未経験から介護の仕事を始めることに、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、未経験だからこその強みというものがあります。
介護現場では求人を出していたとしても、必ずしも経験豊富な方ばかりを求めているわけではありません。
「未経験、無資格の方も応募可」と求人情報に書いてあるのはウソではありません。
その理由や未経験の方のもっている強みについてお話いたします。
未経験の方がもっている強みとは??
介護現場を知らない人というのは、一般的な人の考え方をもっているということです。
介護現場に長くいると、感覚がマヒしてしまうことがあります。
常識から外れてしまっていることや、普通に考えるととても失礼なことを平気言ったり、やったりしてしまっていることもある。
これは特に施設での介護に見られます。
また、一般的にはあたり前のことなのに、介護施設の中でやると(起こると)奇跡的なことのように思える。
例えば入居施設に入っている人が、一人で買い物に行ったり一人で入浴したりすると、いい意味でも悪い意味でも大騒ぎになります。
まだその能力をもっている人でも、もうそんな能力がないかのように扱われることがあります。
施設に入居するまでは一人暮らしをしていた人でも、介護施設に入った途端にその日から管理(監視)の目がついてしまいます。
介護の仕事をしたことのない人が介護施設(特に入居施設)で働くと、違和感を感じることがあると思います。
でも、次第にこういうものなんだと慣れてしまいます。
働き始めた時には感じていた違和感や、改善していきたいと思っていたところも、その現場に慣れてしまうことで忘れてしまうのです。
介護の経験が長ければ長いほど、介護観の修正が難しい傾向にあります。
介護未経験、つまり一般的な視点や感覚というのはとても大切なことなんです。
それが、ごく一般的な人の目だからです。
一般の人が介護現場に求めていることだったり、常識的な関わりだったり、そういったことは未経験の方だからこそわかることなのではないでしょうか。
今の介護業界の常識や価値観など考え方を変えていくためには、一般的な人の目や考え方が必要とされるのです。
なぜ介護現場はベテラン職員を求めないのか?
求人を出していて、経験豊富な方が来てくれると確かに助かります。
長年の経験で培ってきた知識や技術には心強いものがあります。
でもベテラン職員ばかり求めているかというと、必ずしもそうではありません。
介護経験の長い方は、介護観が凝り固まってしまっている場合があります。
ご利用者に対して必要以上に管理的だったり、相手の意思を尊重するよりも、専門家としての自分の考えを相手に押し付けてしまったりすることがあり、時には事業所の理念や目指す介護観とそぐわない場合があるのです。
介護は、価値観によってケアの仕方も変わってきます。
どちらがいい悪いではないですが、安全管理や健康管理を一番に考えて、職員主導の介護を行っているところがあったり、ご利用者の気持ちを第一に考えて、それに合わせて職員が動くというスタンスで関わっているところもあります。
ご利用者を大切にするという目的は同じでも、その方法や考え方はたくさんあって、時に意見が衝突してしまうということもあります。
介護の仕方というのは、必ずしも統一されてはいないんですね。
事業所によって、大切にしていることが違うため、ケアの考え方にも方法にもそれぞれの特徴や違いがあります。
今までの考え方を急に変えるというのは、とても難しいことでもあります。
でも、未経験の方であれば、先入観がない分、事業所の理念や目指す介護観をすんなりと受け入れやすい傾向があります。
一から人材を育てたいと思っている事業所にとっては、未経験の方のほうを求められる場合も少なくありません。
介護現場が求めている人材とは??
では、どのような人材を介護現場は求めているのでしょうか?
介護経験や知識や技術も確かに大切なのですが、一番大切なのは人間性です。
介護現場が求めている人材① 人を大切にできる人
相手を受け入れることができたり、応援できる人。
忍耐強く待つことができる人。
介護は人を応援する仕事です。
本来、相手(利用者)の意思があって、それをこちら(介護者)がサポートするものなのですが、介護者が主導権を握ってしまっている状況が少なくありません。
人を大切にするというのは、その人を受け入れ、尊重できるということです。
それはご利用者に対してだけではありません。一緒に働くスタッフにも、同じように人として大切にできる人が求められます。
介護はチームで仕事をしています。時には他職種とのチーム連携も大切です。
仮に考え方が合わない場合があったとしても、話し合ったり譲り合ったりしながら、他スタッフと協力していく必要があります。
スタッフ間の人間関係は、ご利用者へのケアへ直に影響しますので、よりよい人間関係を築ける人が求められます。
介護現場が求めている人材② 向上心がある人
どんな仕事でもそうだと思いますが、他者に貢献しようと思ったら、学び続けなければなりません。
介護の仕事では、人への理解を深めたり専門的な知識や技術を学び続ける必要があります。
向上心のない方や、自分の能力でできる範囲のことしかやらないという方は、介護現場でつらい経験をすることになるかもしれません。
介護現場ではいろいろな方々と出会います。
その中には性格的に合う人もいれば、合わないと思う人もいます。
介護を行おうにも難しい場合もあります。
元々の性格の場合もありますし、病気や障害が人格に影響している場合もあります。
自分(介護者)が変わろうとせずに、相手(利用者)に求めてばかりいても、解決しないことがほとんどです。
いろんな人がいますが、人間関係というのは性格が合うか合わないかではなくて、歩み寄って築いていくものなのではないかと思います。
相手のことを知ったり自分のことを知ってもらうことで、信頼関係を築いたり、コミュニケーション術や相手を不快にさせないような介護技術を学んでいく必要があります。
起こっている状況に対して、人のせいにせずに自分がスキルアップをしていくことで解決できると考えられる人は、介護にとても向いていますし、必要とされる人になれます。