【施設ケアプラン】立てる前にやっておかなければならない大切なこととは?

ケアプランを立てるときに、プランの立て方とか、書類の書き方とか、そういったことが気になる方が多いかもしれませんが、その前にまず抑えておかなければならないことがあります。

プランを立てる前にやっておかなければならないこと、それは、どのような視点でプランを立てるのかという、視点の調整です。

つまり、誰のための、何のためのプランを立てるのかということ。

「誰のためのプランって、ご利用者のためでしょ?」と思うかもしれませんが、できあがったプランを見てみると、いい意味でも悪い意味でも介護者の想いが強すぎて、ご利用者の気持ちが反映されていないことが多いのです。

初めにこの視点の調整をしておかなければ、目的を見誤ったプランになってしまいます。

例えば、介護の負担軽減を考えると、いかに効率よく、ラクに、無駄な時間や労力を省くかという視点になりますし、
本人主体の介護をしようと思うと、それとは全く逆のことをする必要があります。
時間をかけて待つ、より手間をかけるということが求められるのです。

介護者主体と本人主体

在宅介護のケアプランであれば、ご家族の介護負担なども考慮していかなければなりませんが、施設ケアプランの場合は、介護をする人が介護職員なので、本人主体のプランが作りやすいといえます。

例えば、おむつ交換が必要な方に対して、家ではご家族の負担を減らすために、吸収率の良い長時間使用できるパッドを使う(提案する)必要があるかもしれません。
(24時間対応の定期巡回サービスなどが近くになくて利用できない場合など)

しかし、施設では、おむつの使用からなるべくトイレで排泄をしていただくように移行するために、おむつの使用をやめて、紙パンツ+パッド、もしくは、布パンツ+パッドに変更し、パッドも小さめのものを使って、トイレにお連れしたり、こまめに取り替えたり・・・ということになります。
長時間長持ちで安心、ではなく、トイレに行くとか、パッドの交換の回数を増やすとか、より手間と時間がかかるようになります。※ご本人の心身の状態により検討していきます。

 

また、安全や健康・清潔を第一に考えすぎて、管理的なプランになってしまうこともあります。

管理をすることも大切なことではあるのですが、その方法はご利用者の意向に沿うようにしていかなければなりません。

しかし、実際は介護職員の目線で一方的に管理をしてしまうこともあるのです。

 

介護者の状況に応じて、介護の方法や使用する物品などは変わっていきます。

複数の職員による介護力がある施設では、昼夜問わず、時間と手間をかけて、ご本人主体の介護をすることが可能です。

ただ本人主体とはいえども、介護者の視点や都合が入ってくるのは必然的で、それをどのように調整していくのかが重要です。

視点の調整の方法

視点の調整をする具体的な方法は、ご利用者のことを『〇〇さん(ご利用者)は~』という見方から、『私(ご利用者)は~』という一人称に変えてみることです。

情報収集をするときに、「〇〇さんはこれができる、これができない、これをする必要がある、これをしなければならない」ではなく、「『私(ご利用者)』はこれができる、これができない。だから、これを手伝ってほしい、これを自分でやらせてほしい」などという見方や考え方をします。

他人の目線からその方のことを見るのではなく、自分がその方になったつもりで情報収集をしてみると、見えてくることがたくさんあります。

もちろん介護者が想像するばかりでなく、ご本人が実際に言った言葉なども書き留めていきます。
※言葉が話せない方は、表情や行動から快・不快を読み取り、気持ちを想像していきます。

その方がどうしたいのか、何が嫌で何を好ましく思っているのか、より気持ちの理解を深めることができます。

これは、センター方式という認知症のアセスメント方式の視点を参考とさせていただいています。
しかし、どんなアセスメントツールを使うにせよ、主体は『私(ご利用者)』とした方が、よりご本人の意向に沿ったプランを立てることができます。

パーソン・センタード・ケア

本人主体のケアは、パーソン・センタード・ケアといいます。

このパーソン・センタード・ケアも認知症ケアの考え方として広まっているものなのですが、
認知症があってもなくても、人はどんなときでも主役であり、その方の人生は、その方が世界(社会)の中心にいます。

一人の人間として、性格やこれまでの経験、人生観を尊重され、人間関係や社会的なつながりを持ちながら生きていく。

安全や清潔だけのケアではなく、一人の人間が社会で生きていくための、多面的な、総合的なケアが求められます。

認知症介護におけるパーソン・センタード・ケアの理解と実践

2018年5月18日

課題分析を行うときの視点

ご本人目線での情報収集が終わった後は、課題の分析を行います。

このときには他人の目線に戻って、客観的に分析をしていきましょう。

課題分析とは、いいことも悪いことも、なぜそれが起こっているのかを分析することです。

そして、それが起こっている原因を踏まえ、どうすればそれが解決するのか、またいいことであれば、どうすればそれを守る(継続していく)ことができるかを考えていくことです。

分析後は、状況と相談しながら、できることやできないことを冷静に考え、できることからプランにあげて実践していきましょう。

 

まとめ

ケアプランを立てるときにまずしなければならないのは、パーソン・センタード・ケアの考えに基づいて、誰のための、何のためのプランなのか、視点の調整をすること。

①本人主体で物事を考える

②必要に応じて、介護者の意見を入れる

③できることとできないことなど、状況をを踏まえて、ご本人と介護者の間で調整していく

例えば、ご本人の意向に100%添えなかったとしても、本当はご本人はこれを望んでいる、ということを知っているかそうでないかで、今後の目指すところも変わってきます。

今はいろんな条件で100%望みを叶えることはできないけれども、それを叶えるために努力していく、ということが目標になります。
本人の望み、気持ちを知っているということが大切です。



  
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