認知症と物忘れの違い
認知症による物忘れと老化による単なる物忘れの違いは、簡単に言うと忘れたことを思い出せるかどうかというところにあります。
物事の一部分だけ忘れているのか?
それとも、物事そのものをごっそり忘れているのか?
例えば、認知症の人は「お昼ごはん食べたっけ?」とご飯を食べたこと自体忘れる(記憶していない)のに対し、単なる物忘れは「お昼ごはん何食べたっけ?」となります。
食べたことは覚えているんだけど、何を食べたのかは忘れた。
出来事の一部分を忘れるということですね。
この場合、食べたものを伝えると「あ~、そうだった、そうだった。」と思い出すことができます。
一旦記憶して、頭の中の引き出しにしまったものを、何かのきっかけで引き出しを開けて思い出すことができるのが単なる物忘れです。
しかし、認知症の場合は出来事そのものの記憶がごっそりと抜け落ちている状態なので、いくら事実を伝えても、思い出せない(記憶がない)のです。
そもそも初めから記憶していない場合もあるので、頭の中の引き出しには情報が入っていません。
だから、ご飯を食べたこと自体に覚えがないというわけなんですね。
認知症か物忘れかの明確な判断はできるのか?
残念ながら、厳密には老化による単なる物忘れなのか、認知症の症状なのかという判断は非常に難しいと言われています。
認知症の方でも、部分的に物忘れがあるだけで、質問したことに対してスラスラ答えられることもあるからです。
認知症というと、重度の物忘れを想像してしまいがちですが、一見認知症には見えないような方でも、じっくりとお付き合いしていくと認知症であるということがわかったります。
早期の場合は違いがわかりにくいので、受診した先の先生から「年相応の物忘れでしょう」と言われるケースも少なくありません。
「年相応の物忘れ」と診断されても、実は認知症の初期段階だったとか、まだ認知症にはなっていないけれども、認知症予備軍と言われる軽度認知症害(MCI)だったということもあります。
しっかりと覚えている部分と、そうでない部分があるので、いろんな状況を踏まえて(テストや画像診断なども踏まえ)診断されます。
もしも普段から診ていただいているかかりつけのお医者さんが認知症の専門でない場合は、専門医を紹介してもらうこともできますので、相談してみられるといいと思います。