本人の気持ちと周りの人の気持ちの差をまだ読んでいない方はそちらからどうぞ。
薬を飲みたくないと断固拒否する人。
だけど、薬を飲んだ方が明らかに病状が安定する。
このような方にはどのように接していったらいいのでしょうか?
服薬を拒否する認知症の人への接し方
接し方①
食後に服薬介助をしようとしても「薬なんて飲まない!どこも悪くないんだから!」と断固拒否された場合は「そうですか~、わかりました。」と受け入れ、一旦引き下がります。
この時に「だめですよ。飲まないと!お医者さんから出てる薬なんだから。」と説得しようとしても、「よし、それなら飲もう!」という気にはなれません。
相手の気持ちが高ぶっているときには少し時間を置き、穏やかな状態になるまで待ちます。
時間を置いて穏やかな状態のときに声かけをすると、すんなり飲んでくださることもありますし、介助をする人が変われば、またすんなり飲んでくださることもあります。
また、穏やかな時に話し合いを行います。
食後など、薬を飲まなければならないときではなく、例えば入浴のときや、自室で話ができるときに、落ち着いてじっくりと話をします。
なぜ薬を飲みたくないのか?気持ちを聞きます。
薬自体に拒否がある場合もあるかもしれませんし、自分は病気でも何でもないのに、不必要な薬を飲まされると思っている人もいます。
後者の場合は、体がどのような状態にあるのか、血液検査の結果等を提示しながらきちんと本人に説明をします。
実際自分で服薬管理をしていない方は、自分は今どこが悪くて何の薬が出ているのかがわかっていない方がほとんどです。
納得できるように病態や病院の先生の指示、薬についての説明を行います。
認知症や精神疾患の薬の場合は、本人への説明の仕方に悩むところですが・・・。
接し方②
説明をしてもどうしても薬を飲みたくないと言われた場合は、病院の先生に本人の意思を伝えます。
そうすると、「薬を飲まずに様子をみよう」となることもあり、処方を止めてくださることもあります。
先生に伝えず、こちらの判断で勝手に薬をやめることは危険です。
先生から「やはりどうしても服用した方がいい」と言われた場合は、薬の形態についても相談しましょう。
錠剤ではなく粉末にしてもらうなどの工夫ができます。
また、薬の種類によっては(認知症の薬では)ゼリー状になったものや液体のものもあります。
より服薬しやすい状態で処方していただくようにしましょう。
粉末や液体であれば甘いゼリーやヨーグルトなどに混ぜて服用することができます。
接し方③
どうすれば薬を飲まなくても病状が安定するのかを考えてみましょう。
例えば血圧に問題がある場合は、血圧を下げる効果のある食材や飲み物を毎日取り入れるようにするなど、薬に頼らない方法で予防や症状の緩和ができます。
食事や運動、生活習慣で病気は予防できますし、治すこともできます。
あらゆる病状において、薬に頼らなくても可能な自然療法がありますが、これは介護者の勝手な判断で行うことは危険ですので、必ずかかりつけの医師に相談しながら行いましょう。
生活の中でできる工夫をすることで、少しでも薬の量を減らすことができるかもしれません。
なぜ薬を飲みたくないのか?
薬を飲みたくない原因として考えられるのは・・・
・医者嫌い――病院にも行きたくないし、注射もされたくない。薬も飲みたくない。
・薬を飲むことが苦手――苦い。粒が呑み込めない。
・薬を飲むと余計に体調が悪くなると思い込んでいる。
・自分は病気だとは思っていないので、薬を飲む必要はないと思っている。
・長生きしたくないと思っている。
いろんな気持ちがあると思います。
それぞれの気持ちを尊重しつつ、本人と介護者がお互いに納得のいく方向で話し合いながら進んでいけるといいですね。
本人が介護者の気持ちに応えてくれるとき
どうすれば薬を飲まずに健康に過ごせるのかを考えて取り組んだり、薬を飲んで体調を整えた方がいいという話し合いを本人と重ねるうちに、本人にはどれだけ介護者が自分のことを考えてくれているのかが伝わります。
「あんたがそう言うんなら薬を飲もうか」に変わってきます。
こんなに自分のために一生懸命になってくれているんだから、この人を困らせたらかわいそうだな・・・と思ってくださるようになります。
ただ単に薬に対して抵抗があるだけでなく、
もう生きていても仕方がないという思いがあるのだとしたら・・・
だけど、こんなにも自分のことを考えてくれる人がいるのであれば、この人のためにちょっと生きてみようかなという気持ちに変わってくるのです。
結局行きつくところは、やっぱり人との関わりであり、その関係性なんですね。。。