【認知症介護】本人の気持ちと周りの人の気持ちの差

「本人の嫌がることはしません」は介護放棄!?という記事では、本人の気持ちを尊重した上で、どうすれば気持ちが向くのか、介護者もいろんなアプローチをしていくことが必要だというお話をしました。
今回は、それとは少し矛盾した話をしてみようと思います。

本人の気持ちと周りの人(家族や介護職員)の気持ちには差があるというお話です。

好き勝手生きられる究極の方法は一人暮らし

私は個人的に、家で孤独死をすることを悪だとは思っていません。

本人が困っていたのに、誰にも手を差し伸べられなかったという状態ならば、何か役に立ちたかったなと残念な気持ちになりますが、自らが選んで最期まで一人で生き抜いたということであれば、どんな生活をしていようと、それもありだと思っています。

周りの人はかいわいそうだとか悲惨だとか思うかもしれませんが、本人が何を思って生活していたのかは、本人にしかわからないことですし、周りの人が勝手な憶測をするべきではないと思っています。

 

一人暮らしの方の中には、何カ月も入浴をしない方もいます。
お医者さんから処方された薬を飲まない方もいます。

一人暮らしであれば自由気ままに生きてこられたのが、他者が介入することによって(しかもその人が専門家であればあるほど)、これまでの生活に意見され始めます。

お風呂に何ヶ月も入らないことも、処方された薬を飲まないことも、他人から見ると問題かもしれません。
だけど、本人は問題だとは思っていません。

 

介護施設で、「私は薬を飲まない!」と断固拒否する人に、病気のことを伝えたり、薬を飲んだ方がいいという話し合いを重ねるたびに、なぜ嫌がるのにここまでしないといけないのかなと感じることがあります。

この人がもし一人暮らしをしていたら、どんな生活を送っていたのかな・・・。

なぜこの人は周りの人からこんなにも口うるさく言われなければいけないのかな・・・と。

薬を飲まないことで命が短くなったとしても、それはそれで、その人の人生だと思うのです。

認知症の人の本心

ただ、認知症という病気に判断の難しさがあります。

本人の意思が本当に本人の意思なのか?

認知症という病気のせいで判断ができなくなっているのではないか?

『健康でいたい』これが本心だとしても、ただ単に「苦い薬を飲むのが嫌」ということで服薬を断られているのかもしれません。

『体をきれいにしたい』これが本心だとしても、ただ単に「水が怖い」ということで入浴を断られているのかもしれません。

認知症の方の場合は、本心がどこにあるのかを考えていかなければならないと思います。

本人の気持ちのと周りの人(家族や介護職員)の気持ちの差

話は戻して・・・本人と周りの人の気持ちの差というお話です。

本人は嫌がっていても、家族や介護者はそれをしてほしいと思っています。

例えば、認知症で薬を飲みたくないと拒否する人が家族と一緒に暮らしていたり、介護施設に入居していた場合、おそらく本人が気が付かない内に薬を服用させようと、薬を食べ物や飲み物に混ぜて服用させることがあります。

周りの人は、服薬によって健康を保ち、その人に少しでも長く生きてもらいたいと思うからです。

本人は薬を飲むことが嫌だし本望ではないでしょう。
本人からすると、服薬介助はありがた迷惑なことかもしれません。

でも、知らず知らずのうちに薬を飲むことで健康を維持し、その分、家族や友人と少しでも長く楽しい日々を過ごすことができるかもしれません。

何を、どちらを優先に大切にするのか・・・本人の気持ちとその本人を大切に想う周りの人の気持ち。
これは本当に日々悩むところだと思います。

でも、どちらが正しくてどちらが間違っているということでもないと思うのです。

本人の気持ちはできれば最優先。
だけど、本人を大切に思っている周りの人の気持ちも考えていきたい。

命は一人だけのものではないと思うからです。
自分を大切に思ってくれる人のためにも、生きなければならない時があります。

介護職員はいろんなバランスを考えながら、サポートをしていく必要があると思います。



  
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