認知症の方の環境を急に変えたり、人間関係や生活習慣を変えてしまうと、認知症がグッと進んでしまうことがあります。
急激な変化に対応できず、混乱してしまうからなんですね。
認知症の方の今までの生活習慣を知る必要性
本来なら、認知症だからこそ生活環境を変えたくないところなのですが、実際は認知症だからこそ施設入居となり、生活環境を変えざるを得なくなってしまうことがほとんどだと思います。
冒頭で、認知症の方は生活環境が変わると混乱し、認知症が進んでしまうことがあるとお伝えしましたね。
だからこそ、今までの生活を大切にする必要があるんです。
どんな人間関係の中で生活していたのか?
仲の良い人たちはどんな人なのか?
どんなところで暮らしていたのか?
なじみのものは何か?
どんな生活をしていたのか?
そういったことを知ることは、相手に接する上での大切なヒントになります。
生活歴をもとにした関わり方【認知症ケアのアプローチ】
具体的に生活歴をどのように認知症ケアに活かしていくのかというと、例えば長年主婦として家庭を守ってこられた方には、家事をしてもらったり、農業を家業にしておられた方には野菜作りをしてもらったり・・・。
本人が楽しめること、充実感が得られることを大切にしていけると良いですね。
ただ、「以前こうだったから今もそうに違いない」という、こちらの勝手な思い込みは危険です。
逆に長年やってきたから今更もうやりたくない!という人もいます。
若い頃はうまくできたけど、今はもううまくできないからやりたくない!という人もいます。
生活歴をもとに、どんな思いでそれをやってきたのか、また、今のその人の気持ちはどうなのかを知る必要があります。
その人がこれまで何を大切にして生きてきたのか、それはその人の人生史を知らなければわかり得ないことです。
決して認知症の症状だけを見ていてもわからないんですよね。
本人主体のサポートの仕方
何か作業をするときに、1~10まで全部自分でできなくても、どのようなサポートがあれば実現可能なのかを見極めて、なるべく本人ができるところは本人にやってもらうスタイルがいいと思います。
こちらのお手伝いをしてもらうのではなく、あくまで本人が主体となってやってもらい、私たちはお手伝いする側に徹するという感覚がいいですね!
もう料理をする気がなくなった人でも、台所にいて調理を見てもらい、口出ししてもらうだけでも違いますし、味見をしてもらうだけでも違います。
実際に手を動かして料理を作ったのはご本人ではないのですが、ご本人が作った気になっていたり、人に教えてあげたという満足感や充実感をもたれます。
そのうちウズウズしだして包丁を握ってくださったりもします。
その方の意欲を掻き立てるのも、周りにいる人たちのアプローチ次第です。
初めから何もできないと思わずに、できることを見つけて大切にしていきたいですね。
不思議ですが、心が充実していくとなぜかできることが増えたり、生活自体も充実していきます。
生活の中で、これは楽しいなと思えること、人の役に立てているという充実感を味わえることを大事にして、今ある力を最大限に活かせるよう、お手伝いしていけるとよいですね。