【高齢者の食事】食事をするときの正しい姿勢の条件とは?

高齢者が椅子に座ってテーブルについている姿を見ると、背もたれにすがって、後ろにもたれかかっているような姿勢をよく目にします。

そして、その後ろにもたれかかった姿勢のままで食事をすることも多々あるように思います。

本人が好きなように、好きな姿勢でごはんを食べればいいじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、実はテーブルや椅子の高さや大きさが体に合わなければ、知らず知らずのうちに体に無理が生じていることもあるのです。

高齢者にとっては食事をするときの姿勢がよくないと、個人差はありますが、その方の体の機能によっては、食べ物をうまく口に運ぶことができない、食べ物が飲み込みにくく、誤嚥をしてしまうなどの課題が発生します。

 

よく見かける高齢者の食事の際の姿勢【よくない事例】

①背もたれにもたれかかり、後方に傾いている姿勢

高齢者は加齢に伴い、体力の低下等から前傾姿勢を保つことが難しくなり、何かに寄りかかる姿勢がラクだと感じるようになります。

後ろにもたれかかる、というのは、高齢者にとっては(高齢者でなくても)とてもラクな姿勢なのです。

しかし、食事の際にこういった姿勢をとると、少し上を向いた状態で食事をすることになり、あごが引けていないために誤嚥の危険性が高まります。

 

②テーブルや椅子の高さが高く、足が床についていない、肩や腕を必要以上に挙げなければならない姿勢

こちらは、一見問題のないように見えますが、よく見ると、椅子の高さが高いために、足裏がしっかりと床についていません。(かかとが浮いている)

座位姿勢が不安定で傾きのある方や麻痺のある方は、足がしっかりと床についていないことで、さらに座位のバランスを崩しやすく、その結果、姿勢も崩れやすくなってしまい、徐々に傾きがひどくなったりして、これも誤嚥のきっかけになります。

また、テーブルの高さが高いために、肩や腕を必要以上に高く挙げなければならず、肩の挙がらなくなった高齢者にとっては、1日3回の食事を無理な姿勢で行うことになります。

 

③テーブルの高さが高く、肩や腕を挙げるのがつらい人は、テーブルと椅子との間を開けて食事をしている

肩が挙がらない、関節稼働域に制限のある方などは、テーブルから少し距離をとって、自分のひざの上で食器をもって食事をされることがあります。

テーブルの高さが高いと

・食事が見えにくい 胸のあたりに食事がある状態なので、圧迫感を感じる

・おかずを取る(お皿から口に運ぶ)という動作一つでも、体に無理が生じる

こういったことから、テーブルから少し距離を開けて食事をしがちになります。

そうすると、食べこぼしなどがある場合には、床に落ちることになります。

 

食事の際の理想的な姿勢とは??

 

①椅子やテーブルの高さが本人に合っている

【身体に合った椅子とは】

足裏がしっかりと床につく

ひざよりもかかとが少し手前に引けるくらいの余裕がある

深く腰掛けても無理のない座面の奥行き

深く腰掛けることで、頭が後方に倒れることが少なくなります。

少し前かがみになって食事をすることで、誤嚥もしにくくなります。

 

【身体に合ったテーブルとは】

へその上あたりの高さ

胸ではなく、腹の辺りに食事がある状態であれば、見下ろして食べることができる

食事もよく見え、テーブルと椅子との間をあけなくてもよくなる

食べこぼしも床ではなく、テーブルの上に落ちやすくなる

肩や腕を必要以上に挙げなくてもよくなり、自然な姿勢で食事を口に運ぶことができる

 

その人に合った椅子とテーブルの高さの目安

椅子:下腿長-1センチ(普段使っている履物をはいた状態で)

参考文献:安全な介護より

下腿長とは、ひざの横の出っ張っている骨からくるぶしまでの長さです。

その長さから1センチ引けばいいということですね。

介護用の椅子では、高さ38センチや40センチのものが売られています。

 

テーブル:(座高÷3-1センチ)+座面の高さ

参考文献:安全な介護より

計算で出すと少し難しいですが、だいたい60~65センチだと言われていて、椅子に座った状態で、へその上あたりになるような高さがちょうどいいです。

 

 

②深く腰掛け、少し前かがみになることで、あごが引けている

椅子やテーブルの高さを調整しても、座り方が誤っていれば、誤嚥は起こってしまいます。

誤嚥は、ご本人の嚥下機能の低下が大きな要因ではありますが、食事の形態とともに、食事の仕方や姿勢を整えることも予防の一環になります。

少し前かがみになることで、あごが上を向かずに、引いた状態で食事をすることができ、飲み込みもしやすくなります。

少し前かがみになるためには、椅子に深く腰掛けることと、足を手前に少し引く、ということを意識してみます。

足が前に出ていると、上半身は自然と後ろへ傾いてしまいます。

かかとがひざよりも少し引けている状態であれば、無理なく前かがみになることができるので、座ったときの足の位置もチェックしてみましょう。

 

おすすめ本!

こちら↓の本には、食事をする際の姿勢や、介助をする際の危険性についてなど、とても詳しく書かれていますので、介護に携わっている方は、ぜひ読んでみてください。

私も何度も繰り返し読んでる本で、とても参考になり、おすすめの本です!

 

 

介護用の椅子とテーブルを選ぶなら

なぜ高齢者が食事をするときの姿勢にこんなにも苦労するのかというと、実は市販のダイニングテーブルや椅子は高さが高く作られているんです。

だいたい椅子は座面までの高さが43~45センチ

体の小さなおばあちゃんなどは、36センチの椅子でちょうどいいという方もいるので、市販の椅子では合わないということがよくわかりますよね。

テーブルの場合は、市販のもので70~75センチ

上記でもご説明しましたが、高齢者に適したテーブルの高さは60~65センチです。

5センチ分、肩を挙げて食事をしようと思うと、こちらも体に無理が生じますね。

椅子やテーブルの高さの重要さを知っている人のなかには市販のテーブルや椅子の脚を切って、高さを調整される方もいらっしゃいます。

ただ椅子の場合は、高さを調整すればそれでいいというわけではなく、座面(座る面)の奥行きや、幅なども座る姿勢に関係してきます。

奥行きがありすぎて、深く腰掛けることができず、結果上半身が後方に傾いてしまうということもあるのです。

介護用の椅子やテーブルにはどのようなものがある??

旭川のCOMSで制作されている介護用の椅子【EASER(イーザー)】とテーブル【間(あわい)】は、介護が必要な方の自立支援を目指して作られており、高さや幅、形など、細部にまで根拠やこだわりをもって、考えつくされた製品です。

『座る』という姿勢だけにとどまらず、車椅子⇔椅子の移乗動作についても考えられた、安定感のある椅子とテーブルです。

ただ、家庭で使用する場合は、テーブルはその形や大きさから、少し使いにくいということもあるかもしれませんので、椅子だけを購入して、市販のテーブル(高さ60~65cm)のものと合わせて使われてみてもいいかもしれませんね。

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