高齢者とのコミュニケーションで重要な3つのポイント

おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしたことがなかったり、普段年配の方と接する機会が少ない方は、介護施設などに実習に行ったときに、コミュニケーションが難しいと感じることがあると思います。

そこで、高齢者とコミュニケーションをとる上で気を付ける点や、上手にコミュニケーションをとるポイントをお伝えしたいと思います。

高齢者の体の変化

耳が遠くなる

個人差はありますが、年を取ると耳が遠くなる方が多くいらっしゃいます。
これは加齢に伴う自然な現象です。
耳が遠くなると、会話での小さな声を聞き取ることができなかったり、言葉を正しく聞き取ることができなくなったりします。

会話(言葉や文章)の意味を理解するのに時間がかかる

これも個人差がありますが、高齢者は言葉の意味を理解したり情報を処理したりするのに時間がかかることがあります。
だから早口で伝えたことが理解できなくて、聞き返されることもあります。
また、質問したことに対してすぐに答えが浮かばなかったり、答えが浮かんでいてもすぐに言葉にならないこともあります。

高齢者とのコミュニケーションのポイント

ポイント①話をする声の大きさやスピードを意識する

私たちが普段話をしている音量やスピードでは、音が聞こえなかったり会話のスピードについてこれないことがよくあります。

初めて高齢者とお話をする方(特に若い方)でよくあるのは、普段友達とおしゃべりする感覚でペラペラペラっと話をされるので、高齢者の方は全く言葉が聞き取れていないということです。
高齢者の方は、相手がなんの話をしているのかがわからないので、ただニコニコしていたりキョトンとしていたり、相手が全部話し終わってから「え?」と聞き返すということがよくあります。

そういった光景も見ていて微笑ましいのですが、なかなかスムーズに会話ができないことで、特に若い方たちは高齢者とのコミュニケーションは難しいと感じるようです。

声の大きさも話すスピードも、人それぞれ心地よいと感じる程度は違うので、実際に高齢者と触れ合ってみて、相手に合った話し方を探るというのが一番ですが、一般的に心がけてみると良いという点を挙げてみます。

落ち着いた少し低めの声でお話する

若い方であれば会話をするときに、その場の雰囲気や盛り上がりを大切にすると思いますが、盛り上がった状態というのは、気持ちが高揚していたり、周りがザワザワした状態だと思います。

高齢者は、落ち着いた雰囲気の方が音を聞き取ることができたり、物事を考えたりすることができます。

高い声でキャピキャピっと話をするよりも、少し低めの落ち着いた声で話をする方が、相手に安心感を与えます。

ゆっくりお話する

上記でもお伝えしましたが、話をするスピードによっては、高齢者は言葉が聞き取れなかったり、何を言われているのか文章を理解することができなかったりします。

どの程度ゆっくりがいいのかというと、普段よりも「少しゆっくり」という程度で大丈夫です。
大げさにする必要はありません。

実際に話をしてみて、聞き返されることが多いようなら、相手が聞き取りやすいペースを探ってみてください。

少し大きめの声でお話する(大きくなり過ぎないように注意)

「高齢者は耳が遠い」という先入観が強すぎると、声が大きくなりすぎることがあります。
介護の仕事をしている人に多いのですが、初めて会う高齢者に対して大きな声で話しかけて、「うるさいのぅ」と言われてしまうということがあります。

普通の声で話をしてみて、聞こえにくいようであれば、少し大きめの声にするといった調整をしていけばいいと思います

ジェスチャーを交えて話をする

これはかなり耳の遠い方や、言葉の意味がなかなか理解できない方に対して声をかける場合に行います。
かなり耳の遠い方に対して声をかける場合は、とても大きな声になってしまうと思います。
聞き取れるまで何度も声をかけ続けるのは大変なことですし、周りにたくさん人がいたら注目されてしまうので、より相手にわかりやすいように、言葉と手で表現して伝えます。
例えば「お茶飲む?」と聞きながら、お茶を飲む動作をしたり、「横になる?」と聞きながら寝る動作をしてみたりすると伝わりやすいです。

