派遣会社に雇われ、派遣社員として働く場合、社会保険に加入することができるのかどうか気になるところですよね?
社会保険に加入することはできるのですが、いくつか条件があります。
今回は派遣社員の社会保険事情についてお話いたします。
社会保険とは??
社会保険とは広い意味でいうと、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労働災害補償保険のことをいいますが、実際この「社会保険」という言葉が使われる場面では、健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つを指すことが多いです。
雇用保険、労働災害補償保険は労働保険と呼ばれています。
派遣として働くときに加入できるかどうか、多くの人が特に気にしているのは、健康保険と厚生年金保険についてではないでしょうか。
40歳以上の方にとっては介護保険も気になるところだとは思いますが、介護保険料は医療保険料と一体的に徴収されるので、健康保険と条件は同じとお考え下さい。
労働保険の加入条件とは??
雇用保険と労働災害補償保険については、常用雇用の方も短時間労働の方も加入条件は同じです。
労働災害補償保険の加入条件
加入のための条件は特にありません。
労働者であれば、常用雇用(正社員)短時間労働(パート)問わず、派遣社員も含めて全ての人が加入します。
雇用保険の加入条件
①一週間の労働時間が20時間以上であること
②雇用期間が31日以上継続して見込まれること
これら両方とも条件を満たしていることが加入の条件となります。
社会保険の加入条件とは??
社会保険の加入条件は常用雇用の方と短時間労働の方とでは条件が異なります。
それぞれ以下の条件を満たした場合に加入できます。
常用雇用者の健康保険・厚生年金保険の加入条件
①一週間の労働時間が常時雇用者の4分の3以上(30時間以上)であること
②ひと月の労働日数が常時雇用者の4分の3以上(15日以上)であること
④雇用契約期間が2ヵ月以上見込まれること
短時間労働者の健康保険・厚生年金保険加入条件
①一週間の労働時間が20時間以上30時間未満であること
または一週間の労働時間が30時間以上で、ひと月の労働日数が15日未満であること
②雇用期間が一年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万以上であること
④学生でないこと(夜間・定時制は除く)
年齢の条件
年齢の条件については
健康保険が75歳未満
厚生年金が70未満
介護保険が40歳以上65歳未満 となっています。
参考:日本年金機構「厚生年金保険等の被保険者資格取得の基準の明確化」
厚生労働省「社会保険の適用拡大」「人を雇うときのルール」
派遣で働くときの注意事項
派遣社員でも社会保険に加入することができます。
むしろ条件が満たされていれば、必ず社会保険に入らなければいけないということです。
社会保険に入るために気を付けなければいけないのは、初めに派遣期間の契約をするときに、常用で働く方は2ヵ月以上で契約をしなければいけないということですね。
また、派遣社員は派遣期間の任期が終了することがありますよね。
例えば3ヵ月派遣として勤め、派遣期間が終了してすぐに別の事業所へ派遣された場合は、雇用契約は継続しているとみなされ、社会保険もとぎれません。
派遣期間が終了してから1ヵ月以内に次の派遣先で働く必要があります。
1ヵ月以上の空白期間ができてしまうと、その空白期間は社会保険の資格を喪失したことになってしまい、国民健康保険や国民年金に切り替わってしまいます。
初めから社会保険に入りたい方や、途中で社会保険を途切れさせたくない方は、あらかじめそのことを派遣会社のコーディネーターに相談しておけば、力になってくれると思います。
派遣会社は就業時間や契約雇用期間などが一人一人違い、会社の規模によっても社会保険の取り扱い方が変わってくることもあるので、契約を交わす前に社会保険についての確認を必ずするようにしましょう。
派遣社員のための健康保険『はけんけんぽ』(人材派遣健康組合)というものもあり、現在多くの派遣会社が利用していますが、加入していない派遣会社も中にはあるようなので、これについても確認が必要です。(『はけんのけんぽ』に加入していない会社は、別の組合や協会の健康保険を利用しており、健康保険に入れないというわけではありません。ただ派遣社員として働く人にとっては、『はけんけんぽ』の健康保険の方がなにかと利点があるようです。)
おわりに
何か不安なことがあれば、派遣会社のコーディネーターさんに相談してみるといいと思います。
知らないことが多くて全て人任せにしていると、面倒な手続きをしなければいけなくなったり、後々困ったことにもなりかねないので、少し自分で調べてみて、質問できるようにしておいたり、自分の希望を伝えられるようにしておくといいと思います。