【高齢者の低栄養】原因や症状と予防・改善策は?

高齢になると、ごはんがあまり食べられなくなり、栄養状態が傾いたり栄養不足になったりして、低栄養と診断される方がいます。
実は厚生労働省の調査によると、なんと85歳以上の方の4人に1人は低栄養傾向にあるという結果が出ているのです。

なぜ低栄養になるのでしょうか。
低栄養になると、健康や生活にどのような支障が出てくるのでしょうか。

低栄養とはどのような状態?低栄養になるとどうなる?

低栄養とは、体を動かすために必要なたんぱく質・エネルギーが不足している状態です。

低栄養になると、以下のような心身の変化(症状)が現れます。

・体重減少
・筋肉の量や筋力の低下
・骨量の低下
・元気がない、意欲がなくなる
・認知機能の低下
・風邪などの感染症にかかりやすく、治りにくい
・傷や褥瘡が治りにくい

低栄養はどのような基準で診断される?

・体重の変化
体重が6か月間に2~3kg減少している
・BMI
BMI(体格指数)が18.5未満である
18.5未満が「やせ」の範囲で、18.5未満より下がるほど死亡率が高くなっていきます。
・血液検査
血清アルブミン値が3.5g/dl未満である
血清アルブミン値は、高齢者の栄養状態を評価する目安です。

一時的な数値だけでなく、食生活や生活習慣なども踏まえて、改善の必要があるかどうかを判断されます。

低栄養は様々な要因から起こるのですが、初めは自覚症状がなく、低栄養だと気づきにくい場合があります。

高齢者はちょっとしたことがきっかけで食べられなくなることが多く、心身の状態が悪化し、そのまま食事を受け付けなくなって、危機的な状況に陥ることもあります。

低栄養が原因で介護が必要になる場合もありますし、死につながる恐れもありますので、ただ栄養が不足している、という捉え方ではなく、深く考えていく必要があります。

低栄養になる原因とは?

食べ物がたくさんある現代で、なぜ低栄養になってしまうのでしょうか。

それは、加齢に伴う心身の変化や生活環境が影響しているといえます。

・口腔内の状態の悪化
・嚥下機能の低下
歯が抜け落ちて、そのまま治療せずにいると、食べ物をうまく噛むことができなくなったり、飲み込むことがうまくできなくなったりします。

・身体的な要因から食欲不振に
便秘などをしていると、膨満感から食欲がなくなってしまいます。
高齢者は便秘になることが多く、常におなかに溜まっている状態の場合は、食事をする量がだんだん減っていきます。
その他、疲れや体調不良などからも、食欲がなくなってしまうことがあります。

・精神的な要因から食欲不振に
何かショックなことがあったりすると、食事を受け付けなくなる場合があります。
食欲がわかないどころか、受け付けなくなるので、食べようとしても気分が悪くなったり、吐き気を催したりしてしまうことがあります。

・一人暮らし
食事を作るのが面倒になり、3食食べなくなる。
高齢者は空腹を感じにくくなることもあるので、食事をしなくても平気だと思ってしまったり、食べる量が減ったりします。
特に一人暮らしの場合は、食事をしなくても誰にも何も言われないので、食事を抜いてしまうということも多いのです。
また、一緒に食事をする人がいないということも、食事がつまらなく思える要因かもしれません。

・認知機能の低下
認知症になり、食べることを忘れてしまったり、味覚の低下から食べ物を受け付けなくなることもあります。

低栄養の治療とは?改善できる?

原因となっていることに対してアプローチをしていけば、低栄養は改善することができます。

バランスの良い食事をしっかりととることができるようになれば一番いいのですが、習慣づいた生活を変えることはなかなか難しかったり、食べられなかった方がすぐにモリモリ食べられるようになるというのは稀ですので、じっくりと時間をかけて関わっていく必要があります。

また、なかなかごはんが食べられない場合は、当分の間は病院に点滴に通ったり、栄養補助食品などを処方してもらう必要があるかもしれません。

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市販の栄養補助食品は低栄養の予防になる??

低栄養になると、お医者さんからエンシュアなどの栄養補助食品を処方してもらうことがありますが、なかには市販のものを購入している方も多く、少し元気がないだとか、風邪をひいて食欲が出ない時など、状況に応じて飲んでいる方もいます。
高齢者施設でも、あまり食事をとられない方には、栄養士さんが一時的に食事にプラスして、出してくれることもあります。

深刻な症状が出てから対処するよりも、日々のケアで、低栄養は予防することができます。

こちら↓はスーパーやドラッグストアなどでも購入が可能な市販の栄養補助食品で、125mlで200カロリー摂取できます。



味にはいろいろな種類があるので、飲みやすいものを選んで飲んでみるというのも、一つの方法かもしれません。

でも、気になる症状があれば、自己判断せずに、主治医の先生に相談するようにしましょう。

栄養補助食品でも、保険適用されるものとされないものの違いとは?

医師からの処方を受けて保険で購入するものは、医薬品扱いとなります。
スーパーなどで購入できるものは、食品扱いとなります。

どちらも、栄養を効率よく摂取できるもので、少ない量で高いカロリーが摂取できるというのは同じです。
保険適用で購入した方が安く買えるという利点があります。

保険適用で購入できるものの代表に、エンシュアリキッドがありますが、一缶250mlで250カロリー摂取できます。
エンシュアは、高齢者にとっては一度に飲むには少し量が多く、味の種類も少ないというのがウィークポイントです。

※栄養補助食品は、人によっては吐き気や下痢などを催すことがあります。
時間をかけてゆっくり飲んだり、人肌に温めて飲むなどの工夫で防げることもあるのですが、体に合わないという場合もありますので、気になる症状があれば医師に相談してください。

低栄養が改善した事例

在宅で一人暮らしをしていた方が、低栄養状態で生活がままならなくなり、施設入所をされたケースがありました。
在宅で生活をしていた頃は、たびたび点滴を打っていたのですが、施設入所されてから、毎食きっちりごはんを食べられるようになり、心身の状態がかなり改善されてお元気になられました。

施設での生活は、友人もたくさんできて毎日笑いにあふれ、その楽しさが『食べる』ということにつながったのかもしれません。
食事以外での人との関わり、友人という存在、食事の際の会話、心の充足感、そういったものが心を元気にして、体を元気にして、『食べる・生きる』という方向へ向いたのだと思います。

在宅では、食事の宅配サービスなどもありますが、もしかすると一緒にごはんを食べる人が必要なのかもしれないですね。

現在こども食堂が話題になっていますが、高齢者食堂を開いているところもあります。
介護保険外のサービスで、安く栄養のあるご飯が食べられるサービスです。
にぎやかにワイワイと食べる食事風景は、まるで宴会のようで楽しそうです。

また、食事のとき以外でも人との関わりがあるかどうかも、『食べる』という意欲につながっているように思います。



  
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