【認知症介護ケアプラン】話ができない人のアセスメントはどうやる?

特養やグループホームなど、入居施設で立てるケアプランというのは、入居者の方々がどのような生活を送っていくのか、そのために必要なサービスは何かという、生活に直面したより具体的な内容になります。
しかし、特養やグループホームなどに入居する方は、認知症の方や介護度の重い方も多く、お話するのが困難な方もいらっしゃいます。
そこで、今回はアセスメント方法などについてお話したいと思います。

アセスメントをするときの悩み

アセスメントをするときによく職員さんから言われるのは、
「何かやりたいことある?って聞いても『特にない。今のままで十分』って言われるんですがどうしましょう?」
「このご利用者は言葉が発せなくなってしまったので、意向を聞き出すことができません。どうしましょう?」
という悩みです。

希望を言われない人や話ができない人は、いったいどんなことを考えているのでしょうか?
どうやってご本人の気持ちを理解すればいいのでしょうか?

特にやりたいことはないと言われる方へのアセスメント方法

まず、最初の悩みから。
『特にやりたいことはない。今のままで十分です。』と言われる方について。

介護者は、ケアプランを立てるとなると、何か特別なことをしなければならないと考えがちです。
非日常的な何かを組み込まないといけないと思ってしまい、ご本人のやりたいことは何かを探ろうとします。

介護者は『特にやりたいことはない。』というご利用者の言葉を聞いて、何も聞き出せなかった。
とがっかりしてしまい、大切なことを見逃してしまいます。

『特にやりたいことはない。』・・・その後にご利用者はなんと言われたでしょうか?
『今のままで十分。』

『今のままで十分。』
この言葉って、とっても重要なヒントになると思いませんか?

介護者は、現状に満足せずに生活に何かを組み込もうとしています。
でも、ご利用者は現状に満足しています。(本音かどうかは別として)

では、このご利用者は、現状の何に満足しているのでしょうか?

「毎日何もしなくてもおいしい食事が出てくる。ラクをさせてもらっている。」なのかもしれませんし、
「親切な人たちが傍にいて自分のお世話をしてくれる。」なのかもしれませんし、
「時々連れて出てもらうお出かけが楽しい。」なのかもしれませんし、
「娘や孫が会いに来てくれるから嬉しい。」なのかもしれません。

欲求を満たす食事や人間関係、気分転換になる外出、その方の日常には、心を満足させるような要素がたくさん存在しています。

何に満足しているのか?今現在の生活の何を守る必要があるのか?
それを掘り下げて考えていくと、その方の気持ちや大切にしていることが見えてくるようになります。

また、ケアプランを作らなければいけないから!とその時だけお話を聞きに行く職員さんもいますが、急に「何かしたいことある?」と聞かれても、思いつかなくて当然ですし、「特にない。」と答えてしまうのは必然的なことだと思うんですね。

実はお風呂に入りながらとか、食事をしながらとか、他愛ない日常の会話の中で想いを話されていることがとっても多いんです。

コミュニケーションをせずに身体介助にばかり集中していると、本当に大切なこと(本人の想い)を見逃してしまうことになります。

普段からご利用者とよくお話をされている職員さん、よく関わって表情や行動を見ている職員さんは、たくさんの情報を持っています。
この時にこんなことを言われていた。
こんな質問をしたらこんな答えが返ってきた。
こんな表情をされていた。

そんな話をされると、あぁ、よく知っているんだなぁと思います。
そしてまた、なんでも遠慮なく話せる関係性ができているんだなぁと思ったりもします。

 

ポイントは、、、
①本人の言葉を掘り下げて考えてみる(具体的なものが見えてくるまで、なぜ?何が?を繰り返す)
②日頃の日常会話の中からご本人の想いを知る。そしてそれを聞き流さずに実践する。
③なんでも話し合えるような関係性を作る。そのためには一緒に過ごす時間を多くもつ。

 

言葉を話せなくなった方へのアセスメント方法

続いて、言葉を話せなくなった方へのアセスメントはどのようして行えばいいのかということについてですが、

その方をよく知っているご家族にお話を聞いてもいいですし、
(何がお好きなのか?好きなもの、好きなこと、好きな人、思い出の場所など)

昔と今とでは想いが変わっている場合もあるので、今関わらせていただいている施設の職員(介護士等)がいろんなことをやってみて、その方の表情や行動を見てみてみるといいと思います。

以前、お話ができなくて、体もご自分では動かせない方がいらっしゃいました。
ベッド上で体を動かすととても苦痛そうな表情をされていました。

私たちがその方のお部屋に伺うときは、体の痛みが伴う離床の介助や排せつの介助をする時でした。
ご本人にとっては、あまり嬉しくない職員の訪室だったと思います。

私はその方のお誕生日に星野富弘さんの詩集をプレゼントし、枕元に腰かけて詩を朗読しました。
すると、表情がとても穏やかになり、気が付くとその方は涙を流されていました。
少し微笑んだような表情でじっと見つめられると、こちらも涙がでてきました。
それからは毎日少しの時間ですが、詩の朗読が日課となりました。
身体的な介助のためにではなく、ただその方に会いに行くという目的で訪室していました。
職員が部屋へ行くことを、そして、詩を朗読することを楽しみにしてくださっているように思えました。

安心している時、不安な時、言葉が話せない方でも表情や行動には表れます。
しかしそれは、とても微妙な変化かもしれません。

時には職員の思い込みや主観も入ってしまうかもしれません。

それでも、嬉しい時、安心している時、悲しい時、怒っている時
その表情の変化を見極められるのはその人のそばに居続けた人だけです。
多くの時間を共有して、多くの行動を共にした人だけです。

一緒に過ごす時間を大切にして、その方の表情から想いを汲み取ったり、性格や今までの生き方から、想いを想像して行動に移していけるといいですね。



  
介護の資格取得制度


介護転職サービスメリット・デメリット

プラズマローゲン




<スポンサーリンク>