ポイント②話題に困ったら「好き」を意識する

実習生の感想でよくあるのは、「何をしゃべったらいいのかがわからなくて困った」です。

確かに世代も違うし、共通の話題を見つけるもの難しい。
初対面の人と何を話していいのかがわからないということはあると思います。

でも会話って、ただ話をするだけではなくて、お互いに知り合うための大事な手段でもあると思うんですよね。

相手のことが知りたいからいろんな質問をするし、相手にも自分のことを知ってもらうことができる。
いろんな話をするうちに、お互いにどんな人なのかが見えてくる。

「相手に興味を持つ」これが一番大切なんです。
知りたくて知りたくて仕方がない。そんな感情をもって相手に接してみて下さい。

好きな人のことを思い浮かべてみてください。
好きな人のことって、いろいろ知りたくなりますよね?

食べ物では何が好きなのかな?
趣味は何だろう?
どんな音楽聴くのかな?
どんな本を読むのかな?
どこに住んでいるのかな?
何人兄弟なのかな?・・・などなど。

好きな人のことは、知りたくて知りたくて仕方がないと思うんです。
どんな些細な情報でも知るとこができたら嬉しいですよね?
共通の部分を見つけると、「私と一緒だ!」とさらに嬉しくなったりします。

相手に興味を持つ。
好きになる。
この気持ちがとっても大切です。

ただ質問攻めにしてしまうと相手を疲れさせることなるので、相手が楽しんでいるかどうか、表情なども見ながら少しずつ質問してみるといいと思います。
自分の話も交えながらお話できるといいですね。

 

高齢者は長い人生でいろいろな経験をされています。
生まれ育った環境や時代。
それらが違えば、私たちには想像もつかないくらいの驚きや悲しみや感動が溢れています。
お一人お一人の人生に、いろんなドラマがあります。

仕事での成功談や失敗談。
家族への深い愛情。
人生の転機。
これからの夢。

いろいろな方の人生に触れ合ってみてください。

話したくてしょうがないという話好きの方もいらっしゃる一方で、あまり自分のことを話したくないという方も中にはいらっしゃいます。
相手との距離感を探りながら接してみてください。

「あまり近寄るのはよそう」と距離を置くのではなく、その方が心地よいと感じる距離感で接すること。
相手に興味をもつという基本姿勢は変えないこと。

自分に興味を持ってくれている人のことは、気になり始めます。

自分のことをいつも気にかけてくれているという存在は嬉しいものですし、安心感にもなります。

時間はかかるかもしれませんが、信頼関係ができてくると少しずつ自分のことをお話してくださるようになります。

【おすすめ本】
こちら↓の本は高齢者の生きてこられた時代背景や、その時に流行った歌や俳優など、年代ごとにまとめられている本です。会話の糸口や、話の広げ方、目的に応じた会話の仕方などとても参考になると思います。

 

ポイント③話をせずにただそばにいる

ノンバーバルコミュニケーションをいう言葉を聞いたことがあるかと思います。
表情、しぐさ、目線、態度といった、言葉を用いない表現でコミュニケーションをとることです。

目が合ったときにニッコリ笑いかける。
相手がそれに返してくれたら、それは立派な「つながり合えた瞬間」です。

背中をさすったり、何も言わずにただ隣に座って寄り添ってみたり。
だまって一緒にテレビを見る。
相手が新聞を読んでいる隣で、自分は本を読んでみる。
一緒にウトウトとうたた寝をする。

これだって立派なコミュニケーションです。
同じ空間で、同じ時を共有している。

自分が居心地が悪いなと感じていたら、実は相手も居心地の悪さを感じています。
自分から居心地のいい雰囲気を作っていってみてください。

特に認知症の方はうまく会話ができないことが多いです。
そんなときに、ただ同じ空間でそばにいて同じ時を共有する。
その繰り返しで、相手は少しずつあなたの存在を認めてくれるようになりますよ。

認知症の人にとってスキンシップが効果的な理由

2018年2月24日
もっと深く高齢者とのコミュニケーションについて学びたい方は、講座もあるようなので、よかったらチェックしてみてください。
高齢者とのコミュニケーションについて学べる講座はこちら>>



  
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