いです。
また花やボタンなども口に入れられることがあります。
食べ物と間違えやすいものは近くに置かないようにするといいでしょう。
だけど・・・これだけで解決するのでしょうか?
実はこの問題はもう少し奥が深いのです。
なぜ異食をするのか?
認知症の人は、認知機能の低下により、目の前にあるものが食べ物なのかそうでないのかが識別できないため、口に入れてしまうというのが一般的な考え方です。
確かに、認識する機能が低下していたら、食べ物かそうでないのかを判断することが難しくはなってきます。
でも、認知機能が低下していても、食べ物でないものを口に入れない人もいます。
なぜ食べ物でないものを口に入れる人と、入れない人がいるのでしょうか?
異食の本当の要因は何なのか?
それは、ストレスです。
異食は寂しさなどの欲求不満から起こると言われています。
一見、異食と寂しさとはつながりがないように感じられますが、実は深いつながりがあるのです。
小さな子供は寂しくなると指しゃぶりをしますよね?
大人になってくると失恋の痛手を食べることで発散しますよね?(逆に食べられなくなるという人もいますが・・・)
寂しい気持ちと『口』や『食』に関することにはつながりがあります。
指しゃぶりをしたり、アメを舐めたくなったり、何か口に入れると気持ちが安心するみたいです。
食べることで欲求を満たそうとしてしまうのですね。
認知症の人も、寂しくてしょうがないときは、びっくりするくらいにご飯を食べるようになったり、そこらじゅうにあるものをついつい口に入れてしまうようになります。
ただ食べ物なのかそうでないのかの判断ができないからという単純な問題ではないんですね。
食べ物でないものを口に入れてしまう時は、寂しさの表れと考えてみると、私たちがするべきことが見えてくるような気がしませんか?
上記でお伝えした「食べ物でないものを目の前に置かない」というもの一つの解決策ではあります。
ただこれだけでは、根本的な解決には至らないんですね。
では、どうすればいいのか??
寂しさの軽減のために何ができるかを考えてみましょう!
一人でいるのが寂しいのであれば、人と一緒に過ごす時間が増えるとよいですよね。
一緒にお茶をのんだり、洗濯物を畳んだり、お散歩したり、スキンシップを増やしてみたり・・・
心が通い合った人と一緒にいることで穏やかな気持ちの時間が増え、寂しさが軽減されると、異食も次第になくなってきます。